聖書箇所 使徒の働き27章9~26節 説教題 『助かる最後の望み』 ■序論 ローマに向けて船出した一行は良い港に着いた。距離は半分近く来たがこの旅は後半に予期せぬ事態が次々と起こる。彼らにとって助かる最後の望みは何か。 1.退けられた助言(9~13節) 良い港では断食の季節(贖罪の日)が過ぎてすでに11月に入っていた。地中海は冬の船旅が危険なので、船員たちは急いで出発の準備を整えた。パウロは自分の経験と知識に基づき、この航海が危険だと忠告した(Ⅱコリント11:25)。しかし、船長はパウロの忠告よりも、航海士や船長の判断を信用した。穏やかな南風が吹くと、彼らはラサヤから約70キロ先のピニクスへ行き、冬を過ごそうとした。助言や忠告にはきちんと耳を傾けるべきである(箴言19:20)。助言を退ける人は、その責任と結果を自分で刈り取ることになる。助言する側は愛と祈りを持って忠告し、聞く側も謙遜に受け止めることを信仰生活の教訓としよう。 2.暴風による絶望(14~20節) 船は出発して間もなくユーラクロンという暴風に襲われた。ピニクスへの寄港は不可能になり、クラウダという小島の島陰で小舟を船上に引き上げた。また、西アフリカ沿岸沖にあるスルテスの浅瀬に乗り上げるのを恐れて船具をはずし、流されるままになった。それでも暴風はおさまらず、人々は積荷を捨て、さらに船具も投げ捨てた。暴風により、寒さ、暗さ、恐怖に包まれた状況はまさに絶望だった(三浦綾子氏著『海嶺』参照)。神のいない人生は暴風に襲われるとたちまち絶望に陥る。しかし、神を信じる人生は暴風の中にも希望がある。 3. 神のことばによる平安(21~26節) 暴風が続く中では誰も食事を取ることができない状況だった。しかしパウロには想定内の出来事だった。パウロの忠告は退けられたが、彼が言うことは本当だと後悔した者もいただろう。パウロは暴風の中で神のことばを聞いた。➀恐れてはならない➁彼が必ずカイザルの前に立つ➂同船する全ての者を彼に任せる。パウロは主の御言葉によって人々を励ました。絶望と困難の中にある人を責めても解決にはならない。助かる最後の望みは神のことばにあると信じよう。 ■結論 暴風により漂流する時代の中でも教会は堅く立つ神の家である。いつでも神のことばを確信し、神のことばによって人々に希望と平安を与えよう(へブル3:6)。 |