近頃の・・・
 

 私が子供の頃、日本人は畳の上の生活が主流であった。食事はチャブ台と呼ぶ丸い飯台を家族で囲んで正座して食べたものである。昭和20年(1945年)の終戦を境に日本人の生活様式は一変した。服装は男も女も洋服に変わり、チャブ台はテーブルと椅子に取って代わった。坐り方一つで行儀作法を教えることが出来た昔が懐かしい。
 今人気の琴欧州はヨーロッパ出身で最初の大関となった。2メートルを超える大男が見事に着物を着こなしているのである。生活習慣、文化も全く異なる東洋の国に一人来て因習の強い相撲界に弟子入りし、洋服を着物に替えて…(現役の力士は着物と草履と決められている)。言葉から礼儀作法まで身につけているのには敬意を表するばかりだ。
 大関、横綱となれば強いばかりでなく、品位、風格が求められる。もともと体格と体力に恵まれた外国の力士が、ルールの従ってひたすら稽古に励めば強くなるのは当然で、日本人力士もウカウカ出来なくなってきた。
 
 前置きが長くなったが、
「若者の服装について」「主題」であった。近頃、高校生の服装を見ていると男子生徒のシャツは上着より下にのぞいており、女子生徒のスカートは幼稚園児ほど短く、反面ソックスはずり落ちて靴の上でトグロを巻いているのを見かける。とても何かを学ぼうとする若者の姿とは思えない。東京・原宿に出没するあの満艦飾に着飾った男女のいでたちは、もうコメントのしようもない。
 でも望みはある。思いがけぬ災害に見舞われた被災地に、ジーパンでオートバイにまたがって駆けつけ、バイトで稼いだ金でボランティアに励む若者が日本に居る限り、日本は決して滅びないだろう。
 
 4500年前に建造されたエジプトのピラミッドの奥深くの壁には
「近頃の若い者は」という落書きが刻まれていたと聞く…年寄りのくりごとは昔からなのだ。
教会の結婚式で必ず朗読される最初の一文を最後に私の落書きとしたい。
「愛は不作法をしない。」