イゼベルの悪影響をまともに受けていたアハブ王
1.アハブは北王国7代目の王だった
アハブ王は、ソロモン王以降の分裂王国時代の
北王国の7代目の王でした。
初代ヤロブアム王や3代目のバシャ王とも、何ら血縁関係がなく
6代目の王オムリの子として生まれ、22年間サマリアで
北イスラエル王国を治めています。
オムリの子アハブがイスラエルの王となったのは、
ユダの王アサの治世第三十八年であった。
オムリの子アハブは、
サマリアで二十二年間イスラエルを治めた。
列王紀上 16章29節
2.アハブ王は、妻イゼベルにそそのかされて悪を行った
しかしこのアハブ王は、それ以前に王だった誰にもまして
多くの悪を行う悪王でした。
アハブのように、
主の目に悪とされることに身をゆだねた者はいなかった。
彼は、その妻イゼベルに唆されたのである。
彼は、主がイスラエルの人々の前から追い払われた
アモリ人と全く同じように偶像に仕え、
甚だしく忌まわしいことを行った。
列王紀上 21章25〜26節
その妻イゼベルが、アハブ王をそそのかして悪に身をゆだねさせたのです。
このイゼベルという妻が、曲者でした。
イゼベルは、シドン人の王エトバアルの娘でバアル崇拝を持ち込んできたのです。
彼はネバトの子ヤロブアムの罪を繰り返すだけでは満足せず、
シドン人の王エトバアルの娘イゼベルを妻に迎え、
進んでバアルに仕え、これにひれ伏した。
列王紀上 16章31節
3.イゼベルはバアルやアシェラに仕えていた
イゼベルはバアルに仕えていたので、主の預言者が邪魔でした。
それゆえ、主の預言者を殺してしまうのです。
イゼベルが主の預言者を切り殺したとき、...
列王紀上 18章4節(前半)
切り殺したとありますから、主の預言者たちを
剣をもって切り殺したようです。偶像に仕えていたイゼベルは
正しい者たちを、何の悪も行っていないのに平気で殺せる女性だったことがわかります。
イゼベルの食卓には、四百五十人のバアルの預言者と
四百人のアシェラの預言者がいたと、記録されています。
850人の偶像崇拝のための預言者たちを、養っていたことになります。
今イスラエルのすべての人々を、
イゼベルの食卓に着く四百五十人のバアルの預言者、
四百人のアシェラの預言者と共に、カルメル山に集め、
わたしの前に出そろうように使いを送っていただきたい。」
列王紀上 18章19節
イゼベルはまったく主に仕えずに、バアルやアシェラに仕えていたのです。
数百人の偶像の預言者を養い、主の預言者は抹殺するという徹底した偶像崇拝でした。
そういう女性が、アハブの妻だったのです。
アハブが、影響を受けなかったはずがないのです。
4.アハブ王はサマリアにバアルの神殿を造るほど偶像崇拝に陥ってしまった
アハブは、その妻イゼベルに唆されてどの王にもまして悪を行ったのです。
アハブはサマリアにも、偶像であるバアルの神殿を造っています。
さらにアシェラ像まで作ったといいます。
サマリアにさえバアルの神殿を建て、
その中にバアルの祭壇を築いた。
アハブはまたアシェラ像を造り、
それまでのイスラエルのどの王にもまして、
イスラエルの神、主の怒りを招くことを行った。
列王紀上 16章32〜33節
イゼベルはアハブを神に背かせ、偶像であるバアルやアシェラに仕えるように
悪に誘っていたのです。
アハブはまんまとそれに乗ってしまい、首都サマリアにバアル神殿を建ててしまうのです。
北王国はもはや他の国々と同じ、偶像に仕える国と成り下がってしまい
本来仕えるべき神から、遠く遠ざかってしまうことになってしまったのです。
殺してはならないという神の律法から遠く離れ、都合が悪ければ殺してしまえという
恐ろしい恐怖政治が、まかり通るようになってしまっていたのです。
5.イゼベルは無実のナボトを偽証によって死刑にした
アハブは、ナボトのブドウ畑を欲しがりました。しかしナボトは断ります。
アハブが貪欲で悶々としていた時、その欲望を満足させるために
イゼベルは、アハブの名を使って無実のナボトを、策略をもって死刑にしています。
イゼベルはアハブの名で手紙を書き、アハブの印を押して封をし、
その手紙をナボトのいる町に住む長老と貴族に送った。
その手紙にはこう書かれていた。
「断食を布告し、ナボトを民の最前列に座らせよ。
ならず者を二人彼に向かって座らせ、
ナボトが神と王とを呪った、と証言させよ。
こうしてナボトを引き出し、石で打ち殺せ。」
列王紀上 21章8〜10節
イゼベルは、私利私欲のために、権力を乱用しているのです。
ナボトの畑を奪うために、ナボトを偽りの証言をもって
殺しているのです。
イゼベルはナボトが石で打ち殺されたと聞くと、アハブに言った。
「イズレエルの人ナボトが、
銀と引き換えにあなたに譲るのを拒んだあのぶどう畑を、
直ちに自分のものにしてください。
ナボトはもう生きていません。死んだのです。」
列王紀上 21章15節
アハブにとって妻のイゼベルは、悪を行うための助け手となっていました。
イゼベルはアハブに対して、罪を犯すように誘う誘惑者となっていたのです。
また自ら積極的に罪に走り、神への信仰を真っ向から妨げる妨害者となっていました。
むすび.アハブはシドン人のイゼベルを妻にしてはならなかった
アハブは、シドン人の王の娘であるイゼベルと結婚することによって
シドン人と政略的に協力関係を持ち、アラムなどとの戦いを有利に
進めようとしていたのかもしれません。
しかしそのような、神抜きの人間的な政治的手法は、
逆に国を混乱させ、罪に陥らせ、滅びに向かわす結果につながって
いってしまったのです。
政治的な人間的手法ではなく、神にこそ信頼を置いて
神に従って神の助けを待ち望む、そちらを選ぶべきだったのです。
アハブにとって、イゼベルとの結婚は大きな罠となってしまったのです。
ソロモンの時と同じように、神の言葉に背くことによって
大きな悪を、国に招くことになってしまったのです。
ソロモン王はファラオの娘のほかにもモアブ人、
アンモン人、エドム人、シドン人、
ヘト人など多くの外国の女を愛した。
これらの諸国の民については、
主がかつてイスラエルの人々に、
「あなたたちは彼らの中に入って行ってはならない。
彼らをあなたたちの中に入れてはならない。
彼らは必ずあなたたちの心を迷わせ、
彼らの神々に向かわせる」と仰せになったが、
ソロモンは彼女たちを愛してそのとりことなった。
列王紀上 11章1〜2節
シドン人も、「あなたたちは彼らの中に入って行ってはならない。
彼らをあなたたちの中に入れてはならない。」と言われた
主の命令の対象になっていたのです。
にもかかわらず、アハブもシドン人の妻を迎えてしまい
「彼らは必ずあなたたちの心を迷わせ、彼らの神々に向かわせる」
と主が言われた通りに、偶像崇拝に陥ってしまっているのです。
【今日の聖書】
アハブのように、
主の目に悪とされることに身をゆだねた者はいなかった。
彼は、その妻イゼベルに唆されたのである。
彼は、主がイスラエルの人々の前から追い払われた
アモリ人と全く同じように偶像に仕え、
甚だしく忌まわしいことを行った。
列王紀上 21章25〜26節