サムソンの敗因
1.デリラに手を出してしまった
デリラを愛したとありますが、結婚したとは書かれていません。
その後、彼はソレクの谷にいるデリラという女を愛するようになった。
士師記 16章4節
結婚はしていないのに、サムソンが寝ている部屋に
デリラはいたわけです。
彼女はそれを釘で留めて、「サムソン、ペリシテ人があなたに」と言った。
ところが、彼は眠りから覚め、釘も、機織り機と縦糸も引き抜いてしまった。
士師記 16章14節
結婚関係でもないのに、一緒に居続けたという時点で過ちが始まっています。
酒でもたばこでも、最初の一杯、最初の一本が依存を招きます。
手を出しさえしなければ、一生飲まずに吸わずに済むのです。
しかし、その一杯を飲んでしまった結果、やめられなくなってしまい
その一本を吸ってしまった結果、やめられなくなってしまうのです。
そもそも初めから手を付けていなければ、依存で苦しまなくても良かったのに
最初に手を出してしまった結果、それなしでは生きられなくなってしまうのです。
手を出すという決断が、受けなくてもいい苦難を招いてしまい
本来的でない苦難の人生へと、陥ることになってしまうのです。
デリラは、ペリシテ人側の人間でした。
ペリシテ人の領主たちは彼女のところに上って来て言った。
「サムソンをうまく言いくるめて、
その怪力がどこに秘められているのか、
どうすれば彼を打ち負かし、
縛り上げて苦しめることができるのか、探ってくれ。
そうすれば、我々は一人一人お前に銀千百枚を与えよう。」
士師記 16章5節
デリラは、自分たちの民を滅ぼそうとしている人々の仲間だったのです。
サムソンは、最初からデリラと関係しなければよかったと言えます。
2.欲望に勝てなかった
デリラと一緒にいることを、やめなければならなかった状況にもかかわらず
依然として一緒に居続けたということは、理性より欲望が優先されていた
ということがわかります。
エサウが一杯の食べ物のために、ヤコブに長子の特権をあげてしまった
あの創世記の出来事にも、似ています。
エサウは、自分の食欲に負けているのです。
エサウはヤコブに言った。
「お願いだ、その赤いもの(アドム)、
そこの赤いものを食べさせてほしい。
わたしは疲れきっているんだ。」
彼が名をエドムとも呼ばれたのはこのためである。
創世記 25章30節
エサウは疲れきっていて、空腹でたまらなかったのです。
そこにヤコブが作った料理の、おいしそうな匂いが漂ってきたのです。
そしてその食欲に負けてしまったのです。
「ああ、もう死にそうだ。長子の権利などどうでもよい」とエサウが答えると、
ヤコブは言った。
「では、今すぐ誓ってください。」
エサウは誓い、長子の権利をヤコブに譲ってしまった。
創世記 25章32〜33節
この時のエサウ同様、
サムソンも、理性でなく欲によって動いていたことがわかります。
3.高を括っていた
サムソンはいつも、その怪力によって勝利を収めていました。
ですから、負けを知らなかったのです。
いつでも自分は勝てると、高を括っていたことが次の言葉からわかります。
彼女が、「サムソン、ペリシテ人があなたに」と言うと、
サムソンは眠りから覚め、
「いつものように出て行って暴れて来る」と言ったが、
主が彼を離れられたことには気づいていなかった。
士師記 16章20節
ナジル人であるためには、髪の毛を剃ってはならなかったのですが
デリラの手配した人物によって、髪の毛7房を剃られてしまいます。
にもかかわらずサムソンは、「いつものように暴れて来る」と語るのです。
「いつものように」また勝てると、経験によって判断し
髪の毛が剃られていることなど、気にも留めず(気付きもせず?)
高を括っていたのです。
むすび.サムソンは反面教師
私たちは、サムソンの敗因を、自分自身の生活に生かすことができます。
サムソンは私たちの、反面教師でもあります。
@デリラには手を出すな!
どんなに魅力的で、自分の欲求にピッタリ来たとしても
神に従うことに反するようなものには、初めから手を出さない
A欲のままに生きるな!
自分の欲望の強さを認識し、聖霊によって生活することによって
欲に勝てるように祈る
霊の導きに従って歩みなさい。
そうすれば、
決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。
ガラテヤの信徒への手紙 5章16節
B高を括るな!
過去の経験に頼って、「今回も大丈夫だ!」と思わず
いつでも主により頼み、小さいことにも高を括らない
サムソンの弱さは、実は私たちの内にも存在している弱さでもあります。
サムソンは愚かな人だったなと、裁いてしまうのではなく
自分も同じ罪人であることを認識し、そうならないように神に祈るのです。
【今日の聖書】
霊の導きに従って歩みなさい。
そうすれば、
決して肉の欲望を満足させるようなことはありません。
ガラテヤの信徒への手紙 5章16節