日本キリスト教団

   
2023.01.22
説教ダイジェスト
礼拝説教要約
「雲の柱」
民数記9章15-23節
  神の民は、神様が遣わした指導者モーセに導かれて、エジプトの国から脱出し ました。民数記は、旧約聖書の神の民が、シナイ半島の荒野を旅した時のことを 記録しています。この民数記9章では、神の民はシナイ山の麓にいます。いよい よこれからシナイ山を出発するのです。民数記には、神の民が、神様に導かれて 歩んだのだことが記されています。

 神様は、雲の中におられます。火の中におられます。雲が前に進めば民も前に 進み、雲が留まればそこにとどまりました。雲が幕屋を覆い、一つ所に留まって いると民もそこに留まった。雲が動けば、雲が動いただけの歩数を進んだ。

  ここで大切なことは、いつも前に前にと進んでいたのではないのです。民にと ってみれば、できるだけはやく自分たちの住む土地に行きたかったと思います。 しかし、神様が前に進めという時は進み、神様が留まれという時は留まったので す。これが、神様に導かれるということです。

  小山晃佑という日本人の神学者が、この箇所の説教で、神様が荒れ野を歩む 人々の「歩く速度」に合わせて導いておられたのだというのです。人が歩く速さ、 時速5キロです。小山先生の説教の題は「時速5キロの神」。

  神様は人々が歩く速度で導かれ、荒野を歩く人々に神様を信じて生きるとはど ういうことかを教えてくださった、実地体験をして導いてくださったと言われて います。食べる物がないと民は不平を言い、飲む水がないと不満を言う。それは、 人々が神様を信頼するということをその身をもって学ぶためだったのです。そう いう学びをしながら、だんだん神の民らしくなっていって、約束の地で神の民と して共に平和に過ごすことができる。

  私達もそうです。教会は、交わりだと言われますが、兄弟姉妹が一緒になって、 同じ神様を一緒に礼拝して、祈り奉仕して過ごす。兄弟姉妹のことを互いに心に かけ合いながら、あの人この人の姿に学びながら、いろんな欠点のある者同士受 け容れ合い、実際に信仰に生きてみて私たちは神の民になっていくのです。私達 は、私たちと同じ速さで歩んでくださる神様と共に教会生活をしているのです。

  私は、雲が留まる日があった。前に進まなかったということはどういうことな のだろうかと思います。民の側に、何か準備整わないことがあったのでしょうか。 腰を落ち着けてお互いに解決しなければならないことが起こっていたかもしれな い、けれど、そうだとしても、神様は、この民と一緒に歩み続けられたのです。

  使徒パウロは、この荒野を歩む民のことを、イエス様を信じる兄弟姉妹のこと だと見立てて、このように言っています。Ⅰコリント書10章「1わたしたちの 先祖は皆、雲の下におり、皆、海を通り抜け、2 皆、雲の中、海の中で、モーセに 属するものとなる洗礼を授けられ、3 皆、同じ霊的な食物を食べ、4 皆が同じ霊的 な飲み物を飲みました。彼らが飲んだのは、自分たちに離れずについて来た霊的 な岩からでしたが、この岩こそキリストだったのです。」出エジプトの荒野の旅は、 イエス様を信じる私たちの旅だと言います。そして、荒野で神様に背いた人々、 みだらなことをした人々は裁きにあったと言ってから、こう言います。

  「12 だから、立っていると思う者は、倒れないように気をつけるがよい。13 あ なたがたを襲った試練で、人間として耐えられないようなものはなかったはずで す。神は真実な方です。あなたがたを耐えられないような試練に遭わせることは なさらず、試練と共に、それに耐えられるよう、逃れる道をも備えていてくださ います。」

  私たちの信仰の旅を導く方、真実な方が一緒に歩まれます。思いがけない試練、 苦しいこと、辛いことがあるときも、必ず逃げ道、出口を備えていてくださる。 荒れ野を行く民に、神様は雲の中から前に進めと言われますし、そこに留まれと 言われるのです。苦しみから逃れる道とは、私たちにとって何のことなのでしょ う。神様の真実であることを信じ、神様のみ心を問いつつ過ごしたいと思います。

  日本の昔話や神話の世界では、人を導くのは、カラスや、キツネ、動物が多い ですが、旧約聖書では、雲とか火とか、自然現象です。神様は他の生き物に重ね て考えることはできないということですし、聖なる方なのです。このことは、イ スラエルの民を導いているのは、動物でもなければ、人々の目の前にいる指導者 モーセではない、導いているのは紛れもなく神様であるということです。誰の思 いにも汚され乱されることなく、神様のみ心そのものによって、私たち神の民は 導かれるのです。一層、神様に導きを求め確かな道を歩んでいきたいと思います。



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