日本キリスト教団

   
2023.10.01
説教ダイジェスト
礼拝説教要約
「平和をもたらす」
ヨハネによる福音書
16章29-33節
 イエスは、十字架にかかる前、最後の晩餐の席で弟子たちへの最後の言葉を 語りかけられた。「これらのことを話したのは、あなたがたがわたしによって 平和を得るためである。あなたがたには世で苦難がある。しかし、勇気を出し なさい。わたしは既に世に勝っている。」(33節)

  このヨハネ福音書1章では、洗礼者ヨハネが人々の前に姿を現されたイエス を見出して「見よ、世の罪を取り除く神の小羊だ。」(29節)と言った。イエ スは世の罪を赦し、世を贖う救い主だ。世の一人ひとりの罪、そして世自体の 罪を取り除く方だ。この世を神の救いに与るところになさる方だ。それでイエ スは、「わたしは世に勝っている。」と言われる。

  同じくヨハネ福音書1章で、救い主イエスのことを「言」「光」と言い、こ の「世」のことを「闇」と言っている。そして、「光は暗闇の中で輝いている。 暗闇は光を理解しなかった。」と言う。「理解しなかった」と翻訳するのは新共 同訳だけで、昔の口語訳でも、新共同訳より新しい訳でも「闇は光に勝たなか った」と訳している。光であるイエスこそが、世の闇に打ち勝たれた。ヨハネ 福音書で「世」とは、自分中心の思いで神を顧みない罪の世界、不信仰の世界 のこと。そこで私たちには苦しみ、悲しみが絶えない。

  もうすぐクリスマス、アドベントまであと2ヶ月。「神は、その独り子をお 与えになったほどに、世を愛された。独り子を信じる者が一人も滅びないで、 永遠の命を得るためである。神が御子を世に遣わされたのは、世を裁くためで はなく、御子によって世が救われるためである。」(16-17節)イエスは世 の救い主だ。世に神の愛をもたらしてくださった。罪と苦難の世に真の平和を もたらしてくださった。

  イエスが弟子たちに語られた時、ヘブライ語で「平和」を「シャローム」と 語られたことだろう。旧約聖書で「平和」(シャローム)とは、すべてが円満 で、すべてが上手くいっている状態のこと。政治経済、福祉、日々の暮らし、 人々の心も魂も、すべてが上手くいっていることを言う。戦争がないことだけではない。このような平和は、人間にはもたらすことはできない。だから、旧 約では「平和」とは神のもたらすものであり、神ご自身のことを平和と言い、 神が共にいることが平和だと言われている。詩編4編では、人々の中傷に苦し む人が「平和のうちに身を横たえ、わたしは眠ります。主よ、あなただけが、 確かに/わたしをここに住まわせてくださるのです。」(9節)と言い、神が共 にいることを喜んでいる。

 今日は世界聖餐日。世界中の教会で聖餐式をなし、世界中の教会が主のもと にあることを覚える。聖餐を共にして、世界中の教会、この世界がイエスのも とにあり、神が共におられることを覚えよう。日毎の暮らしは厳しさを増し世 界情勢は混乱しているが、神が共にいることを祈ろう。この世界に教会がある ことは、神が共にあることを世の人々に表している。

 愛隣こども園
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