インドの小説家タゴールは、「もっとほんとうのこと」という小説を書いた。小説家のお 祖父さんと孫娘の会話で話が進む。お祖父さんは孫娘に、「お前は妖精の国を抜け出してき
た妖精なのだよ」と語りかける。その証拠は?と問いかける孫娘に、「この世には本当のこ とと、もっと本当のことがある」と言うのです。
そして、母親をなくした孫娘に、「お母さんは天国でお前を待っているよ。お前は妖精だ から、もう一度妖精の森に行くことができるんだよ。そこで母さんに会えるんだよ。」と言 うのです。なくなったお母さんが今も共にいることを伝えるために、「もっと本当のこと」 を言うのです。
イエス様は、友のない人、病気の人に慈しみを示されました。ナインの町では、亡くな った一人息子を生き返らせました。やもめの母親に息子を取り返してくださいました。悲 しみ嘆いていた母親は、どれほど喜んだことでしょうか。人が死の縄目から解かれること は、とても喜ばしく希望に満ちたことです。
聖書の原文では、息子を母親に「お返しになった」ではなく、むしろ「渡した、与えた」 とあります。ですから、息子を母親に「改めてもう一度与えた」ということです。イエス が渡される息子は、母親にとってただの息子ではない。神の愛が溢れる証拠です。死んだ 人がよみがえることを否定するなら、本当のことではないと否定するなら、それだけのこ とです。けれど、イエスはこの母親に希望に満ちた「もっと本当のこと」をなしてくださ いました。
昔、エリヤと言う預言者は、列王記上17章において、一人のやもめが悲しんでいる時、 死んだ息子を生き返らせました。ナインの人々は、イエスのなさったことを見て、預言者 エリヤを思い出しました。「大預言者が現れた」と讃えました。
十字架にかかったイエスがよみがえりました。イエスのよみがえりには、神の愛が溢れ るほどに表されています。ここに私たちの喜びと希望があります。イエスは「今泣いてい る人は幸いである。あなたがたは笑うようになる」(ルカ6:20)と言われました。悲し み苦しみを越えて、喜びがあります。
死によってすべてが滅びても、死を越えてなお確かなこと、もっと本当のことがありま す。イエスはよみがえりました。
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