日本キリスト教団

 
 
2024.12.22
説教ダイジェスト
礼拝説教要約
『まことの光』
ヨハネによる福音書 1 章
6-11節
クリスマス礼拝
  今から 80 年前、第二次世界大戦のさなかにドイツの軍医であったクルト・ロイパ ーは、ソ連のスターリングラードという町で、戦場で戦う人々に大きな慰めを与える 一枚の絵を描きました。1942 年のクリスマスに、学校に捨てられていた1枚の大き な地図を拾い、その裏に木炭でデッサンのような絵を描きました。描かれたのは、聖 母マリアが全身をベールで覆い、その腕の中に幼子イエス・キリストを抱いている絵 です。大きな紙の真ん中に描かれた聖母の横には、今日読まれた聖書の箇所に出てく る言葉、「光(リヒト)、いのち(レーベン)、愛(リーベ)」とドイツ語で書きました。そ の絵を見た人は、イエス・キリストの愛、神の救いを思い出したそうです。この絵は、 「スターリングラードの聖母」と呼ばれるようになり、今でもベルリンのカイザー・ ヴィルヘルム記念教会に展示されています。

  この戦いは、後に「スターリングラード攻防戦」と呼ばれ、世界の歴史の中で最も 凄惨な激しい戦いだったと言われています。銃を構える兵士たちがすぐ近くの敵に向 かって銃を撃ち合うというとても危険な戦いとなりました。史上最大規模の市街戦に なったと言われています。ほぼ 1 年に及ぶ長い戦いで、兵士も市民も合わせて 150 万 人が死んだと言います。

  兵士たちを励まそうとして彼が書いた「スターリングラードの聖母」は、多くの兵 士が死を覚悟している厳しい状況の中に兵士たちに深い慰めをもたらしました。彼の 日記には、「部屋のドアが開き兵士たちが帰ってくると、部屋の壁に貼り付けられた 絵を見て心打たれ彼らは沈黙し、釘付けになったように立ち尽くしていた。」とあり ます。またある将校は「今日は私の生涯の中で一番美しいクリスマスになった。私は このクリスマスを忘れることはないだろう。」と言いました。

  この絵に描かれた言葉は、ヨハネ福音書 1 章に記されている「光(リヒト)、いのち (レーベン)、愛(リーベ)」。この 3 つは、救い主イエスがこの世にもたらしてくださっ たものです。私たちはクリスマスに、救い主イエスの誕生を祝います。イエスは、神 様の「光、いのち、愛」を私たちの世にもたらすため、この世に住む一人ひとりに届 けるために来てくださいました。

  聖書に、「まことの光」とあります。ただの光ではない。「まことの」光です。消え ることなく、いつまでも、永遠に輝くのが、まことの光です。光ることができないは ずの時に光ります。光ることができないような場所でも光ります。何もないところ、 全くの真っ暗闇の中で、神の光、まことの光は輝きます。

  決してなくならない神の愛と命があることを思い起こす人に、神様の光、まことの 光は輝きました。決してなくならない命、まことの命に生きることができるという希 望を与えました。全く希望がないと思うようなときにも、神の光、まことの光は輝い ています。全くの希望がないと思う人の心の中にも、神の光、まことの光は輝きます。

  私たちは様々なことを経験し、不安に駆られ、自信を失います。もう生きていけな いと人生をあきらめる人がいないでしょうか。自分自身をあきらめている人はいない でしょうか。こんなに神様を悲しませ、罪を犯している私は、神様からも良く思われ ていないはず。私たちは自分のことを思うたびに、自信を失うのかもしれません。け れど、そのような私たちも神様の光、イエス様のまことの光に照らされています。ま ことの光は、光がないと思うところ、希望のないと思うところに輝いています。

 9 節「その光は、まことの光で、世に来てすべての人を照らすのである。」 3 章16 節「神は、その独り子をお与えになったほどに、世を愛された。独り子を信 じる者が一人も滅びないで、永遠の命を得るためである。」神様は私たちのこの世に 神の御子を与えてくださいました。神の御子イエスは、この人のために私は命を捧げ ますと、すべての人のために十字架にかかり命をささげてくださいました。

  「8:12 イエスは言われた。「わたしは世の光である。わたしに従う者は暗闇の中を 歩かず、命の光を持つ。」イエスを救い主と尊び信じる私たちに、神の愛、神の光と命 はいつまでも共にあります。今、生きる力を失っている人、生きる希望を失っている 人がおられるなら、自分の最も大切なものを十字架にかけて世の人々のために手放し てしまわれる、そのような神様の熱い思いに、神の愛に心を向けていただきたいです。 救い主イエスがこの世にお生まれになりました。

  クリスマスは、私たちに神のまことの愛、まことの光、まことの命がある、このこ とを喜ぶ時です。神様に心を開いて、まことの光である救い主イエスをお迎えしましょう。
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