4月03日(日)「愛−この不思議なもの」 説教要旨
−ヨハネの手紙一 4章7節〜21節− 
 

 

 


   「私たちが主体である愛があります。確かに愛するのは私ですから、この私は、愛の主体に違いありません。しかし、ここにはその「私たちが主体の愛」を支える、もう一つの愛が示されます。「私たちが神を愛したのではなく、ただ神が私たちを愛し・・・」、つまり、神が主体である愛、私が神に愛されている事実に、目をとめさせます。「愛は神から出たものなのです」と。自分を主体に考えると、自分は与える方だとばかり考えます。愛すれば愛するほど、恩着せがましくなります。しかし、真の愛は、まず自分が愛されていることを知る、そのことから始まります。私たちの愛は、本来神が主体である、あの大きな愛の幹から派生して、出てくる小さな枝にすぎません。そうでないと、「私たちが神を愛したのではなく、ただ神が私たちを愛し、私たちの罪についてのあがない、その子を遣わされた、ここに愛があるのです」、この事実を忘れ、その意味が分からなくなるでしょう。「愛さない人は神を知りません」とは、私たち人間が神に反逆して、結局、自分しか愛していない罪の姿を、ありのまま現実的に示していないでしょうか。その時、私たち主体の愛は、愛とは名ばかりのエゴイズムであったことを、痛いほど知らされるのです。このような者のために、「罪のあがない」となられた愛の神がいますのです。その愛の泉から汲まない者は「互いに愛しあおうではありませんか」という勧めも、耳に入らないほど、傲慢になっています。 「私たちは、神が私たちの中にもつておられる愛を知り、かつ信じています。神は愛です。愛の中にとどまる人は、神の中にとどまり、神も彼の中にとどまります。このことにおいて、愛が私たちの間に全うされているのです。そうして私たちはさばきの日に、勇気をもつことができます」。最後の日を知っていることは、愛が今ここだけではなく、瞬間だけでなく、歴史をもっていることを知っているのです。愛には歴史があります。愛には、したがって成長があります。小さな愛もありますが、さらに大きな愛もあります。そしてもっと大きな愛もあるのです。最高の愛は、神の愛です。私たちの愛は、この最高の愛、神の愛の、この地上における模写にしかすぎません。このように、私たちの不完全な愛が、神の愛を映し出す時、「愛には恐れがありません」ということができるのです。「あなたの愛に注意しなさい。あなたが人びとにとって何者であり、何を与え、行っているかを。もしあなたが恐れから脱却していなければ、あなたの愛に傷があり、この者、あの者に対するねたみや憎しみがあります。あなたが愛において欠けているなら、神の完全な愛の中にあるあなたの喜びとあなたの平和をも傷つけているのです」。  「まさに完全な愛は恐れを外に追い出します。恐れにはこらしめがともない、恐れる人は、愛において完全になっていません。私たちが愛しあうのは、彼がまず私たちを愛してくださったからです。もし誰かが私は神を愛すると言いながら、その兄弟を憎むなら、その人は偽り者です。現に見ている兄弟を愛さない者は、まだ見ない神を愛することはできません。神を愛する者は、その兄弟をも愛すべきです」。私たちは、このことによって、私たちの愛がまだ不完全であることを知ります。それは私の心の中に恐れがあることです。けれども、よく母親が、子供を危険から守るために、力強い攻撃者を恐れず立ち向かうことがあります。母親の子供に対する愛が、恐怖を乗り越えたのです。そのようにある時点を取ってみれば、私たちの中にも、恐れのない心が支配することがあります。その時、私たちは瞬間的、完全な愛をいただいているのです。このある時点での愛は、永遠の神の愛の写し絵です。それは私たちの地上の不完全な愛の中にも、時々現れます。目に見える兄弟を愛することの中に、実は私たちが神を愛することが含まれ、そのことを通して、神の愛が私の中に生き、私をささえることを実感するのです。このような地上における「しるし」なしには、どうして私たちは、見えない神の愛を実感することができるでしょうか。愛は破れやすいものです。それは壊れやすい、薄い瀬戸物のお皿に似ています。ただ違う点は、瀬戸物なら壊れたらもとに返りませんが、幸いなことに、愛は、またもとに戻すことができます。それは神の愛が私に注がれている証拠です。ここには不完全な私たちの愛と、完全な神の愛との相互関係があります。そして私たちが地上の生涯を終える時、神の完全な愛に包まれるのです。これが愛の歴史的、終末的姿です。

 

   
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


Copyright(c)2005 Setagaya Chitose-Church All rights Reserved.