7月17日「回心」説教要旨
使徒言行録 16章 19節〜40節

 

    すべてのことにはよいことがあると、また悪いこともあります。必ず正反対のことが起こるのです。今、女奴隷が解放され、大喜びの時、パウロとシラスの二人は捕らえられ、牢屋に入れられました。パウロは言っています。「この福音のためにわたしは捕らえられて、悪人のように苦しめられ鎖につながれました。しかし、神の言葉はつながれていません」と(Uテモテ2:9)。 皆さん、本当に神の言葉はつながれていません。その証拠に「真夜中ごろ、パウロとシラスが賛美の歌をうたって神に祈っていると、ほかの囚人たちはこれに聞き入っていた」とあります。牢屋の中で、パウロたちは、神を賛美していたのです。人間は、あまり幸せが大きいと賛美を忘れて、すべて自分の力と過信してしまいます。またその反対に、あまりにも不幸が大きいと賛美どころか、神を呪い動揺します。ほどほどの幸せの時しか、神を賛美しません。したがって、そのためほどほどの神の助けしか受けません。しかし、今この牢屋の苦難の場所が、賛美の場所に変わったのです。私たちは礼拝するのに、大会堂を必要としません。どんなところでも信仰があるなら、そこは神賛美、神礼拝の場所となります。この牢屋の出来事こそ、私たちに慰めと勇気とを与えるものではないでしょうか。パウロは鞭打たれた傷痕で血まみれになり、手枷足かせをはめられて、身動きのできない時、神を賛美したのです。賛美と祈りは、どんな時でもできないことはありません。このような苦難のどん底で、神への賛美が起こる時、勝利がそれに続くのです。「誰かが弱っているのにわたしが弱らないであろうか。誰かがつまづいているのに、わたしが燃えないであろうか。誇るなら、わたしの弱さを誇ろう」(Uコリント11:29)。パウロは苦しみのどん底でこう叫びました。このような苦難の中での神賛美、それは昔、パウロの時代のことでしょうか。それとも今、現在の私たちにも起こり得ることなのではないでしょうか。さてこの必死の祈りに答えるかのように、その時、地震が起こりました。地震はしばしば聖なる神の現臨のしるしでした(使徒行伝4:31、イザヤ6・4)。地震とは、わたしが確実だ思っているこの大地がゆるぐことです。わたしを支えているものが動きだし、壊滅することです。人生にはいろいろな地震があります。急にガンを宣告されること、突然リストラを言い渡されること、商売がうまくゆかず、廃業におとしいれられること。離婚、喧嘩、騒動、テロ、世界には何でもありです。
 しかし、ここで起こっていることの真の奇跡は、地震でもパウロの賛美でもありません。預言者エリアの時代、「地震の中にも、主はおられなかった、地震の後に火があったが、火の中にも主はおられなかった。火の後に静かなか細い声があった」(列王記上19:11)とあります。まさにここでも真の奇跡は、神の静かな細い声であります。その細い声とは、「主イエスを信じなさい。そうすれば、あなたも家族も救われます」の呼び声です。ここで大切なことは、ただ「信じる」ことにほかなりません。この牢番は、どうしてこんなに早く信じたのでしょうか。彼は死の一歩手前まできたのです。当時、囚人を逃亡させた者は、同罪であります。「死の一歩手前まで来た者は、福音の一歩手前まで来たのです」。私たちが一時、不利益をこうむって損しても、思わない救いを受けることがあります。もしパウロの入獄がなければ、その牢番は、どうして救われたでしょう。パウロが牢に入って福音宣教をやめなくてはならない時にも、神は彼と共にいらっしゃいます。それゆえ、このような禍をも神の栄光の働く場に変えることができました。私たちも、もし神を信じ続けるなら、どのような邪魔、どのような妨げも恐れる必要はありません。たとい悪魔が、どんなに妨害してきても、神はかえって、そのことを栄光へと変えます。絶望に面して、私たちのなすべきことは、ただ一つ「信仰」であります。ここには、何らの英雄主義もありません。自分の力を全くもたない、ただ鞭打たれ、体中ただれはれあがった、苦悩にうめき、痛み苦しむ一人のユダヤ人がいるのです。ただしかし、このユダヤ人パウロの力は、イエス・キリストから来るのです。「その力、汝にあり、その心、シオンの大路にある者は幸なり、その人は涙の谷をすぐれども、そこを多くの泉あるところとなす」(詩編84:5)。パウロは今、何一つできない人、まったく何もできず、この世に対しても、自分に対しても死んだ人、それゆえ、今世界の主は、彼の中に強く働き、彼自身負うことのできないものを、主自身が彼らのために負ってくださるのであります。

ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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