説教要旨

	12月4日（日）「シメオンの賛歌」説教要旨　　ルカによる福音書　2章22節～35節　クリスマスはみな幼子に目が向かいます。しかし、聖書はふたりの老人にも目を向けるのです。それはこの幼子とその家族を、老年の練達と信仰の深さによって祝福するためです。この人達は三人の博士たちのように、贈り物をもってきません。ただ賛美の言葉を出したのです。賛美こそ最大の贈り物ではないでしょうか。この大きなことをしたのは二人とも、御老人です。「それは神に属するものは、何であれ、いかに小さい者であれ、年老いた者であれ全世界以上に喜ばなければならないことを教えているのです」。私たちは神をほめたたえる時、決して一人ではいません。必ず一人の賛美は、第二の賛美を呼びます。「徳は孤ならず、必ず隣あり」であります。真に正しい、神に属することは、決して孤立しないことを現しています。一人では、隣りがありません。自慢や威張りでは、自分だけが孤立していて、隣人がいません。「二人は、一人よりも勝っています。二人で労苦すれば、良い報いがくるからです。どちらかが倒れると、一人が相手を支えおこします。倒れても、起こす人のいない、ひとりぽっちでは哀れです。また二人でいっしょに寝れば温かい、しかし、一人ではどうして温かくなることができるでしょう」(伝道の４・９－１１)。反対に私たちが自分のみを称たえようとすると、私たちは混乱し、その結果は、いつもまずいのです。そしてそのすべては自分にはねかえってきます。その時、私たちはきまって一人ぽっちです。こうして人間は自ら墓穴を掘るのです。シメオンとアナンの二人には、大きな違いもあります。一人は男と他は女、神殿の外と内、大声と小声といったように。しかし、このような違いにもかかわらず、二人は、聖書の中で神の救いをほめたたえる点、一致し、調和しあっています。二人とも老人、聖霊を受けた老人。聖霊は老齢を克服します。　ただこの二人は、決して話し合ってやっているわけではありません。二人を結んでいるのは、生ける神にほかなりません。しかし、二人には共通点もあります。第一に、二人とも老人であることです。老年にはくりごとが多いにもかかわらず、この二人は、「私」ということがありません。ただ神をほめたたえるために生きています。そして決定的な点は、この二人が、自分の生涯の不幸や老いという不利な点まで、神の恵みに変えたことです。シメオンは、全く由緒来歴も何も分かりません。どこの出で、どういう生涯をとおってきたのか、誰にも皆目理解できません。教会というところは、由緒来歴を問わないところです。教会でどこの大学でたから長老に選ぶわけではありません。たった一つ、はっきりしていることは次のことだけです。「エルサレムに、シメオンと言う名の人がいました。この人は、義なる、敬虔な人で、イスラエルの慰められるのを、待ち望んでおり、聖霊がシメオンの上にありました。この人は、主を見るまでは、死を見ることはないと、聖霊によって示しを受けていました。そして御霊を受けて、神殿に行きました」。一言で言えば、この人は、聖霊の人だということです。イエスは、聖霊によってマリアの胎に生まれました。またイエスに聖霊が鳩のように下りましたし、(三・二二)、使徒行伝ではペンテコステに聖霊が炎のように現れました。実にそれ以前に、彼は聖霊を受けていたのです。何と不思議なことではありませんか。聖なる霊は、また祈りの霊であります。シメオンは、祈りの人に違いありません。その祈りは、答えられました。彼は、「救い主を見るまでは、死ぬことはない」と確信していました。そして「今こそ主よ、あなたの僕を、あなたの語られた言葉どうり平和に、この世から去らせてくださいます」と歌いました。「人に備えられた神の救いを目の前にして死ぬ者にとって、死は、神の平和の門であります」。多くの人びとは、死を恐れています。考えないようにしています。しかし、それは必ずだれにもやってきます。しかし、救い主に出会った人は、平和に死ぬことができます。シメオンは、それだけではなく、イスラエルの慰められるのを、「待ち望んで」いました。ただ自分だけの慰めではありません。またただ「待って」いたのではありません。かと言って、ただ「望んで」いたのでもありません。単なる希望や願望ならどこにもあるでしょう。「待ち望む」とは、期待しつつ待つことにほかなりません。私たちはキリスト者であても、いつも、期待よりも、あきらめや、ただ願いながら、確信していないことが多いのではないでしょうか。しかし、シメオンのように期待しつつ待ち望む者に、神は最大のものをくださいます。
	ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。