12月 24日(日)「二人の王」説教要旨
   ルカ2章:1-18

  ここには二人の王がいます。アウグストというローマの皇帝と馬小屋で生まれたイエスです。私たちの生活の中には、いつでもこの二人の王がいます。一人の王は、戸籍登録、役所、結婚する届けをだす、税金を払う、日常活動の、ほとんどが、この王のもとにあるでしょう。教会とても、土地の登記その他の時はこの王のもとにあります。それは世俗的王です。政治、経済、教育、皆そうです。この王なしには、日常生活の何事も進まないでしょう。したがってこの王は、絶大な権力をもっています。

 けれども、皆さん、私たちの生活は、ただこの王の下なる生だけでなく、別な生があります。たとえば芸術、思考、趣味、信仰、宗教など、だれでも、この世俗的王の下にない生活をもっています。

  世俗的王は支配するため戸籍登録をします。徴税と兵役のためです。それは支配です。もう一人の王は、仕えるために来ました。

 ゼベダイの子ヤコブとヨハネが、イエスのもとに来て、「イエスさまが王となったとき、ひとりをその右に、ひとりをその左においてください」と頼み、他の弟子たちが怒り出した時、イエスは言いました、「あなたがたの知っている通り、異邦人の支配者と見られている人びとは、その民を収め、また偉い人たちは、その民の上に権力を振るっている。しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う人は、仕える者となり、あなたがた間でかしらになりたいと思う人は、すべてのの人の僕にならねばならない。人の子が来たのも、仕えられるためにあらず、かえって仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」と(マルコ10:42-45)。  

  では二人の王のうちいずれが勝つのでしょうか。二人の王とも、「すべての」という言葉があります。「全世界の人びとが戸籍登録するようにと」。しかし、これまでの歴史で、全世界を統治し支配した王は一人もいません。アレキサンダー、ナポレオン、ヒトラーみな挫折しました。しかし、この仕える王はどうでしょう。「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる」と、この王も「民全体、すべての民に」と言われています。この愛において勝利する王は、事実全世界を支配しました。その点、あの政治的王とは違います。

  今、聖書を自分の国語で読めない人は、一人もいないそうです。聖書は1151語に翻訳され、これは世界の国語の半数、そしてすべての人が自分の国言葉で聖書をよめるのです。日本でも、分冊をいれれば、4千万冊毎年でるそうです。 

  それなのに、この王は馬小屋で生まれ、貧しい顧みられない人びとの友となり、十字架の上で死にました。この王は、最も神らしくない、それどころか神にふさわしいものは何一つありません。疑うこともできます。信じないこともできます。ごみの山に、ポリバケツに生まれたと言ってもよいでしょう。しかし、武力で固めた日本は力で勝ったでしょうか。敗戦後の神学校主催の修養会に、多くの若い人が集まりました。イランの教会では、ここ15年に3人の牧師さんが、原理主義者に殺されました。しかし、信徒の数は1%から20%に増えました。私たちの個人的生涯においてもキリストを否定した時、常にイエス・キリストが勝利しています。

  ここに「すると、主の天使が近づき、主の栄光が周りを照らしたので、彼らは非常に恐れた」とあります。恐れ、「大いなる恐れ」、それはいわゆる「おっかない」ではありません。恐怖の「恐」でも「怖」でもなく、「畏敬」の畏れかしこむ、おそれです。

 神をおそれる「大きな畏れ」に対して、私たちの「小さな恐れ」があります。日常にある恐れ、それはみな小さな恐れにすぎません、私たちの中に、この救い主、馬小屋で生まれた幼子に救い主を認める、真の畏れがあるでしょうか。もしこの真の畏れが私たちの中に満ちるなら、私たちの日常の小さな恐れは吹き飛んでしまうに違いありません。それらは、決して恐ろしいものではありません。

 天使は言いました、「恐れるな。わたしは、民全体に与えられる大きな喜びを告げる。今日ダビデの町で、あなたがたのために救い主がお生まれになった。この方こそ主メシアである。あなたがたは、布にくるまって飼い葉桶の中に寝ている乳飲み子を見つけるであろう。これがあなたがたへのしるしである。」それがしるし?各時代の人びとは、そう疑って来ました。しかし、それはほかでもなく、「あなたがたのための」救い主です。「小さな恐れ」に対して、「大いなる畏れ」が満ちあふれます。その時、あなたは喜びに満たされるでしょう。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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