3月4日(日)「信仰と性格」説教要旨
出エジプト4:10-17

  聖書は、不思議なほど人間の性格に関心を示しません。今、モーセが自分の口べたを言い訳にします。「ああ主よ、わたしは以前にも、またあなたが、しもべに語られてから後も、言葉の人ではありません。わたしは口も重く、舌も重いのです」。
  主は言われた、「だれが人に口を授けたのか。おし、耳しい、目明き、目しいに、だれがするのか、主なるわたしはではないか。それゆえ行きなさい。わたしはあなたの口と共ににあって、あなたの言うべきことを教えるであろう」。神は、「性格というのは、主である神が、あなたに与えたものであるから、私があなたの口と共にいる」と言っているのです。「性格」より「使命」、それが聖書の導きです。
  しかし、聖書は、性格を完全に無視している訳ではありません。なぜなら、兄弟のアロンという雄弁な人に目をつけ、彼がいるではないかと言います。つまり、神は口べたなモーセに代わって、雄弁なアロンをお用いになります。ということは、神にとって、性格は問題だったはずです。しかし、性格は使命を越えることはない、ということです。そこで信仰から見た性格の問題に焦点をあてましょう。

  私たちの中には、性格についての誤った考え方があります。
  • 1  性格を宿命的に考える。こういう性格だからだめだ。 しかし、性格には両面があります。「落ち着いている」人は、多面「ぐず」かも知れません。何でもてきぱきやる人は、またよくしくじる人かも知れません。
  • 2 性格の対人関係性を忘れる(人間性、じんかんせい、間の問題)。ある場所で、こちらの性格が出て、別な場所では別な性格が出ます。またある人には自分のこのよい面が出るのに、他の人には悪い面が出ます。
  • 3 性格をすぐ価値観と結びつける。 この性格は悪い、直さなくてはならない、と言います。しかし、直さなくてもいいのでないかと考えたことはないでしょうか。性格は、多くの場合、善悪とあまり関係ないようです。
  • 4 性格は形成的(流動的、造ってゆくもの)。性格は、これと固定したものではありません。それはたえず流れる水ほどではありませんが、ある程度、流動的なものです。性格は変わります。身体的要因、回りの影響、内的要因(たとえば信仰、信念)その他で変わります。
  • 5 性格はタイプ化してしまうことです。タイプというのは、おおづかみな類型化にほかなりません。個性(世界でただひとつの自分)を忘れるな。それは一人の尊い名の問題にも連なります。
  

  性格論を学ぶ意味。  

  それなら、何も性格について学ばなくてもいいではないか。そうではありません。学ぶことによって、自分を相対化でき、他者を理解し、受け入れることができます。  
  次に性格の構成要素を考えてみましょう。性格を形成する過程には、次のような要因があります。  
  • 1 遺伝的要因
  • 2 幼児期の体験
  • 3 身体的要素
  • 4 社会的環境

  初めの方にあるものほど、宿命的要素が大きいのです。後の方ほど、変化する要素が大きいのです。遺伝的要因は変えられなくても、それを薄めたり、他の良いものを拡大することによって、無害にすることはできます。幼児期の体験以降は、変えることができます。  

  性格と信仰との関係。信仰は、まず性格を自由に考えさせます。つまり性格の宿命的考えから自由にさせます。
  次に、変えられない場合も、この性格が神が私に授けた賜物だと信じます。性格を相対化します。それは他者をゆるすことにつながります。  
  次に性格の自己矛盾的、弁証法的な姿を忘れてはいけません。弁証法的というのは、否定をへて肯定にいたる態度です。たとえば、相反する性格が、引き合うという事実です。自分と全く同じ性格の人は、いやになります。しかし、また相反する性格は、引き合うとと共に、反発しあいます。この辺がうまくゆかないところではないでしょうか。しかし、信仰的態度は、二つの点で力を発揮します。一つは、他人について相対化しゆるし、自分については、神の賜物に目覚めさせます。  

  最後にヨハネ福音書の最後の言葉について。ペテロはこの弟子、多分ヨハネを見て、「主よ、この人はどうなのですか」と聞きます。するとイエスは、「たといわたしの来る時まで、彼が生き残っていることを、わたしが望んだとしても、あなたには何の係わりがあるか。あなたは、わたしにしたがってきなさい」と言っています。イエスが、罪をおゆるしになるとは、あなたのその性格のままでついてきなさいと言われたことです。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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