説教要旨

	12月9日（日）「ザカリア、老年の祝福」説教要旨ルカ1:5-23 クリスマスは希望を与える日です。ここに出てくるのは老人です。人生にもう何も希望がないと思っていたお年寄りであります。またすぐ次には、マリアという一人の乙女が出てきます。しかも田舎の、あまり自信のない女子青年なのです。驚いたことに救い主が与えられたのは、その自信のない女子青年の、おなかの中です。また東の博士たち、これは、決して有名な神学者ではありません。異教の天文学者です。あのエルサレムの偉い律法学者ではありません。日本キリスト教会で長老主義の原則とか、やかましく言う人がいますが、ペルシアの天文学者は、そういうやかましいことを言う、律法主義者ではありません。今日のバイオテクノロジーの学者が、医者が、科学の進歩にたいして、倫理の確立に苦しんでいます。そして聖書の言葉に救いを求めてきています。しかも、深く考えた聖書の考えは、そこに解答を与えるでしょう。かってドイツの東西の壁がこんなに早く崩れるとは思いもよりませんでした。東と西の世界の構図がこんなに早くくずれると、誰が想像したでしょうか。政治家は、神のなさることのあまりの速さに、何をしてよいか、分からないでいました。しかし、これはキリストのお望みになっていることが、実現しているのではないでしょうか。そう考えたなら、勇気がでてまいります。全世界は、この一人のイエス・キリストを目指しているのです。テイヤール・ド・シャルダンは進化論を認め、「進化の目標（オメガ点）」は、再来のキリストであると申しました。このキリストに向かって行く、救いの歴史の中では、誰一人、無用の人はいません。希望のない人はいません。あなたも必要です。ただこの救いの歴史に、目が開かれていないだけなのです。自分を見ると、まわりが恐ろしいかも知れません。けれども、神を見あげ、救いの歴史に目がひらかれると、力が涌いてきます。今日の崩壊の兆しは、倫理の崩れは何でしょう。世は終わるのでしょうか。　さてここにも、この神の偉大な、救いの歴史に目が開かれていない、ただ終りを見つめている老夫婦がおりました。この老人には、子がありません。ところが実りがない、成果があがらないとわたしたちが思っている時、これほど神が、事をなさるのに、有利な時はありません。人間の側に、希望が消え果てている時、それは神が事をなさるには、有利な材料なのです。しかし、ただ一つ、神の約束が信じられるならば、それは有利な材料になるのです。否、老ザカリアは、それどころか、信じることができません。「どうして？」と尋ねます。神が事をなさり、真の救いを成就する時、人間の助けなしに実現なさることが多いのです。あらゆる障害にもかかわらず、神は約束の実現の場所をこしらえます。不思議ではありませんか。ザカリアは、「あなたの祈りが聞きいれられたのです」と言われたのです。長いこと祈っていた当のことが聞かれたのです。では彼は聞かれないことを前提として、祈っていたのでしょうか。神は、わたしたちの思うところ願うところよりも、はるかに優ったことをなさる神なのであります（エペソ3:20）。「越える」とは、私たちの知識、思惑、経験一切を越える、思いはからないことが起こったということです。わたしたちは神の言葉を聞いている、しかし、信じてはいない。祈ってはいる、しかし、信頼してはいないのです。みんな既製の観念で、神を測っているのです。それはまるで三〇センチの物差しで、地球の長さをはかるの似ています。「あなたの祈りが、聞き入れられたのです」。それは、ほかでもなく、「あなたの」祈りです。それなのにザカリアは、恐れています。ここでザカリアは何をしたというのでしょう。何もできません。誰も、このクリスマスに起こっていることを作りだすことはできません。神のなさることに、手助けすることさえできません。そこでは人は、みな無力にすぎません。ザカリアとその妻とが、「正しい人で神の戒めと義を欠けなく行っていた」ということも、何の助けになりません。しかし、時は満ちます。わたしたちの沈黙は、その時までです。祈りと沈黙をへて、わたしたちは神の器とされます。沈黙の時が長ければ長いほど、神の出来事は、力強く伝えられます。そのことを信じていますか。悔い改めるということは、わたしたちが、普通と考えている順序が逆転することです。ヨハネはこの逆転をさせて、クリスマスの準備をしていた証人にほかなりません。ただ個人的喜びではありません。神の救いの歴史の偉大な業が行われる、その歓喜にほかなりません。
	ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。