2月24日(日)「どうして聖書は真理か」説教要旨
エレミヤ20:9 Tコリント1:18-25

   これからお話しすることは、キリスト教がどうして真理かということを、信仰内容によってではなく、歴史的に、いわば「状況証拠」的に述べるものです。


   T 古代社会の中の、唯一神教

   旧約聖書学者は申します、「イスラエルを囲む、古代社会の国々のほとんどすべてが、多神教であるのに、これら強国に囲まれた小さな国イスラエルだけが、唯ひとりの神をもつ、『一神教』を守り通したことは、歴史学的に見て、不思議な現象である」と。

   イスラエルの十二の部族は、血族的つながりでなく、契約を基とする宗教共同体であると言われます。その唯一神教がユダヤ教だけでなく、キリスト教、イスラム教と続き、この三つのアブラハム宗教が、合計して世界の宗教人口の73%を占めている事実は驚くべきことです。


   U 新約聖書の描くイエスは、古代家父長制の中で、しかも独裁的国家の多い中で、子供、婦人、病者、老人、障害者を大切にし、いや中心にさえおいています。その一匹の迷う羊をどこまでも追い求める姿、人びとが敵視しているサマリアの婦人に声をかけ、また子供を真ん中において祝福する態度、その罪人をゆるし、愛に徹底して生き抜いた生涯。そして十字架の死、しかも、自分を十字架につける者のために祈る、その祈りの態度は、反対の人の心をも打ちます。

   イエスを十字架につけたローマの兵隊の隊長すら、「この人は、実に神の子であった」と叫ばざるをえないほどの崇高な死の姿、まさにこの方こそ神の子であったのではないでしょうか。


   V 弟子たちは、イエスの十字架の死後、恐れまどって家の戸を閉じて、隠れていたのに、復活したイエスが、多くの弟子たちに現れて励ました結果、イエスの弟子たちは、死を恐れず、この十字架のイエスを宣教しようと、立ちあがりました。このような変化、それは十字架・復活のイエスなしには考えられません。

   こうして初めは、ユダヤの律法学者たちから迫害されながらも、ついに爆発的に成長し、その極端に反対する迫害の急先鋒だった律法学者パウロが、ダマスコ途上で、復活したイエスに出会い、キリスト教に回心したのみならず、初代教会の第一の伝道者になったという、世界を揺るがす事実は、神の業としか説明のしようがありません。ついで古代ローマ帝国の強烈な迫害の中、無防備で弱いキリスト者がついに強大なローマ帝国に勝利しました。こうして一人の殉教者の血は千人の新しいキリスト者を生んだと言われ、下は奴隷階層から、上は上流婦人に至るまで、キリストの教えは、燎原の火のように広がって行きました。そしてついにローマ帝国を、ただ信仰によって倒したのです。


   W ユダヤ人の歴史を見ると、イスラエルは神の民、選ばれた民族であることを認めざるをえません。数々の迫害の中、特にバビロニアの捕囚は、約五十年も続きます。また紀元70年のユダヤ戦争で、ローマ軍に徹底的に破壊され、それ以来、1900年以上も故郷を失い、各国に散在していながら、民族がなくならなかったどころか、ついに1948年イスラエルの国家を建設した事実は驚嘆に値します。

   イスラエルはその長い歴史の中で、多くの罪を犯します。最大の罪は、イエスを十字架につけたことです。その他にも、偶像に走ったり、アラブと仲悪く、多くの罪を犯しながら、にもかかわらず、滅びないで存在している事実は、イスラエルの善悪を越えて、神の選びの導きがあったとしか言えません。

  さらにユダヤ人は、世界を動かすような天才的力を発揮する人びとを輩出します。マルクス、アインシュタイン、ベルクソン、フロイド、シモンヌ・ヴェーユ、アドルノ、ホルクハイマー、ベンヤミン、いろいろな分野で歴史を変えるような大事業をします。これは神の賜物としか言いようがありません。


   Y 時代の困難な迫害の中で勝利するローマ時代はすでに述べました。啓蒙主義の時代、自然科学が発達して、人びとは、科学の発達により、聖書を信じなくなりました。しかし、その中をキリスト教は生き抜き証ししています。

   共産主義の無神論の宣伝、ロシアではスターリンの迫害、中国では文化大革命の中、勝利したのは、やはりキリスト教です。江戸時代のキリシタンも、筆舌につくしえないほどの迫害と拷問に会いましたが、生き残ったのは、徳川ではなく、キリスト者でした。現代のイランにおいて、ここ20年間に五人の牧師が殺されました。しかし、初代教会のごとく、キリスト者の数は、1%から20%に増えました。

  これらの事実は、単に歴史的説明ですが、それを越えて、背後に神のみ手があるとしか考えられません。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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