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6月7日(日)「言葉の信仰」説教要旨
申命記30:11-14 ヨハネ1:1-5
 日本の宗教には、「言葉のない信仰」が多いようです。「なにもののおわしますかは知らねども、かたじけなさに涙こぼるる」と言った、言語にならない敬虔感情中心です。
 お参りしている人に、「ここの祭神は誰で、その教えは何ですか」と聞いても答えられる人は少ないでしょう。
 しかし、聖書は、「言葉の宗教」です。
「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。言葉は神であった。この言葉は初めに神と共にあった。すべてのものはこれによっできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。この言葉にいのちがあった。そしてこのいのちは人の光であった。光は闇の中に輝いている。そして闇は光に勝たなかった」  (ヨハネ1:1-5)。
 ゲーテのファウストに、このヨハネの言葉を「初めに行為があった」と変えところがあります。
 普通考えると「行為」の方が、言葉よりも力があるように感じられます。「不言実行」などと言います。しかし、「神が光あれと言うと、光がある」(創世記1:3)ように、神の言葉は行為を含むのです。もし言葉なしの行為だけの世界だったら、どうでしょう。それはアフリカの動物ばかりの荒野を歩いているような、茫漠とし恐ろしい世界ではないでしょうか。
 なぜ言葉が軽視されるのでしょうか。日常、内容のない宣伝の言葉ばかり聞いているからです。それで神の言葉の威力を忘れているのです。言葉は行為と結びつき、言葉によって、人は変えられるのです。それは単なる「説明の言葉」でなく、「証しの言葉」です。「言葉は肉体をとって、私たちの間に宿った」(ヨハネ1:14)
 「宿った」とは、「テントを張った」、住居とされた意味です。この私たちの間に宿る神の言葉です。それは実存的な、「証しの言葉」です。単なる解説、「説明の言葉」ではありません。
 「説明の言葉」で、人は納得が行きますが、それで生かされることはありません。ガンになった人が、その成り立ちの説明を聞いても救われません。「あなたは神に守られている、大丈夫だ」という「証しの言葉」が、その人を救います。「証しの言葉」-「祈りの言葉」ー「対話の言葉」、この三つが必要です。三つは不思議に一つになっています。
 昔、中学の国語の教科書に「生きた言葉」という文章がありました。それは新入生が、先生と知らずやり過ごし、後から来る上級生があいさつしているのを見て、追いかけて言って、「お早うございます。先ほどは先生と知らず失礼しました」と言ったの見て、とても初々しい新鮮な言葉に感じたとあり、最後に「愛語よく回天の力あるを学すべきなり」という道元の言葉が引用してありました。「愛ある言葉は、天をも動かす力がある」という意味です
 。また説教の言葉によって生かされる人があります。それは説明の言葉ではありません。事実の「証しの言葉」だからにほかなりません。私たちは日常、説明や弁解の言葉ばかりでなく、生きた言葉を語る必要があります。
 今日の旧約聖書の言葉を見てください。
「わたしが今日、あなたに命じるこの戒めは、難しいものではなく、また遠いものでもない。これは天にあるのではないから、『誰が私たちのために、天に上って、それを私たちのところにもってきて、私たちに聞かせ、行わせるであろうか』と言うにはおよばない。またこれは海のかなたにあるのでないから、『誰が私たちのために海を渡って行き、それを私たちのところに携えてきて、私たちに聞かせ、行わせるであろうか』と言うにはおよばない。この言葉はあなたに、はなはだ近くあって、あなたの口にあり、またあなたの心にあるから、あなたはこれを行うことができる」  (申命記30:11-14)
 証しの言葉は、神から人です。しかし、祈りの言葉は人から神へです。ところが対話の言葉は、人から人へです。真の対話が生きる時、父・子・聖霊の交わりの神が私たちの中にいますのです。
 「証しの言葉」は、「祈りの言葉」に支えられていなくてはなりません。祈りのない説教は、力がありません。ただ「説明、解説の言葉」になってしまいます。「対話の言葉」も、三位一体の神が中にいます交わりの言葉です。
 その時、対話の言葉は、あるものを指し示す「証しの言葉」になっています。対話によって心の病んでいる人がいやされます。苦しんでいた人が、うそのように生き返ります。対話の言葉と祈りの言葉はくっついています。祈りは神との対話だからです。こうして、証しの言葉と祈りの言葉と対話の言葉は三つが一つになっています。それらはみな父・子・聖霊の三位一体の神の御業であります。
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ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。 |
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