7月12日(日)「信じられる信仰」説教要旨

   ガラテヤ4:8-9 ローマ3:21-22  

  「信じられる信仰」とは何でしょう。それは「信じる信仰」の反対です。ふつう私たちは、「神を信じる」と申します。しかし、その逆もあるのではないでしょうか。今日のガラテヤ書の御言葉を見てください。  
「神を知らなかった当時、あなた方は、本来神ならぬ神々の奴隷になっていた。しかし、今では神を知っているのに、否、むしろ神に知られているのに、あの無力で貧弱な、もろもろの霊力に逆もどりして、またもや、新たにその奴隷になろうとするのか」
  (ガラテヤ4:8-9)

  ここでパウロは、「今では神を知っているのに」と言ってから、すぐに「否、むしろ神に知られているのに」と言い直しています。私たちは、神を認識しているのではない。私が主体で神を知っているのではない。むしろ、神が主体で、私は神に知られているのだと。イエスは言いました、
「あなた方が私を選んだのではない、私があなた方を選んだのである」(ヨハネ15:16)

  「信じられる信仰」とは、私が信じるとは逆に、「神が、イエス・キリストが、私を信じてくださる信仰」のことです。  

  マタイの14章22節以下に、嵐の中をイエス・キリストが、弟子たちの船に近づいてくるところがあります。ペテロは、イエスに「あなたでしたか、それなら私が歩いて身元に行けるようにしてください」と言うと、イエスは「来たれ」と言います。ペテロはそろそろ海の上を歩いてゆきます。
  しかし、波と風を見て恐れたら、沈みそうになりました。イエスは、沈む彼を支え、「信仰の薄い者よ、どうして疑ったのか」と言われました。ペテロは信仰があります。だから恐れずイエスのもとに行こうとしたのです。しかし、ただひたすら一心にイエスのみを見つめてまっすぐに行けばよかったのに、周りの波風を見て恐ろしくなり、イエス・キリストを見失いました。その時、沈むのです。
  「私が神を信じる信仰」は、このペテロの信仰にほかなりません。皆さん、「私が神を信じている信仰は沈むのです」。しかし、そこにもう一つの信仰がありました。それは沈むペテロを支えるイエスの信仰です。これが「信じられる信仰」です。  

  ローマ書に有名な箇所があります。
「しかし、今や神の義が、律法とは別に、しかも律法と預言者によってあかしされて、現わされた。それはイエス・キリストの信仰による神の義であって、それはすべて信じる人に与えられます」
  (3:21-22)

  ここで「イエス・キリストの信仰(ピステイス)」という言葉は、キリストが私を信じる信仰か(信仰ピステイス、真実)、私たちがキリストを信じる信仰か。どちらでしょう。今日の説教題に副題をつければ、それは「客観的信仰」です。日本人の信仰は、主観的です、「イワシの頭も信心から」、それは私たちの心の問題です。しかし、私たちの心はあてどのないものです。もしアルツハイマーになったら、そこまでしなくても、ぼけてしまったらどうでしょうか。

  客観的信仰は、次の例で示されます。難破船にあって、皆救命いかだにぶら下がっていた。しかし、その手は、疲れ果てて、一人一人手を離して海に沈んでゆきます。その時、いかだの上に、力強い方がいて、あのペテロの手を支えたような御手で、疲れ果てた私の手をつかんでくださるなら、どうでしょうか。これが「客観的信仰」にほかなりません。
  この客観的信仰は、絶対無二、神に完全により頼む信仰にほかなりません。この信仰に生きる時、将来の恐れはなくなります。  

   旧約聖書、列王記上のエリヤの記事を見てください。彼は、バールの預言者と戦って勝ちました。しかし、アハブ王に追われて逃げます。彼はどうしようもなく倒れ伏します。その時、神は現れて、
「主の前に大きな強い風が吹き、山を裂き、岩を砕きました。しかし、風の中に主はおられなかった。風の後に地震があったが、地震の中にも主はおられなかった。地震の後に火があったが、火の中にも主はおられなかった。火の後に静かな細い声が聞こえた」

  神は、「私はバールに膝をかがめない者を、7千人わがために残しておいた」と言われました。エリヤの個人の信仰は強くありましたが、しかし、王の権力の前に弱かったのです。私たちの主観的信仰は,たとい一時強くても限界があります。彼が倒れ伏した時の、「静かなか細い声」、「わがために7千人を残しておいた」、
  これが「信じられる信仰」、客観的信仰、神からくる絶対無二の信仰にほかなりません。あなたは安心してよろしい。すべてを委ねてよろしい。なぜなら、神が私のために残しておいたものがあるからです。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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