3月7日(日)「今日、何が問題か」説教要旨

           聖句
旧約 「主なる神は言われる、『見よ、わたしが飢饉をこの国に送る日が来る。それはパンの飢饉ではない。水に渇くのでもない、主の言葉を聞くことの聞くである。彼らは海から海へさまよい歩き、主の言葉を求めて、こなたかなたへはせまわる。しかし、これを得ないであろう」
  (アモス8:11-12)

  新約 「あなたがたは、キリスト・イエスにある信仰によって、神の子なのである。キリストにあうバプテスマを受けたあなたがたは、皆キリストを着たのである。もはやユダヤ人もギリシヤ人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もない。あなたがたは皆、キリスト・イエスにあって一つだからである」
  (ガラテヤ3:26-28)


   大河ドラマ「坂本龍馬」に、黒船がアメリカから来て、みな驚くところが出て来ます。また攘夷論者がでてきますが、龍馬は新しい考えをもって自由に発想します。これは江戸時代末期のことですが、それは現代の問題にも反映しています。  

   1 「黒船」、私たちも、今、黒船に直面しています。「黒船」とはアメリカ、その科学技術と資本主義(富)です。日本人は、黒船到来(1853年)以来、アメリカの影響を圧倒的に受けています。しかし、アメリカは、どうしてできたのでしょうか。イギリスで、禁欲主義のピューリタンが、自由を求めてアメリカに渡り新しい国を作り、1776年独立宣言をしました。それはフランス革命と同じ「自由、平等、友愛」の精神です。  

   しかし、「自由も平等も博愛も」、みな聖書にある真理です。「あなたがたはキリスト・イエスにある信仰によって、神の子なのである。もはやユダヤ人もギリシア人もなく、奴隷も自由人もなく、男も女もない、あなたがたは皆キリストにあって一つだからである」(ガラテヤ3:26-28)。これがそれです。  

   ピューリタンの禁欲倫理が、富の蓄積を生み、資本主義を作り出したと言われています。しかし、ヘーゲルは近代市民社会を「欲求の体系」と名づけました。それと平行して近代科学技術が発達したのも、この近代市民社会です。創造信仰は科学を発達させました。それまで自然には、恐ろしいもの神々が宿ると思っていたのに、それは神の被造物だと考え、自然は研究の対象になりました。イスラムも創造信仰ですから、中世では、アラブ世界の方が科学が発達していました。それがキリスト教世界ほど発達しなかったのは、イスラムに、ある種の律法主義があり、政教分離などの近代化が遅れたためだろうと思います。そしてこういった事情がテロの温床となったのかも知れません。  

  さて欲望の体系になった資本主義は、「自由・平等・愛」の代わりに、「効率・便利・利益」中心になりました。その負の遺産が今度のリーマン・ショックに現れたのでしょう。科学技術は便利にはしましたが、個の魂を失いました。徹底した個人主義は、一個の人間を大切にします。しかし、科学技術世界の個人主義は、利己主義に早変わりしました。自分さえよければよいと。   

   2 鎖国、攘夷(日本)  

   黒船に対して、日本の鎖国は、自分の殻に閉じこもる狭さを生みました。黒船から一五〇年も立っていますが、精神世界また人間関係では、現在も同じ問題があります。フランクにものが言えません。いまだに上と下があります。また封建的情緒的世界は、科学技術の負の遺産に弱いのです。コンピューターの行き渡り、世界が一つになり情報を共有できるようになりました。  

  しかし、あまりにも情報が簡単に、しかも沢山入り過ぎ、どれを選択するか、どれが真実の情報か、見極めることが難しくなります。それには自分が確立し、批判的眼ができ、自立した精神にたつことが必要です。徹底した個人主義は、一人の魂が尊いだけではなく、その魂が自立して自分の足で立っていなくてはなりません。ひとの言うことに動かされ、動揺するのでは、駄目です。「主なる神は言われる、『見よ、わたしが飢饉をこの国に送る日が来る。それはパンの飢饉ではない。水に渇くのでもない、主の言葉を聞くことの聞くである。彼らは海から海へさまよい歩き、主の言葉を求めて、こなたかなたへはせまわる。しかし、これを得ないであろう」(アモス8:11-12)。  

   3 アジア  

   アジアにはいろいろな国があります。イスラム・ヒンドゥ・仏教・儒教・道教等があります。 このような多元的世界とどのようにつきあったらよいのでしょうか。それは一つは、「受け入れ」です。つまり対話を始めることです。「キリストもあなたがたを受け入れてくださったように、あなたがたも互いに受け入れあって、神の栄光を表しなさい」(ローマ15:7)。今こそ徹底した普遍主義が問われています。
ぜひ、あなたも礼拝に出席して直接お聴き下さい。一人でも多くの方のご出席を心からお待ちしています。
   


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