2012年10月14日(日)秋の伝道集会説教「今、どんな時代か」
説教:蓮見和男

   

           聖句
「心にはかることは人に属し、舌の答は主から出る。人の道は自分の目にことごとく潔しと見える。しかし主は人の魂をはかられる。あなたのなすべき事を主にゆだねよ、そうすれば、あなたの計るところは必ず成る」   (箴言16:1-3)


   現代の世界の根本には科学技術があります。科学技術が発達することは、世の中を便利にします。科学技術の発達は人類の進歩であって、それ自体が悪いはずはありません。しかし、今、私たちが直面している多くの困った問題は、根本的には科学技術の発達が生み出したものであることも真理です。たとえば公害です。では科学技術はどうして悪い点を生み出すのでしょうか。自然科学は、すべてのものを、人間を中心として対象化します。次にその一部分に目を留め、それを観察し研究するのです。しかし、そこで失われているものがあります。その世界観は人間中心主義です。動物も植物も鉱物も、すべて人間の便利さのための道具となります。その時、神の創造はどうなるのでしょう。科学技術では、人間が神さまになっています。

   さらに世界はコンピューターによって革命的に変化しました。コンピューターはすべてを数で考えます、しかし、数であらわせないもの、情緒、感情、美しさなど、芸術的微妙な点まで表すことができません。コンピューター社会は情報過多で、人間は自己を見失う恐れがあります。もちろんコンピューターは道具だと思って使えばよいでしょうが、いつの間にかコンピューターに使われている人間が出始めています。今日の聖句で、「心にはかることは人に属し、舌の答は主から出る」とあります。科学技術は「心にはかることは人に属す」に当たります、しかし、そこから完全な答えは出てきません、「舌の答は主から出る」と言われる通りです。また人はコンピューターの答えはみな正しいと思っています、「人の道は自分の目にことごとく潔しと見える」。「しかし主は人の魂をはかられる」のです。ではどうしたらよいのでしょう。「あなたのなすべき事を主にゆだねよ、そうすればあなたの計るところは必ず成る」。それが聖書の解答であります。  

   この人生の中に、コンピューターや数で決定されないことがあります。また不可思議なことも沢山あります。計算し尽くされないこと、不可思議なこと、それは畏敬の対象であって、人が自由処理できない、神さまの面です。たとい科学が最高度に発達しても、なお人には分からにことが沢山あります。
「神のなされることは皆その時にかなって美しい。神はまた人の心に永遠を思う思いを授けられた。それでもなお、人は神のなされるわざを初めから終わりまで見きわめることはできない」(伝道の書3:11)
永遠を思う思いを与えられる、人はその点、神に一歩近づく、そして自然科学はそれとは違った方法で、神に一歩近づいたと思うなら、それは自然科学の思い上がりです。自然科学の対象は、神の創造された世界です。人間はその対象である自然を造ることなどできません。また自然科学の対象である自然法則も、神が創造の際、与えたもので、科学はその法則を研究することはできても、それを造ることはできません。自然の神秘に一歩はいっただけで、あたかも天下を取ったような気になる思い上がりはゆるされません。メンデレーエフは周期表を発見した時、自然の不思議な規則性に驚き、神をほめたたえたと言われます。

   「心にはかることは人に属す」、人間の計画、計算、企画というものがあります。それは人間に任せられた面です。それは人に属します。としても、何から何まで人に属するわけではありません。人間に属するものは、人にゆだねられた計画のみです。それら人に属します。それは自然科学の分野です。その分野で人はいかようにも活躍できます。しかし、「舌の答は主から出る」。その活躍の結果、人間的成果というものもあります。しかし、最終的答えではありません。それはあくまで途中経過であって、最終的答えは神に属します。たとえば「人生の意味、人間の究極の目的は何か」、自然科学は常にこの問題に入ることはできません。そこで「人の道は自分の目にことごとく潔しと見える」。人間的成果に人は誇り、驕り高ぶり、すべてが正しいとするなら、どうでしょう。それは人間の傲慢というものではないでしょうか。その傲慢な心を「しかし主は人の魂をはかられる」のであります。自然科学は何でもできると思っても、人の魂の問題まで侵入するわけにはゆきません。それは神の働く分野です、「あなたのなすべき事を主にゆだねよ」、神におゆだねすべき分野があります。それは神の領分です。それは神にゆだねるべきです。神の領分にまで入るなら自然科学は傲慢で、自己破壊をまぬかれません。
   


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