シロアム教会 礼拝説教要旨集 |
2016年10月 | 2日 | 9日 | 16日 | 23日 | 30日 | 目次に戻る |
2016年10月23日 |
「祈りの場で」加藤豊子牧師 使徒言行録16章11−15節 |
◇ 「マケドニア州に渡って来て、わたしたちを助けてください」(16:9)パウロは幻の中で、その声を聞きました。アジア州を越えてマケドニアに渡ることは、当初パウロの計画にはなかったことでした。しかし、そこに神の導き、みこころがあると確信するに至り、パウロたちはマケドニア州に渡ります。 ◇ マケドニア州というのは、ギリシャ半島辺りの地域です。現在も、マケドニア共和国という国が、ギリシャの北にあります。ヨーロッパへの入り口となるところです。トロアスから船出してサモトラケ島に直行し、翌日ネアポリスの港に着き…とありますが、地図で見る限りそんなに距離があるわけではありません。しかし、自分の予定にはなかった、新しい土地へ踏み出すその一歩というものは、パウロにとっては信仰もって踏み出した大きな意味を持つ一歩であったと言えるでしょう。 ◇ パウロたちが導かれた最初の都市フィリピは、ローマの退役軍人が住み着いて作った植民都市でした。祈り場に導かれて、神をあがめるリディアという婦人に出会い、福音が語られました。 「主が彼女の心を開かれたので、彼女はパウロの話を注意深く聞いた。」(14節) ◇ 神がその心を開いてくださった。彼女も注意深く聞いた。この二つのことが重なる中で、救いの恵みが彼女に与えられました。み言が語られ、そこに聖霊の働きがあり、心開かれ、また心を傾けて聞くときに、信じるものが起こされていく…これは昔も今も変わることのない、神が与えてくださる救いの恵みのできごとです。 ◇ この女性はヨーロッパにおける伝道の初穂となりました。パウロが信仰をもって踏み出したその一歩が、大きな実り、祝福へとつながって行ったことを覚えたいと思います。 |
2016年10月16日 |
「幻による宣教」加藤誠牧師 使徒言行録16章1−10節 |
◇ 今日の箇所などを読むとはるか昔に北森嘉蔵先生に言われたことを思い出す。「聖書は眉に唾をつけて読みなさい。」勿論北森先生のことだから簡単に解釈してはいけない。 ◇ パウロの第二宣教旅行の最初である。彼はリストラとイコニオンで評判の良いテモテを同行者に加える。そしてユダヤ人の手前彼に割礼を授けたというのである。あれあれ?と思われた方はなかなか筋がよろしい。使徒言行録15章の使徒会議のテーマは、割礼は救いの条件ではない、ということであった。父親がギリシャ人であったためこれまで割礼を受けずにいたテモテに、しかしパウロは敢えて割礼を受けさせた。キリスト者となってもユダヤ人がいかに神殿、律法(割礼)と密接に生きていたかは、21章に記されている。むしろエルサレムで、割礼は救いの条件ではない、という決定があれたことこそ、エルサレム教会の大英断であったと言える。 パウロのテモテへの指導は、よりスムーズに福音を伝えるためであった。 痛い思いをしたテモテには同情するが。 ◇ その後、パウロは自分の立てた計画を主イエス自身に反対される。「聖霊から禁じられた。」「イエスの霊がそれを許さなかった。」と続けて厳しい表現がされる。パウロは性格的な激しさを持つ人であった。15章の最後では、同行者でバルナバと揉め、共に生死をかける経験をしたにも関わらず、ついには袂を分かつ。それゆえにパウロの立てた計画に誰も反対出来なかった。主イエスを除いて。パウロのベストは主イエスのベストではなかった。しかも主が「禁じる」「許さない」という、ある意味強硬手段を用いなければならないほどパウロの性格は激しかった想像される。その時のパウロの神に対する祈りはどのような祈りであったのか是非聞いてみたい。 ◇ パウロの行く手を遮った神は「幻」でパウロを導く。それはかつて歩いた道ではなく全く新しい道であった。世界に通じる道であった。 |