1月のメッセ−ジ 2002年
「信仰が求められています」
「イエスは彼らに言われた。「どうしてそんなに怖がるのです。信仰がないのはどうしたことです」
(マルコ4:40)
新年あけましておめでとうございます。
この年が天地を創造された神様の祝福に満ちた年でありますように、心からお祈り申し上げます。
1 厳しい時代に生きるために
毎日新聞によれば、一昨年の社会を象徴する言葉は「閉塞感」と「癒し」でしたが、去年は「戦」と「狂」だそうです。同時多発テロとアフガン空爆、狂牛病、多発する凶悪犯罪などを連想させます。21世紀最初の年も、戦争で始まり、日本経済も深刻なデフレ不況に苦しんでいます。サラリ−マンはリストラ解雇や倒産に怯え、学生は就職難で苦労し、お年寄りは先々の生活に大きな不安を覚えています。こんな厳しい時代に必要なのは、忍耐力と精神的なタフさではないでしょうか。
熱血漢星野新監督を迎えた阪神タイガ−ズの今年のキャッチフレ−ズは「決してあきらめない」と発表されました。ネバ−ギブアップ精神を標語に掲げるスポ−ツ選手や企業も今年は増えてきているようです。厳しい時代を生き抜くにはやはりタフさが求められる時代です。
2 ガリラヤ湖での苦闘
イエス様は夕暮れになってから、お弟子たちに船を漕ぎだしてガリラヤ湖の向こう岸に渡るように命じました。ところが夜半に突然の嵐に見舞われました。お弟子たちは、気象の変化を読むことではベテランの漁師たちです。船を操ることではプロの漁師たちでしたが、彼らの予測をはるかに越える事態に遭遇しました。このままでは船が転覆沈没し、闇夜の海に投げ出されて、いのちを落とすかもしれないという恐れに包まれ、パニックに陥りました。彼らは波風に心奪われ、何とかこの苦境を乗り切ろうと自分の力に集中してしまった結果、イエス様の存在を忘れてしまいました。
我に返ってイエス様に助けを求めた時、イエス様は船の舳先に立ち上がり、「黙れ、静まれ」と権威をもって一喝し、嵐をたちまち静めてしまいました。このことはイエス様が自然界をも支配される全能者であることを証明しました。イエス様は十字架にかかって私たちの罪を解決して下さった「罪からの救い主」であると同時に、3日後に復活され神の右の座に着座された主権者であり、私たちのあらゆる人生の問題の真の解決者でもあるのです。
3 信仰を求められたイエス様
嵐を静めた後、イエス様は弟子たちに「信仰がないのはどうしたことです」と問いかけました。厳しい危機的状況だからこそ、イエス様は神への信仰を求められたのです。
信仰は第1に、私たちを神様にしっかりとつなぎとめます。
私たちは事情環境に翻弄されたり、時代の風に吹き飛ばされたり、世の潮流に流されやすいものです。信仰はしっかりと私たちを神様につなぎ止める恵みの力です。以前、琵琶湖で船を沖に漕ぎ出して釣りをしたことがありましたが、風と潮に流され苦労しました。ところが錨を湖底におろしている数隻のボ−トは一定の位置にとどまっていました。イエス様が嵐の中でもぐっすりと眠ることができたのは、父なる神様への揺るぎない信頼があったからです。イエス様は信仰の錨を下ろして、父なる神様としっかりとつながっておられたのです。
信仰は第2に、波の高さや風の強さにではなく、全能者なる神様を見つめさせてくれます。
そのことによって私たちは、事情境遇に左右される信仰ではなく、事情境遇さえも支配することができる信仰を神様からプレゼントされました。何よりもイエス様は、あらゆる人生の問題の真の解決者です。大きな問題を前に牧師が頭を抱えて悩む姿を想像することは難しくありません。しかし、イエス様が「ああ、困った困った」と頭を抱えて悩み込む姿を私はとどうしても想像することができません。イエス様のもとに置かれた問題でイエス様が解決できない問題などは存在しません。
信仰は第3に、人生の主人公はイエス様であることを教えてくれます。
弟子たちが船を向こう岸に漕ぎだしたのではありません。イエス様が弟子たちに向こう岸にわたるように命じたのです。さらに弟子たちが乗った船にイエス様が乗り込んだのでもありません。イエス様が乗っておられる船に弟子たちが同船同乗したのです。いつもイエス様が中心であり、弟子たちを導いておられるのです。私たちはいつしか自分が世界の中心に立とうとします。自分を真ん中において物事を考える自己中心の性質をもっています。神様を閉め出し自分が自分がと主張し、その結果人生の重荷を一人で背負い込んで疲れ果てたり、自信を失ったり、生きる気力を無くしたりしてしまうのです。神様を中心とした生活の中にこそ祝福があることを私たちは学ぶ必要があります。
「この苦しみの時に、彼らが主に向かって叫ぶと、主は彼らを苦悩から連れ出された。主が嵐を静めると波はないだ。
波がないだので彼らは喜んだ。そして主は彼らをその望む港に導かれた。」(詩107:28−30)
信仰は苦難の中にある者たちに真の忍耐と力をもたらす神様からの恵みのプレゼントです。厳しさが予想される2002年度の荒海ですが、信仰によって屈することなく、進み出させていただきましょう。
2002年1月6日