2月のメッセ−ジ   2002年

「信教の自由を守る日」 

「主がその民の傷を包み、その打たれた傷を癒される日、月の光は日の光のようになり、
日の光は七倍になって七つの日の光のようになる」
  (イザヤ30:2)

2月11日は「建国記念日」ですが、キリスト教界では「信教の自由を守る日」と定め、各地でさまざまな学習会が開催されます。戦後日本は、古事記・日本書紀という神話に基づく建国物語と天皇制国家から解放され、平和憲法の制定をもって新しい民主主義国家へと新生し、再建の道を歩み出しました。戦後五十七年が経過し、国内外の政治状況も大きく変化しつつあります。米ソの対立と冷戦が終結し、国家間の戦争よりも民族紛争や卑劣なテロ事件が多発する国境なき戦争の時代に突入しているとも言われています。

昨年九月十一日に勃発した米国同時多発テロ事件は、世界五十五カ国、五千六百余名の犠牲者を出す未曾有の大惨事となりました。日本政府は10月に「テロ対策法案」を成立させましたが、戦争放棄を記した憲法第九条との整合性で論議が起きています。

1、政府は国連安保理決議と日本国憲法の前文に記された国際協調精神に基づいた法案と位置づけていますが、第九条の精 神が背面に後退するかのような印象は否めません。国際秩序構築のための共同安全保障の一環としての軍事行動を含む  支援への参画という現代の新しいテーマをしっかり議論する必要があると思います。 

2、武力支援は最低限度に、復興援助支援には最大限の指導力を発揮することが日本の選ぶ道だと思います。アフガン復興会議での日本の貢献は、一つの方向性を示したものと評価できます。議長を務めた緒方氏のように世界に通用する優れた人材を送り出すことも日本が世界に寄与する貴重な人的貢献と言えます。

3、力による解決を国是とする超大国アメリカの一国支配主義と世界政策に巻き込まれてはなりません。「テロ撲滅かテロ支持か」などという極端な二者択一的発想しか持てない国に対して、成熟した外交的対応が真に求められると思います。

信教の自由を守る日に、新聞をじっくりと読み直してみませんか。

2002年2月4日