2004年 8月のメッセ−ジ
ありのままで
「聞きなさい。イスラエル。主は私たちの神。主はただひとりである。心を尽くし、精神を尽くし、
力を尽くして、あなたの神、主を愛しなさい」(申命記6:4−5)
今年のカンヌ映画祭で、是枝裕和監督の「誰も知らない」に主演した一四歳の柳楽優弥君が最優秀男優賞を獲得しました。日本人俳優初の快挙でした。
母親に置き去りにされた腹違いの四人の兄弟姉妹が、兄を中心にして力を合わせて都会の真ん中で生きてゆく姿がみずみずしく描かれています。
この映画は実際に東京で起きた事件がベースになっているそうです。六ヶ月もの間、子供たちはガスや水道、電気がとめられた中で公園の水を飲み、そこで洗濯をしながらけなげに生活しました。周囲の人々は、誰もそのことに気づかなかったそうです。
監督はこの事件には都会の現実が象徴されていると感じ、脚本を書き、いつか映画化したいと願い10数年あたためてきたそうです。
資金のめどがつかない間も映画化への夢は薄れることは決してなかったそうです。監督はこのようにインタビューに答えていました。「それどころか、自分が書いた脚本の主人公の少年がますます好きになり、自分の心の中から消えていかない。何とか外に出したいとの思いがますます強くなった」そうです。
脚本の中の少年がますます好きになり、時間が過ぎても、試練が多くても決して忘れられない。それどころかますます形にして表現したくなる。監督のこのことばは私たちのイエス様への信仰の思いと共通していると思います。
人生でイエス様と出会い、イエス様を知った。十字架の恵みと愛にとらえられた。ますますイエス様が親しく身近に思える。心の内に宿ってくださったイエス様のすばらしさを、この身をもって人々に伝えたい、証しをさせていただきたい。私の中の思いも少しも色あせません。イエス様は私にそう感じさせる不思議な力をもっておられます。
是枝監督は映画化にあたり、いわゆる劇団出身の子役を用いず、台本もいっさい渡さず、自然のままのあり様で瞬間瞬間を演じてもらう、生きてもらう、居てもらうことを求めたそうです。
私たちは自分の人生という映画で、イエス様を表現してゆきますが、決して演技ではありません。
イエス様と共に生きるありのままの生活を、自然体で表わしてゆきたいものだと願います。