夏号メッセ−ジ
聖書とメンタルヘルス
「いつまでも残るものは、信仰と希望と愛です。その中で一番すぐれているのは愛です」
(1コリント13:13)
今、多くの企業が、急増しているストレスによって引き起こされる心の病に対応するため、メンタルヘルスケアに積極的に取り組んでいます。
メンタルヘルスケアとは、こころの健康を保持し積極的な増進を図ることを意味します。対策の中心は三大ストレス病と呼ばれている心身症・神経症・うつ病の防止と早期対応におかれています。
ちなみに、うつ病(気分障害)は、日本人の十五人に一人と推定されています。一生の間にうつ病にかかる割合を生涯有病率といいますが、うつ病の場合は五人に一人という高い数値が出ています。女性は男性の約二倍の発症率となっています。
頭痛や腹痛、めまい、動悸、慢性疲労、睡眠障害などの体調不良を訴えて内科を受診する患者の一割は、うつ病ともいわれていますから、うつ病は、中高年層の「生活習慣病」と同様に、国民病と言っても良い身近な病気となってきています。
生活習慣病(肥満・高血圧・高血糖・高脂血が引き起こす動脈硬化・心臓疾患・脳血管疾患・がんなど)が、日々の食生活や生活スタイルによって防止できるように、ストレス関連疾患も、一人一人の日常のライフスタイルと「ものごとの考え方・受けとめ方」によって増悪化しないように、うまく防ぐことが可能だといわれています。
聖書は身体の健康、精神(こころ)の健康、そして魂(創造主である神との信頼に満ちた健全な関係に生きる真の自己)の健康というトータルな幸福について教えています。クリスチャンは、このように信仰からくる全人的な自己理解に基づいた健康観、ひいては幸福観をもって生活を営んでいます。
河合隼雄氏は、うつ病の究極の治療は「希望を持って待つこと」と述べています。さらに、心の病の回復に、家族のサポートが有るか無いかで八倍もの開きが生じるとの研究報告もあります。
身体と心と魂の豊かな調和、信じる力、希望を持つこと、忍耐して待つこと、互いに愛すること、仕えあうこと、感謝すること、これらはすべて聖書が教える新しいライフスタイルの中心主題です。
信仰と希望と愛が、私たちに真の意味での健やかさをもたらしてくれるのです。