ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2008年5月11日


2008年5月11日 主日礼拝説教(ペンテコステ礼拝)
「生ける水の川」(使徒の働き2章1節〜13節、ヨハネの福音書7章37節〜39節)

■はじめに
 今日はペンテコステの日です。ユダヤのペンテコステ(五旬節)の祭りの日に、聖霊がキリストの弟子たちの上に臨んで教会が誕生したことを記念します。キリスト教会にとって、クリスマス(降誕日)とイースター(復活日)と、このペンテコステ(聖霊降臨日)の3つが大切な記念日になっています。

■集まっていた使徒たちに約束の聖霊が
 イエス様が十字架にかかられたのが過越の祭の時でした。それから50日目、エルサレムはペンテコステの祭りでにぎわっていました。過越の翌日から7週を数えたので、昔は「7週の祭り」とも言われていました。そのペンテコステの祭りの日に、「みなが一つ所に集まっていた」のでした(1節)。
 イエス様は十字架で死んで3日目によみがえられました。多くの弟子たちの見ている前でイエス様が天に帰られた後、イエス様を信じた者たちが集まり、祈りを共にしていました。
 朝の9時です。このとき、不思議なことが起こりました。

2すると突然、天から、激しい風が吹いてくるような響きが起こり、彼らのいた家全体に響き渡った。3また、炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった。

 「天から激しい風が吹いてくるような響き」が起こって、弟子たちのいた家全体に響き渡りました。そして「炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった」のです。
 イエス様は十字架にかかられる前、最後の晩餐の席で、弟子たちにこのようにおっしゃっていました。

ヨハネの福音書14:16−17「わたしは父にお願いします。そうすれば、父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その助け主がいつまでもあなたがたと、ともにおられるためにです。その方は、真理の御霊です。」

 このお約束どおりのことが、弟子たちに起こったのでした。
 そしてもう一つは、イエス様が昇天なさる前にこのようにおっしゃっていたことです。

使徒の働き1:4−5「 彼らといっしょにいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。『エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。ヨハネは水でバプテスマを授けたが、もう間もなく、あなたがたは聖霊のバプテスマを受けるからです。』」
使徒の働き1:8「しかし、聖霊があなたがたの上に臨まれるとき、あなたがたは力を受けます。そして、エルサレム、ユダヤとサマリヤの全土、および地の果てにまで、わたしの証人となります。」

 このようにイエス様は、ご自分が天に帰られたあと、もうひとりの助け主である聖霊が来てくださると約束されました。それは弟子たちが、福音(イエス・キリストの十字架による罪からの救いと、永遠のいのち)を全世界に知らせるために必要なことでした。

■聖霊が与えられたしるし
 さて、このペンテコステの日に聖霊が与えられたことを示す2つのしるしがありました。第1のしるしは耳で聞こえる音(響き)によるしるしでした。そして、もう一つのしるしは、「炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった」ことです。
 「舌が現れて」とは、ことばを語ることを意味しています。彼らは語り出しました。

4すると、みなが聖霊に満たされ、御霊が話させてくださるとおりに、他国のことばで話しだした。

 聖霊に満たされた弟子たちは、御霊に導かれるままに外国のことばで話し始めました。これを聞いた人々が大勢いました。それは、ペンテコステの祭りでエルサレムに来ていたユダヤ人たちでした。彼らは、それぞれ自分たちが住んでいたその国のことばで(9−11節)、神様の大きなみわざを聞くことができたのでした。
 キリストの復活の証人として、ことばと民族の壁を越え、世界中の人々に福音を伝えていくことができる、そのようなしるしが弟子たちに与えられたのです。

■ペテロの説教によって
 しかし、このような出来事の中で、人々は、「驚き惑って」、「いったいこれはどうしたことか」と言い、また「甘いぶどう酒に酔っているのだ」と言ってあざける人たちもいました。するとペテロが立ち上がって、「この人たちは酔っているのではありません」と声を張り上げ、話を始めます。

使徒の働き2:22「イスラエルの人たち。このことばを聞いてください。神はナザレ人イエスによって、あなたがたの間で力あるわざと、不思議なわざと、あかしの奇蹟を行われました。」
2:23「あなたがたは、神の定めた計画と神の予知とによって引き渡されたこの方を、不法な者の手によって十字架につけて殺しました。」
2:32−33「神はこのイエスをよみがえらせました。私たちはみな、そのことの証人です。ですから、神の右に上げられたイエスが、御父から約束された聖霊を受けて、今あなたがたが見聞きしているこの聖霊をお注ぎになったのです。」

 ペテロの話を聞いた人々は心を刺されました。

使徒の働き2:37−38「人々はこれを聞いて心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに、『兄弟たち。私たちはどうしたらよいでしょうか』と言った。そこでペテロは彼らに答えた。『悔い改めなさい。そして、それぞれ罪を赦していただくために、イエス・キリストの名によってバプテスマを受けなさい。そうすれば、賜物として聖霊を受けるでしょう。』」

 ペテロのことばを受け入れた人々は「バプテスマを受けた。その日、三千人ほどが弟子に加えられた」のです(41節)。聖霊の働きによって人々はイエス・キリストを信じ、信じた人々によって教会が始まりました。これが、ユダヤで2000年近い昔、ペンテコステの日に起こった出来事です。

■生ける水の川
 ヨハネの福音書7章を開きましょう。

37さて、祭りの終わりの大いなる日に、イエスは立って、大声で言われた。「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい。38わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる。」39これは、イエスを信じる者が後になってから受ける御霊のことを言われたのである。イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊はまだ注がれていなかったからである。

 この「祭り」とは、仮庵(かりいお)の祭りで、秋の収穫の時に行われる祭りです。「過越」と「ペンテコステ」は春に行われ、「仮庵」は秋に行われました。ですからこれは、イエス様の十字架から半年前の出来事になります。
 「祭りの終わりの大いなる日」とは、祭りの中で、ギホンの泉から水をくみ、それを神殿にそそぐ儀式が行われる日のことです。その時に合わせて、イエス様は、人の霊的な渇きをいやす「生ける水」のことを語りました。
 イエス様は「だれでも渇いているなら、わたしのもとに来て飲みなさい」と言われました。そのような渇きは、ペンテコステの日にペテロの説教を聞いた人々にもありました。「人々はこれを聞いて心を刺され、ペテロとほかの使徒たちに、『兄弟たち。私たちはどうしたらよいでしょうか』と言った。」
 これは救いを求める人々の心の渇きです。自分が神様から離れてしまっていることに気づき、そのままでは肉体の死と同時に滅びていかなくてはならないと気づいた人は、だれもが持つ心の渇きです。心の渇きに気づいた人は、だれでもイエス様のもとに来なさいとおっしゃったのです。

マタイの福音書11:28「すべて、疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」

 イエス様は、疲れた人、重荷を負っている人を休ませ、心の渇きをいやす水を、その渇きをいやしたいと願っているすべての人に与えると約束されました。

■聖霊の働き
 イエス様は、「わたしを信じる者は、聖書が言っているとおりに、その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる」と言われました。しかし聞いた人たちは、そのとき何のことをおっしゃっているのかわかりませんでした。ペンテコステの日に与えられる「聖霊」のことをイエス様はおっしゃったからでした。イエス様は、これからは「聖霊」の働きによって人々がキリストを信じ、受け入れるようになること、その祝福と恵みについておっしゃったのです。キリストを信じるということと、聖霊の働きとが切り離せない関係にあることを教えられたのです。
 聖霊は、人が救われるために大切な働きをしてくださいます。聖霊の働きによって、私たちの心に、生まれつき罪の性質があることに気づかされます。イエス様が十字架で、その罪を代わりに負って死んでくださったことを受け入れる思いが与えられます。そしてイエス・キリストを信じて罪を赦され、新しい人生を歩みたいという願いを与えられます。すべては聖霊の働きによるものです。
 それを聖霊の有効召命(聖霊の内的召命)と言います。ウェストミンスター小教理問答31にこうあります。

「問31 有効召命とは、何ですか。答 有効召命とは、神の御霊のみわざです。これによって御霊は、私たちに自分の罪と悲惨とを自覚させ、私たちの心をキリストを知る知識に明るくし、私たちの意志を新しくするという仕方で、福音において一方的に提供されるイエス・キリストを私たちが受け入れるように説得し、受け入れさせてくださるのです。」

 そのような聖霊がペンテコステの日から、完全な働きをするようになったのです。旧約時代も聖霊は働いておられましたが、イエス様が天に帰られたあと、ペンテコステのこの日から、聖霊が人々の救いのために完全な働きをされるようになりました。
 イエス様は、「その人の心の奥底から、生ける水の川が流れ出るようになる」と言われました。その流れ出る水は、自分の渇きをいやすだけではなく、周りにいる人の渇きも潤す水となっていきます。どこまでも流れ広がっていく力強い聖霊の働きを見ることができます。
 ペンテコステの日に注がれた聖霊の働きは、弟子たちを送り出し、教会を生み出し、世界中にキリストの福音を知らせ、伝えてきました。そのような聖霊の働きが始まった日のことを覚え、今も変わることなく働いていてくださることを感謝いたします。
 ゆりのきキリスト教会のうえに、教会に集う私たちのうえに、聖霊様が豊かに働いてくださいますように。神様を求めて教会に来られるすべての方が、イエス様を信じ、救われた喜びをもって歩んでいけますようお祈りいたします。


ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2008年5月11日