ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年8月12日


2012年8月12日 主日礼拝説教
「父の約束」(使徒の働き1章1節〜5節)

■はじめに

 使徒の働きは、ルカの福音書の著者であるルカが書いたものです。ルカは、パウロの伝道を助け、いっしょに旅をした人です。使徒の働きにもルカが登場します。その時の主語は、「パウロたちは」「彼らは」から「私たちは」と変えられています。
 またルカは医者であり、パウロが投獄された時、その近くにいてパウロを助けました。ルカは、福音書の初めにこう記しました。

ルカの福音書1:1−4「私たちの間ですでに確信されている出来事については、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、私たちに伝えたそのとおりを、多くの人が記事にまとめて書き上げようと、すでに試みておりますので、私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。」

 ルカは福音書に続いてテオピロに、イエス様が十字架と復活、さらに昇天されてから、弟子たちの活動がどうであったのか、その結果、どのようにして教会が立てられ、クリスチャンが教会に加えられていったのかを書こうとしました。

1テオピロよ。私は前の書で、イエスが行い始め、教え始められたすべてのことについて書き、2お選びになった使徒たちに聖霊によって命じてから、天に上げられた日のことにまで及びました。

 テオピロがどのような人物であったかはわかっていませんが、身分の高いローマ役人だと思われています。テオピロへの献呈のことばが終わり、3節から本文に入ります。

■十字架と復活

3イエスは苦しみを受けた後、四十日の間、彼らに現れて、神の国のことを語り、数多くの確かな証拠をもって、ご自分が生きていることを使徒たちに示された。

 ルカは使徒の働きを書き始めるにあたって、イエス様の生涯で最も大切なことを記しました。それはイエス様の十字架とイエス様の復活でした。
 イエス様はよみがえられてから「四十日の間」、たびたびイエス様が選ばれた弟子たちに現れて、イエス様の十字架をとおして与えられた救いと神の国について教えられたのでした。そして「数多くの確かな証拠をもって」復活されたことを示されました。復活の教えは、イエス様のことを宣教するために必要なことでした。
 そういうわけで、イエス様の生涯、その行いと教えを知っていることもさることながら、とりわけイエス様の復活の証人となることが使徒であることの条件になりました。このあとイスカリオテ・ユダの代わりに使徒の補充選挙が行われます。その時に、この条件が挙げられます。

使徒の働き1:22「すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした者の中から、だれかひとりが、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」」

 私たちも、イエス様の教えを通して、またイエス様の十字架と復活をとおして、私たちを罪から救い、神の子とされる特権を与えられたことを信じています。イエス様の復活という驚くべき出来事は、私たちは見たわけではないけれども、確かにそうだという確信が与えられました。イエス様が復活されたように、私たちも復活の体を与えられると信じて、喜びの生涯を送っているのです。

■父の約束を待ちなさい

 イエス様はガリラヤの山で弟子たちに伝えました。

マタイ28:19−20「19あなたがたは行って、あらゆる国の人々を弟子としなさい。そして、父、子、聖霊の御名によってバプテスマを授け、20また、わたしがあなたがたに命じておいたすべてのことを守るように、彼らを教えなさい。見よ。わたしは、世の終わりまで、いつも、あなたがたとともにいます。」

 そうは命じられたものの、イエス様の教えがすべてわかり、キリスト教の教え全体を弟子たちが把握できたわけではありません。またそのことを伝える力もありませんでした。そのために、イエス様がいなくなっても大丈夫なように、聖霊が与えられ、イエス様の教えを理解させてくださるようになるのです。その聖霊が与えられるまで待つように言われました。

4彼らといっしょにいるとき、イエスは彼らにこう命じられた。「エルサレムを離れないで、わたしから聞いた父の約束を待ちなさい。

 それは、最後の晩餐の時に約束された「もうひとりの助け主」でした。

ヨハネの福音書14:16−17「16わたしは父にお願いします。そうすれば、父はもうひとりの助け主をあなたがたにお与えになります。その助け主がいつまでもあなたがたと、ともにおられるためにです。17その方は、真理の御霊です。世はその方を受け入れることができません。世はその方を見もせず、知りもしないからです。しかし、あなたがたはその方を知っています。その方はあなたがたとともに住み、あなたがたのうちにおられるからです。」

 キリストと共に歩み、キリストの復活の証人として選ばれた者たちが、もうひとりのイエス様、イエス様の代わりとなるお方、その聖霊なる神様の働きと助けによって、神様のご計画が実現していくのでした。
 聖霊なる神様は、弟子たちを通して、弟子たちと共にいてくださって働いてくださるのです。

5ヨハネは水でバプテスマを授けたが、もう間もなく、あなたがたは聖霊のバプテスマを受けるからです。」

 「聖霊のバプテスマ」については、バプテスマのヨハネが水でバプテスマを施していた時に語りました。

ルカの福音書3:16「ヨハネはみなに答えて言った。「私は水であなたがたにバプテスマを授けています。しかし、私よりもさらに力のある方がおいでになります。私などは、その方のくつのひもを解く値うちもありません。その方は、あなたがたに聖霊と火とのバプテスマをお授けになります。」

 そのことが間もなくやって来るのです。バプテスマとは、水につけられる、ひたされるという意味ですから、水ではなく、聖霊につけられる最初の体験を弟子たちが間もなくするというのです。
 2章で最初の体験をするわけですが、その後も「聖霊を受ける」「聖霊が下った」という表現で、聖霊のバプテスマを受けたことが出てきます。そして、この聖霊によって弟子たちが導かれ教えられ、教会が生み出され建て上げられていくのでした。
 今まで、弟子たちに聖霊が与えられていなかったのではありません。弟子たち一人一人がイエス様に出会うことから、イエス様を救い主、神として信じることができたのは、父なる神様、また聖霊なる神様の働きによるものでした。弟子たちだけで伝道に出かけた時、イエス様から与えられた、人々の病をいやし悪霊を追い出す力も聖霊によるものでした。
 聖霊はすでに与えられ、働いておられるけれど、間もなく与えられるのは教会をキリストのからだとして建て上げるために必要な聖霊の賜物、聖霊による力でした。それはしるしを伴いました。最初は外国のことばを話すというしるしでした。ペテロに、イエス様の働きを語る力を下さいました。奇蹟を行う力も与えられました。
 そのようにして弟子たちの活動が始まり、聖霊の働きによって、教会が進展していくのです。福音書は子なる神様であるイエス様が主人公でした。使徒の働きは、聖霊なる神様が主人公の書であると言うこともできます。そのことも覚えながら、これから使徒の働きを読んで行きたいと思います。

■待ち望む

 弟子たちは「もう間もなく」と言われて、心を合わせて祈りつつその時を待つことになります。弟子たちにとって待つことは心躍ることだったでしょう。私たちも神様が私たちにしようとして下さっていること、私たちへの祝福、最善のこと、すべてが与えられることなど、それら神様の約束が与えられることを確信して待ち望み、それを楽しみながら歩む信仰を与えられたいと思います。

イザヤ書30:18「【主】はあなたがたに恵もうと待っておられ、あなたがたをあわれもうと立ち上がられる。【主】は正義の神であるからだ。幸いなことよ。主を待ち望むすべての者は。」


ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年8月12日