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2012年8月26日 主日礼拝説教
「心を合わせ、祈りに専念していた」(使徒の働き1章12節~26節)
キリストの証人となるための準備が、イエス様から弟子たちになされてきました。イエス様ご自身による神の国についての教えと、イエス様が確かに復活されたという証拠を示されたことでした。続いて「父の約束である聖霊」を待つように言われました。聖霊によって、イエス様を伝えるために必要な語る力、病をいやす力、迫害に勝つことができる力が与えられるのでした。
その後イエス様は昇天されました。弟子たちは、それを目の当たりにして、イエス様が天に生きておられること、またもう一度イエス様が来てくださることを教えられたのでした。弟子たちが聖霊を受けるまでの10日間の出来事が今日の箇所で語られます。
12そこで、彼らはオリーブという山からエルサレムに帰った。この山はエルサレムの近くにあって、安息日の道のりほどの距離であった。
イエス様が昇天されたオリーブ山は、エルサレムから「安息日の道のり」、安息日に出歩いてもよいと言われた距離、1.2キロほどのところにありました。使徒たちはイエス様の昇天を見送ってからエルサレムに帰りました。
13彼らは町に入ると、泊まっている屋上の間に上がった。この人々は、ペテロとヨハネとヤコブとアンデレ、ピリポとトマス、バルトロマイとマタイ、アルパヨの子ヤコブと熱心党員シモンとヤコブの子ユダであった。
弟子たちは、エルサレムにあった民家の屋上の間に集まっていました。11人の使徒の名前が記されています。イスカリオテ・ユダ以外は、皆キリストの証人として歩もうとしていたのでした。さらに婦人たちの信徒が加わっていました。
14この人たちは、婦人たちやイエスの母マリヤ、およびイエスの兄弟たちとともに、みな心を合わせ、祈りに専念していた。
この婦人たちは、イエス様の十字架と埋葬に立ち会い、またイエス様の復活を最初に目撃した女性たちであったでしょう。彼女たちは、イエス様にずっと従ってきて、今も使徒たちと共にいたのでした。
それと、イエス様の家族がいました。イエス様に批判的であった兄弟たちでした。弟のヤコブは、後にエルサレムの教会の指導者となるのでした。彼らは、イエス様の十字架と復活を見て、イエス様を兄としてでなく神として信じ、祈っていたのでした。
それらの人たち、20人くらいになりましょうか、「みな心を合わせ、祈りに専念して」いました。教会の最初の活動は、心を一つにして祈る祈り会でした。彼らは祈りつつ聖霊を待ち望んでいたのでした。
15そのころ、百二十名ほどの兄弟たちが集まっていたが、ペテロはその中に立ってこう言った。
120名の「兄弟たち」は、イエス様を信じる人たち、後にクリスチャンと呼ばれるようになる人たちでした。彼らがそこに集められました。女性たちも加わっていたので、その女性たちを含めてクリスチャンの集まりができていました。
16「兄弟たち。イエスを捕らえた者どもの手引きをしたユダについて、聖霊がダビデの口を通して預言された聖書のことばは、成就しなければならなかったのです。17ユダは私たちの仲間として数えられており、この務めを受けていました。
ペテロは、教会でまず決めるべきこととして、使徒ユダの補充を提案しました。それは聖書の預言にあることでした。
18(ところがこの男は、不正なことをして得た報酬で地所を手に入れたが、まっさかさまに落ち、からだは真っ二つに裂け、はらわたが全部飛び出してしまった。19このことが、エルサレムの住民全部に知れて、その地所は彼らの国語でアケルダマ、すなわち『血の地所』と呼ばれるようになった。)
カッコに入っている18、19節は著者ルカによる注釈です。ルカは、福音書ではユダの最期について書きませんでしたので、これを読むテオピロに伝えようとしたのでした。
マタイの福音書によれば、ユダはイエス様を裏切って得た銀貨30枚を神殿に投げつけて去って行き、そのあとユダは首をつって死にました。
ユダが首をつったのは、ユダがすでに買おうとしていた土地であったのでしょう。その土地はユダの自殺により汚れた土地になってしまったので、祭司たちがユダが返したお金で買い取り、異邦人のための墓地にしたのでした。それで、その土地を「血の地所」、血まみれの土地と呼ばれるようになったというのです。
20実は詩篇には、こう書いてあるのです。『彼の住まいは荒れ果てよ、そこには住む者がいなくなれ。』また、『その職は、ほかの人に取らせよ。』
ペテロは、詩篇の2か所を引用しました。
詩篇69:25「彼らの陣営を荒れ果てさせ、彼らの宿営にはだれも住む者がないようにしてください。」
ユダの土地は墓地となり、血の地所と呼ばれ、だれも住むことができなくなりました。
詩篇109:8「彼の日はわずかとなり、彼の仕事は他人が取りますように。」
ユダの使徒職は、他の人が代わりに引き継ぐことになるのでした。しかし、ユダの後継者が必要だったのは、聖書の預言だけではなく、キリストの証人として、復活したイエス様を伝えるためでした。それと、12人というイエス様が決められた使徒の数を満たして聖霊を待つためでした。
21ですから、主イエスが私たちといっしょに生活された間、22すなわち、ヨハネのバプテスマから始まって、私たちを離れて天に上げられた日までの間、いつも私たちと行動をともにした者の中から、だれかひとりが、私たちとともにイエスの復活の証人とならなければなりません。」
使徒の資格として、復活されたイエス様を見たというだけでなく、バプテスマのヨハネの時からいっしょにいた者としました。このような最初からの弟子は、さほど多くはいなかったでしょう。
23そこで、彼らは、バルサバと呼ばれ別名をユストというヨセフと、マッテヤとのふたりを立てた。
「バルサバと呼ばれ」とあるのは、皆から呼ばれていたあだ名でした。「安息日の子」という意味で、安息日に生まれたからそう呼ばれたのでしょう。「ユスト」がラテン語、「ヨセフ」がヘブル語の名前でした。もう一人は「マッテヤ」で、この2人があげられました。2人はイエス様から伝道に遣わされた70人の弟子のメンバーであったと伝えられています。
ルカの福音書10:1「その後、主は、別に七十人を定め、ご自分が行くつもりのすべての町や村へ、ふたりずつ先にお遣わしになった。」
どちらにするか、最終的な判断はイエス様にゆだねられました。
24そして、こう祈った。「すべての人の心を知っておられる主よ。25この務めと使徒職の地位を継がせるために、このふたりのうちのどちらをお選びになるか、お示しください。ユダは自分のところへ行くために脱落して行きましたから。」
「すべての人の心を知っておられる主よ」と、ペテロはイエス様に祈りました。「使徒職」はイエス様ご自身が選び、任命してくださった職務だったからでした。
ヨハネの福音書15:16「あなたがたがわたしを選んだのではありません。わたしがあなたがたを選び、あなたがたを任命したのです。」
ペテロは、人の心を知っておられるイエス様が最善の選択をしてくださるように祈りました。一同は祈って、使徒を任命してくださるイエス様にその決定をゆだねました。
26そしてふたりのためにくじを引くと、くじはマッテヤに当たったので、彼は十一人の使徒たちに加えられた。
「くじ」は、神様のご意思を知ろうとする時に行われました。旧約聖書で、イスラエル人が占領したカナンの地を各部族に分割する時、各部族の代表者がくじを引いて決めました。
使徒を決めるくじはマッテヤに当たりました。くじを引いて神様のみこころを知るという方法は、新約ではこれ1回だけです。異例のことでした。2章以降、聖霊が降ってからは、その聖霊に導きによって使徒たちは行動していくのでした。
イエス様が選んだ12人の使徒は、旧約のイスラエル12部族に代わるものでした。新約の新しいイスラエルは、イエス様を救い主として信じる民たちによって形成されていきます。ですから今、新しいイスラエルである教会は、11人に1人補充して12人にしなければならなかったのでした。
キリストの証人となる準備がイエス様の側からなされました。そして弟子たちの側で祈り、使徒を補充することができました。それらがそろったところで、いよいよ聖霊を迎えることになります。
神様のなさるみわざ、神様の時を待つ者たちにできることは、環境を整え、神様に祈ってゆだねることです。そのことを覚えて今週も歩みたいと思います。
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