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2012年10月28日 主日礼拝説教
「悔い改めて、神に立ち返りなさい」(使徒の働き3章12節〜26節)
エルサレム神殿の美しの門で、ペテロは「金銀は私にはない。しかし、私にあるものを上げよう。ナザレのイエス・キリストの名によって、歩きなさい」と言って、足のなえた40歳ばかりの男の足をいやし、立たせました。イエス様が救い主として持っていた力を、ペテロがイエス様の代わりに行使したのでした。
それを見ていた民衆がペテロを取り囲みました。そこでペテロは、この男の足が歩けるようになった理由から、イエス様についての説教を始めたのでした。
13 アブラハム、イサク、ヤコブの神、すなわち、私たちの父祖たちの神は、そのしもべイエスに栄光をお与えになりました。あなたがたは、この方を引き渡し、ピラトが釈放すると決めたのに、その面前でこの方を拒みました。
ペテロは語りました。神様とは、私たちユダヤ人の父祖たち「アブラハム、イサク、ヤコブの神」であり、その神様から栄光を受けたイエス様を、ローマの総督ピラトが「イエス様は死刑に値する罪を犯していない」と判断し、釈放しようとしたのに、ユダヤ人たちはそうしませんでした。それは、イエス様を神からのお方とは受け入ることができなかったからです。
14そのうえ、このきよい、正しい方を拒んで、人殺しの男を赦免するように要求し、15いのちの君を殺しました。しかし、神はこのイエスを死者の中からよみがえらせました。私たちはそのことの証人です。
イエス様は「きよい、正しい方、いのちの君」であられたのに、ユダヤ人たちは、「人殺しの男」バラバを釈放し、イエス様を十字架につけるようにピラトに要求しました。このように、あなたがたユダヤ人は、イエス様を殺すという大きな罪を犯してしまったのです。しかし、神様はイエス様を死からよみがえらせてくださいました。「私たちはそのことの証人です。」そのイエス様が、この男をいやしたのです、とペテロは語りました。
続けてペテロは、ユダヤ人・民衆たちに「兄弟たち」と呼びかけて、悔い改めと信仰を勧める説教に入っていきます。
17ですから、兄弟たち。私は知っています。あなたがたは、自分たちの指導者たちと同様に、無知のためにあのような行いをしたのです。
ユダヤ人と指導者たちが行ったことは「無知」のためでした。イエス様を十字架にかけたことは、イエス様が「きよい、正しい方、いのちの君」であったことを知らないでしたことでした。イエス様も十字架でそのことは祈りました。
ルカの福音書23:34「父よ。彼らをお赦しください。彼らは、何をしているのか自分でわからないのです。」
18しかし、神は、すべての預言者たちの口を通して、キリストの受難をあらかじめ語っておられたことを、このように実現されました。
イエス様が受難・苦しみを受けることは、神様のご計画であり、預言者がそのことを告げていました。
イザヤ書53:6−8「6私たちはみな、羊のようにさまよい、おのおの、自分かってな道に向かって行った。しかし、【主】は、私たちのすべての咎を彼に負わせた。7彼は痛めつけられた。彼は苦しんだが、口を開かない。ほふり場に引かれて行く羊のように、毛を刈る者の前で黙っている雌羊のように、彼は口を開かない。8しいたげと、さばきによって、彼は取り去られた。」
救い主イエス様は、私たちの罪を負って苦しみの道を歩みました。そのようなこともあなたがたは知らなかったのです。
19そういうわけですから、あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて、神に立ち返りなさい。
あなたがたは何も知りませんでした。神様のみこころを知らず、聖書の預言も理解できませんでした。ペテロは、それらのことを悔い改めなさいと勧めます。
悔い改めるとは神様のほうに向きを変えることです。今までの生き方から離れ、神様に信頼し、新しい生活に向かうことです。「神に立ち返る」のです。そのことによって、知らないで犯した罪はぬぐい去られるのです。
神様によって「回復の時が」(20節)、また「万物の改まる時」(21節)がやって来ます。イエス様がもう一度神様から遣わされて天からやって来られるのです。それも預言者たちによって語られたことです。
だから、それまでに悔い改めなさい。イエス様が来られる時に喜びをもって迎えられるようにとペテロは勧めるのです。
22節から、ペテロはユダヤ民族が神様からどのような祝福を受けてきたかを語ります。
22モーセはこう言いました。『神である主は、あなたがたのために、私のようなひとりの預言者を、あなたがたの兄弟たちの中からお立てになる。この方があなたがたに語ることはみな聞きなさい。23その預言者に聞き従わない者はだれでも、民の中から滅ぼし絶やされる。』
申命記18章にあるモーセのことばです。モーセ以後、たくさんの預言者が現れるが、その中で、ある時、一人の預言者がスラエルのためにやって来る。それがイエス・キリストでした。
ヨハネの福音書6:14「人々は、イエスのなさったしるしを見て、「まことに、この方こそ、世に来られるはずの預言者だ」と言った。」
24また、サムエルをはじめとして、彼に続いて語ったすべての預言者たちも、今の時について宣べました。
イエス・キリストが来られ、十字架で死なれ、3日目に復活され、天に帰って行かれた、この「今の時について」は、サムエルをはじめ預言者たちが預言しました。
25あなたがたは預言者たちの子孫です。また、神がアブラハムに、『あなたの子孫によって、地の諸民族はみな祝福を受ける』と言って、あなたがたの父祖たちと結ばれたあの契約の子孫です。
あなたがたはこの預言者の子孫、その約束を受けるべき子孫です。これらの預言は、あなたがたユダヤ人のためになされたものです。
また、神様はアブラハムと契約を結ばれました。「あなたの子孫によって、地の諸民族はみな祝福を受ける」のです。この子孫とはキリストを指していました。アブラハムに与えられた契約は、今や明らかになり、実現したのです。
その最初の祝福は、あなたがたユダヤ人が受けるべきなのです。どうかこの祝福を受けてください。
26神は、まずそのしもべを立てて、あなたがたにお遣わしになりました。それは、この方があなたがたを祝福して、ひとりひとりをその邪悪な生活から立ち返らせてくださるためなのです。」
神様は、「まずそのしもべを立てて」くださいました。このしもべはイエス様でした。それは、ユダヤ人たち一人一人を特別に祝福し、罪を赦し、「邪悪な生活」から立ち返らせてくださるためでした。そのように、神様はあなたがたユダヤ人のために、このような恵みを用意してくださっているのです。
26節でペテロの説教は途切れたようになっていますが、このペテロの説教を聞いて、2章37節以下にあるような「兄弟たち。私たちはどうしたらよいでしょうか」と人々は問いかけ、ペテロが「あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて、神に立ち返りなさい」(19節)との答えたでしょう。
3時ごろ、美しの門にいた足のなえた人のいやしから始まった説教でした。それが夕方まで続き、それによって多くの人がイエス様を信じ、洗礼を受けたのでした。その結果、エルサレム教会は「みことばを聞いた人々が大ぜい信じ、男の数が五千人ほどになった」(4:4)のでした。これでユダヤ人によるエルサレム教会は1万人近くになり、教会はあっという間に大きくなったのでした。
しかしその日の夕方、ユダヤ教の指導者である祭司たちがやってきて、ペテロたちを捕らえ、牢に入れてしまいます。これを境にして、ペテロたち、また教会に対しての迫害と、ユダヤ人たちの拒絶が始まるのでした。
これからもペテロたち、また後に使徒となったパウロも、伝道はまずユダヤ人に語られていきました。しかし、ユダヤ人たちはイエス様の救いを拒絶したため、異邦人へイエス様の救いが伝えられていくのです。そのようにして、私たちに福音が伝えられてきたのです。
今やアブラハムの子孫とは、ユダヤ人ではなく、霊によるアブラハムの子孫、神様が選んでおられるすべての民のことです。ペテロが語った「あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて、神に立ち返りなさい」は、今は異邦人である私たちに語られているのです。イエス・キリストは私たちの罪のため、苦しみにあわれるために来られました。私たちは悔い改めて、イエス様の十字架を信じ、神様に立ち返ることです。
私たちはペテロの声を今日も聞きたいと思います。「あなたがたの罪をぬぐい去っていただくために、悔い改めて、神に立ち返りなさい。」私たちは、その声を聞き、神様の恵みに立ち返ることができたことを感謝いたします。
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