ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年12月9日


2012年12月9日 主日礼拝説教
「いのちのことばを語りなさい」(使徒の働き5章12節〜26節)

■はじめに

 前回は、教会の内部で起こった出来事を見ました。教会は心と思いを一つにして、貧しい者が一人もいなかった状態でした。それは、土地や家を持っていた者たちがそれを売って、教会のみなで分け合うという生活をしていたからでした。そのようなことを行ったすばらしい例としてバルナバがあげられ、反対に聖霊を欺く罪を犯してしまったアナニヤとサッピラの夫婦のことが語られました。アナニヤとサッピラは神様のさばきによって死んでしまいました。

■使徒たちの手によって

12また、使徒たちの手によって、多くのしるしと不思議なわざが人々の間で行われた。みなは一つ心になってソロモンの廊にいた。

 そのころの教会の様子が語られます。先に、ペテロとヨハネが釈放された後で教会が祈りました。

使徒の働き4:30「御手を伸ばしていやしを行わせ、あなたの聖なるしもべイエスの御名によって、しるしと不思議なわざを行わせてください。」

 この祈りの答えの一つがアナニヤとサッピラの事件であったでしょう。そのような「しるしと不思議なわざ」が、ペテロだけでなく他の使徒たちによっても行われていました。
 教会の群れはそのころ1万人以上になっていました。一度に全部で集まることは無理だったでしょうから、いろいろな集会が信徒の家などで行われていて、その一つとして「ソロモンの廊」で集まりを持っていたと考えられます。そのような大きな集まりは、エルサレム中の注目されるところとなったでしょう。

13ほかの人々は、ひとりもこの交わりに加わろうとしなかったが、その人々は彼らを尊敬していた。

 教会に加わろうとしなかった人たちです。彼らは教会に対して、そのあり方、行いに対して尊敬の念を持っていました。

14そればかりか、主を信じる者は男も女もますますふえていった。

 しかし、アナニヤとサッピラの事件の結末を見て、かえって教会の純粋な姿を知り、教会が襟を正したということで心打たれ、多くの人たちがソロモンの廊の集会に集まるようになり、教会に加わっていきました。
 「男も女も」とあります。今までは男だけの数が語られてきました。が、ここで初めて「男も女もますますふえていった」と記されています。それまでは、男が主体であった教会が、しだいに女も教会に加わるようになっていきました。6章に出てくる、やもめたちもそうだったでしょう。こうして「ますますふえていった」という状況が起こってきたのでした。
 さらに使徒たちのしるしと不思議なわざを見て、いやしを求める人たちがやってきました。特にペテロに対してその求めが多くなり、病人たちがペテロの行く先々にやってき、また寝床のまま運ばれてきました。そして、当時の迷信であった、ペテロ本人が無理ならばせめて影にかかればいやされるということを実行する人たちまで現れました。それほどたくさんの人たちがやってきたのでした。

16また、エルサレムの付近の町々から、大ぜいの人が、病人や、汚れた霊に苦しめられている人などを連れて集まって来たが、その全部がいやされた。

 さらに、その評判が「エルサレムの付近の町々」にまで広がり、大ぜいの病人がやってきて、使徒たちによってみないやされたのでした。このようなしるしと不思議なわざを行う力が使徒たちに与えられたことによって、生まれたばかりの教会が、迫害によって消滅してしまうのでなく、さらに大きく、広く伝わっていくことになるのです。

■ねたみに燃えて

17そこで、大祭司とその仲間たち全部、すなわちサドカイ派の者はみな、ねたみに燃えて立ち上がり、18使徒たちを捕らえ、留置場に入れた。

 ユダヤの指導者たちには使徒たちに対するねたみがありました。それはユダヤ議会の禁止にもかかわらず使徒たちが語り続けていたこと、それに教会の教えがエルサレムの人々に受け入れられ大きくなっていったことでした。しかも、教会には入ろうとしなかった人々からも尊敬を受けていました。それで、大祭司と、ユダヤ議会のサドカイ派が中心となって、ねたみに燃えて、ペテロとヨハネだけでなく、今回は使徒全員を捕らえ牢に入れてしまいました。
 1回目の投獄は、美しの門の所にいた生まれつき歩けなかった人をいやした後の説教によって大きな騒ぎになったので、神殿を管理している宮の守衛長たちが来て捕らえたのでした。そして、今後イエスの名によって語ってはならないと厳しく言われて釈放されました。
 今回、2回目は使徒たち全員が逮捕されました。迫害が使徒たち全員まで広がっていきました。

■いのちのことばを語りなさい」

19ところが、夜、主の使いが牢の戸を開き、彼らを連れ出し、20「行って宮の中に立ち、人々にこのいのちのことばを、ことごとく語りなさい」と言った。

 主の使いは、神様に仕える者として神様のことばを伝える存在です。その主の使いが、神様からのことばとして、「行って宮の中に立ち、いのちのことばを、ことごとく語りなさい」と命じました。神様は使徒たちにいのちのことばを語らせようとしました。
 使徒たち全員が捕らえられたこの時、語り続けていたイエス様の教えが途切れないように、神様は主の使いを遣わして、語り続けることができるようになさったのでした。牢から出るという奇蹟は、そのことを教えるしるしでした。
 「行って宮の中に立ち」、行きなさい。いつもの宮で語りなさい。使徒たちはいのちのことばを伝えることの大切さを、どこででも、いつでも語り続けることを教えられました。
 パウロはテモテにこう伝えました。

テモテへの手紙第2、2:9「私は、福音のために、苦しみを受け、犯罪者のようにつながれています。しかし、神のことばは、つながれてはいません。」

テモテへの手紙第2、4:2「みことばを宣べ伝えなさい。時が良くても悪くてもしっかりやりなさい。寛容を尽くし、絶えず教えながら、責め、戒め、また勧めなさい。」

21彼らはこれを聞くと、夜明けごろ宮に入って教え始めた。一方、大祭司とその仲間たちは集まって来て、議会とイスラエル人のすべての長老を召集し、使徒たちを引き出して来させるために、人を獄舎にやった。

 解放されてからすぐ、夜明けとともに、まだ人もそれほどいなかったであろう宮で語り始めました。

■議会に連れ戻される

 しかし、まだ議会にはそのことがわかりませんでした。まだ牢にいるものと思って使徒たちを引き出そうと牢に人を遣わしました。

22ところが役人たちが行ってみると、牢の中には彼らがいなかったので、引き返してこう報告した。23「獄舎は完全にしまっており、番人たちが戸口に立っていましたが、あけてみると、中にはだれもおりませんでした。」

 役人が行ってみると、番人が戸口に立っていたにもかかわらず、彼らに気づかれずにペテロたちは牢から抜け出していたのでした。主の使いによって鍵が開けられ、その間、番人たちは眠らされていたのでしょう。ペテロたちが牢から出ていくと、また鍵がかけらました。それで、番人たちは自分たちが眠ったことも、ペテロたちがいなくなっていたことも、朝まで気づかなかったのでした。
 議会は何が起こったのか不思議に思うだけでした。そのうちに、ペテロたちが宮で説教をしていることが知らされました。再度人をやって、ペテロたちを捕らえることになるのでした。

■いのちのことばを握って

 主の使いが使徒たちに語ったのは「人々にこのいのちのことばを、ことごとく語りなさい」でした。いのちのことばとは、永遠のいのちに至ることば、イエス・キリストによる救いのことばです。イエス様の十字架によって私たちの罪が赦されました。主の使いは、それをことごとく、残らず語りなさいと命じたのでした。
 いのちのことばを語ることができるのは、いのちのことばを受け取った者たちです。ピリピの教会にパウロはこう語りました。

ピリピ人への手紙」2:16「いのちのことばをしっかり握って、彼らの間で世の光として輝くためです。そうすれば、私は、自分の努力したことがむだではなく、苦労したこともむだでなかったことを、キリストの日に誇ることができます。」

 いのちのことばをしっかり握って、それを世の光として輝かせる。イエス様の救いを喜びつつ生きること、それを世に示すこと、世に現すこと。その生き方がいのちのことばのすばらしさ、イエス様の救いを伝えることになるのです。
 そのようにして、いのちのことばは使徒たちから、使徒たちの弟子へ、そしてさらに、全世界に伝えられました。いのちのことばを受け取った私たちは、いのちのことばをさらに高く掲げ歩んでいくのです。


ゆりのきキリスト教会テキスト礼拝説教2012年12月9日