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2012年12月30日 主日礼拝説教
「栄光の神に導かれて」(使徒の働き6章8節〜7章7節)
エルサレム教会の人数が増えてきたときに、教会内でギリシヤ語を話す人たちからヘブル語を話す人たちに対して、食事の配給が平等でないという不満の声があがりました。そこで、そのために働く人として、7人の役員が選ばれました。その最初にあげられたステパノについて語られていきます。
8さて、ステパノは恵みと力とに満ち、人々の間で、すばらしい不思議なわざとしるしを行っていた。
ステパノは使徒と同じような「不思議なわざとしるし」を行うことができました。これは、7人の役員に選ばれるより以前から与えられていた賜物でした。
9ところが、いわゆるリベルテンの会堂に属する人々で、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤから来た人々などが立ち上がって、ステパノと議論した。
ステパノの華々しい活動は、ユダヤの会堂の人たちに憎しみを生みました。彼らユダヤ教の教えと、ステパノが教えるキリスト教との論争でした。
「リベルテン」とはローマの捕虜から解放された人のことで、ギリシヤ語を話すユダヤ人でした。彼らがエルサレムに帰ってきて、彼らだけの会堂を作りました。その会堂にいた、いろいろな地方出身者たちが束になってかかっても、ステパノに勝つことができなかったのでした。
そこでギリシヤ語を話すユダヤ教徒たちは、「民衆」とユダヤ教指導者たち、議会のメンバーである「長老たちと律法学者たち」を扇動して、ステパノを捕らえ、議会で尋問させることにしました。今まで民衆が教会に対して好意を持っていたのですが、ここで初めて反対する民衆が出てきます。
13そして、偽りの証人たちを立てて、こう言わせた。「この人は、この聖なる所と律法とに逆らうことばを語るのをやめません。14『あのナザレ人イエスはこの聖なる所をこわし、モーセが私たちに伝えた慣例を変えてしまう』と彼が言うのを、私たちは聞きました。」
議会では偽りの証人を立てられ、イエスが「聖なる所」神殿を打ち壊すということ、またイエスが今まで自分たちが守ってきた「モーセが伝えた慣例」、それは律法を解釈した伝承のことですが、それを変えようとしている。そのことをステパノは教えている、と訴えたのでした。
実際にイエス様は、神殿について同じことを裁判で訴えられました。またイエス様は、最後の週、神殿に行って、そこで商売をしていた両替人やいけにえの動物を売っていた人たちを追い出しました。イエス様が神殿を攻撃したのは、律法にあるいけにえによる礼拝を廃止し、神殿は祈りの家とならなければならないこと、また神殿ではなく、どこででも礼拝できる霊的な礼拝ができるようになったことを教えるためでした。
律法の伝承については、イエス様はパリサイ人たちとさまざまな面で論争しました。安息日、きよめの儀式、断食などです。ですから、ステパノに対する訴えは、ある面では当たっていたわけです。
15議会で席に着いていた人々はみな、ステパノに目を注いだ。すると彼の顔は御使いの顔のように見えた。1大祭司は、「そのとおりか」と尋ねた。
ここから7章のほとんどを使ったステパノの長い説教が始まります。使徒の働きにたくさんの説教が載せられていますが、これが最も長い説教になります。
神様はユダヤ人を救おうと、歴史の中でユダヤ人に現れ導いてこられましたが、ユダヤ人は神様に逆らい、律法にも背いてきました。
また神殿については、ユダヤ人はりっぱな神殿があるにもかかわらず偶像礼拝に陥り、また神様が神殿に住んでおられると誤解してしまったのでした。ステパノは、神殿と律法の問題をユダヤの歴史から弁明しようとしました。あなたたちは、その先祖と同じ罪を犯しているのだと言うのです。
2そこでステパノは言った。「兄弟たち、父たちよ。聞いてください。私たちの父アブラハムが、ハランに住む以前まだメソポタミヤにいたとき、栄光の神が彼に現れて、3『あなたの土地とあなたの親族を離れ、わたしがあなたに示す地に行け』と言われました。
まず、ユダヤ人の最初の父祖アブラハムから語ります。アブラハムは、ステパノの時代からおよそ2千年前の人です。そこからユダヤ民族は始まりました。旧約聖書で言えば、創世記11章から記されている事柄です。
栄光の神様がアブラハムに現れました。メソポタミヤ、そこは現在のイラクで、チグリス・ユーフラテス川にはさまれた地域であり、バビロニヤ地方、またカルデヤ人の地とも呼ばれました。そこはユダヤ人の土地ではなかったし、神殿もありませんでした。栄光の神様は場所に関係なく、ご自身のみこころを示すためにはどこででも現されるお方でした。神様の声を聞いたアブラハムは、父テラとともに、妻のサラ、甥のロトを連れて、メソポタミヤ、カルデヤ人の地のウルから出てハランに移り住みました。
創世記11:31「テラは、その息子アブラムと、ハランの子で自分の孫のロトと、息子のアブラムの妻である嫁のサライとを伴い、彼らはカナンの地に行くために、カルデヤ人のウルからいっしょに出かけた。しかし、彼らはハランまで来て、そこに住みついた。」
そのころ、アブラハムはアブラム、サラはサライと呼ばれていました。アブラハムの父、テラはハランで死にました。
4そこで、アブラハムはカルデヤ人の地を出て、ハランに住みました。そして、父の死後、神は彼をそこから今あなたがたの住んでいるこの地にお移しになりましたが、5ここでは、足の踏み場となるだけのものさえも、相続財産として彼にお与えになりませんでした。それでも、子どももなかった彼に対して、この地を彼とその子孫に財産として与えることを約束されたのです。
父テラの死後、アブラハムは自分の家族を連れてハランから旅立ち、約束の地であるカナン(現在のイスラエルの国がある地)を目指しました。
創世記12:4−5「4アブラムは【主】がお告げになったとおりに出かけた。ロトも彼といっしょに出かけた。アブラムがハランを出たときは、七十五歳であった。5アブラムは妻のサライと、おいのロトと、彼らが得たすべての財産と、ハランで加えられた人々を伴い、カナンの地に行こうとして出発した。こうして彼らはカナンの地に入った。」
そこは神様が約束された地でしたが、アブラハムがその地を所有することはありませんでした。しかも、アブラハムに子供が生まれませんでした。それでもアブラハムは神様を信じ、自分の子孫が増え広がり、この地を所有することができるという神様のことばを信じました。
創世記15:5−6「5そして、神はアブラムを外に連れ出して仰せられた。「さあ、天を見上げなさい。星を数えることができるなら、それを数えなさい。」さらに仰せられた。「あなたの子孫はこのようになる。」6彼は【主】を信じた。主はそれを彼の義と認められた。」
6また神は次のようなことを話されました。『彼の子孫は外国に移り住み、四百年間、奴隷にされ、虐待される。』7そして、こう言われました。『彼らを奴隷にする国民は、わたしがさばく。その後、彼らはのがれ出て、この所で、わたしを礼拝する。』
神様は、アブラハムの信仰を義と認められた後で、アブラハムの子孫は増えるけれども、この土地を所有することになるのはさらに400年以上後になることを告げました。
それまでは、外国(それはエジプトでした)で奴隷として住むことになり、そこからカナンの地にアブラハムの子孫たちが導かれ、そこで神様を礼拝するようになるのです。神様がアブラハムに与えた約束は、そのとき実現するのでした。
このようなイスラエルの歴史をステパノは語り始めました。それは、礼拝はどこででも霊とまことをもって礼拝することができること。律法が示した犠牲をささげる礼拝は、もはやイエス様ご自身が罪の身代わりの犠牲となってくださったので不要になったこと。律法は、ユダヤ民族を神の民として整え、導くためのものでしたが、今や律法は、すべての人たちに神の聖さを示すため、私たちに罪を知らせ、悟らせるものとなったこと。旧約聖書は神様の救いの歴史、イエス様の十字架を伝えるため、また選びの民を守られる神様を知るためのものとなったことを示すためでした。
アブラハムに現れ、イスラエル民族を導かれた栄光の神様は、ついにイエス様を送ってくだり、私たちを救い出してくださいました。そのような、遠大な神様のみこころのなかに、今の私たちがあることを知り、これからも神様に選ばれ、救われたことを感謝して歩みたいと思います。
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