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2014年1月26日 主日礼拝説教
「偉大な神は」(使徒の働き19章23節〜41節)
エペソにおいて、パウロの働きと神様の助けによって、主のことばがアジヤ州全体に生き生きと広まっていった様子を見てきました。パウロはマケドニヤ、アカヤを通って、エルサレムに帰ることになりました。それは、エルサレムに対する異邦人からの献金を届ける旅でもありました。さらにパウロは、まだ見ぬローマへの伝道を願っていました。今日は、パウロのエペソ滞在の終わりごろに起こった事件です。
23そのころ、この道のことから、ただならぬ騒動が持ち上がった。24それというのは、デメテリオという銀細工人がいて、銀でアルテミス神殿の模型を作り、職人たちにかなりの収入を得させていたが、
この騒ぎの首謀者は「デメテリオという銀細工人」でした。デメテリオはアルテミス神殿の模型を作る工房を持っていました。
アルテミスは豊穣多産の女神で、何十という乳房を持つ女性として表されていました。それがエペソの神殿に安置されており、その祭りは酒盛りと喧騒の中で行われました。そのような祭りのなかで始まった騒動だと言われています。
デメテリオは同業者仲間を集めて抗議行動を起こそうとしました。デメテリオは、彼らの商売である旅行者向けのお土産が最近売れなくなり、このままでは商売がやっていけなくなると訴えました。
26ところが、皆さんが見てもいるし聞いてもいるように、あのパウロが、手で作った物など神ではないと言って、エペソばかりか、ほとんどアジヤ全体にわたって、大ぜいの人々を説き伏せ、迷わせているのです。
パウロは、エペソで旧約聖書から造られた像のむなしさを説教していたでしょう。
イザヤ書44:9−11「9偶像を造る者はみな、むなしい。彼らの慕うものは何の役にも立たない。彼らの仕えるものは、見ることもできず、知ることもできない。彼らはただ恥を見るだけだ。10だれが、いったい、何の役にも立たない神を造り、偶像を鋳たのだろうか。11見よ。その信徒たちはみな、恥を見る。それを細工した者が人間にすぎないからだ。彼らはみな集まり、立つがよい。彼らはおののいて共に恥を見る。」
エペソと近隣地域の人たちがみなキリスト教徒になってしまい、アルテミスの神など信じようとしなくなってしまった、と言うのです。このままでいくと、銀細工人の仕事は偶像崇拝に加担しているということになってしまう。自分たちの商売がうまくいかなくなるだけでなく、アルテミスに対する崇敬の念が失われてしまう。エペソにとっても由々しき事態である。このままにしておいていいのですか。
デメテリオの訴えの始まりは、同業者に対して、自分たちの仕事の評判が悪化してしまうということだったのですが、それがエペソ、さらにアジヤ州、全世界にとっても大問題であり、神殿と女神アルテミスのご威光が失われてしまうことになる、と訴えが大きくなっていきました。
28そう聞いて、彼らは大いに怒り、「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」と叫び始めた。
「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」は、女神への礼拝の時にささげられるアルテミスへの賛辞のことばでした。
29そして、町中が大騒ぎになり、人々はパウロの同行者であるマケドニヤ人ガイオとアリスタルコを捕らえ、一団となって劇場へなだれ込んだ。
この騒動は街頭に繰り出す抗議デモに発展しました。銀細工人たちから始まった抗議は、それに同調する多くのエペソの群衆が加わり、ますます大きな規模になっていきました。
そして、まず「マケドニヤ人ガイオとアリスタルコ」を捕らえました。「アリスタルコ」はテサロニケの人で、このあとパウロと共に歩んでいく人です。20章4節にパウロに同行した人たちの名前が載っていますが、そこにアリスタルコの名が出ています。
集会は野外劇場に移っていきました。エペソで発掘された野外劇場跡は2万人上収容できる広さでした。
30パウロは、その集団の中に入って行こうとしたが、弟子たちがそうさせなかった。31アジヤ州の高官で、パウロの友人である人たちも、彼に使いを送って、劇場に入らないように頼んだ。
このことを知ったパウロは、最初は人々の前に出ていこうとしたのですが、クリスチャンの友人たちがパウロを引き止めました。そのほかパウロに好意を持っていた「アジヤ州の高官」も、パウロに劇場に入らないように使いを送ってきました。パウロのエペソ滞在によって、このような高官(「祭儀をつかさどる高官」新共同訳)もキリスト教に好意を持ち、パウロの友人となっていたのでした。
劇場は大混乱、無秩序に陥り、群衆の多くはこの集会が何のためのものなのかわかりませんでした。
33ユダヤ人たちがアレキサンデルという者を前に押し出したので、群衆の中のある人たちが彼を促すと、彼は手を振って、会衆に弁明しようとした。
そこにユダヤ人の「アレキサンデル」が立って、自分たちユダヤ人はパウロたちキリスト教徒とは違う者たちであり、自分たちには嫌疑をかけないように訴えようとしました。それは、群衆の中のある人たちがアレキサンデルに話させようとしたからでした。アレキサンデルは人々に静粛にするように手を振りました。
しかし群衆は興奮状態にあり、アレキサンデルの話を聞こうとはせず、また反ユダヤ教感情を爆発させて、アルテミスへの礼拝で唱える文句「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」を叫び続けました。それが「二時間」も続きました。
35町の書記役は、群衆を押し静めてこう言った。「エペソの皆さん。エペソの町が、大女神アルテミスと天から下ったそのご神体との守護者であることを知らない者が、いったいいるでしょうか。
2時間たって、ようやく「町の書記役」は頃合いだと思ったのでしょう。彼は群衆に冷静さを取り戻させようとしました。
エペソ人がアルテミスを守っていることは誰もが知っていることであり、この町にキリスト教が入ってきたからといって、このアルテミスの威光が覆ることはありませんと訴えました。書記役は、アルテミスに対する信仰を擁護するためでなく、あくまでもローマの法と秩序を守ろうとしたのでした。
「天から下ったそのご神体」とは隕石と言われています。それが女神像といっしょに祀られていました。
37皆さんがここに引き連れて来たこの人たちは、宮を汚した者でもなく、私たちの女神をそしった者でもないのです。
キリスト者たちは女神を攻撃し、参拝者に対して妨害したわけでもありません。何ら法に背いているわけではありません。何か法的に問題があるならば、地方総督が巡回して来る日に正式に裁判に訴えるように。これ以上騒ぎを起こし、エペソの問題となるなら、エペソ議会で正式に話し合うことになります。さらに暴動にまで発展しかねない今日の集会のことが地方総督に伝わった場合は「騒擾罪に問われ」、厳しい処置が取られるかもしれません。そうなったら町の書記役としても弁護できないことになります。こう説得して集会を解散させたのでした。
群衆は、「偉大なのはエペソ人のアルテミスだ」と叫び続けていました。彼らは興奮していたため、偉大なる神はエペソの造られた神アルテミスか、パウロが伝えたこの世界を造られた神、イエス・キリストの父なる神なのかを判断できなくなっていました。
ソロモンは神殿建設の時に、こう祈りました。
列王記第1、8:27「それにしても、神ははたして地の上に住まわれるでしょうか。実に、天も、天の天も、あなたをお入れすることはできません。まして、私の建てたこの宮など、なおさらのことです。」
偉大な神は宮に入れることができない。刻んだ像によってその姿を表すことができない。そのような神様こそ、偉大なる神様であることをソロモンは知っていました。
その偉大な神様が御子イエス様をこの世に遣わされました。イエス様の十字架によって私たちは罪赦され、神の子とされました。そして神様を礼拝することができ、神様に守られているのです。そのことを感謝し、これからも偉大な神様に守られて歩んでいきたいと思います。
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