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2014年5月18日 主日礼拝説教
「キリスト・イエスを信じる信仰」(使徒の働き24章17節〜27節)
もう一度23章から見ておきます。ユダヤの議会が召集され、パウロの取り調べが行われました。しかし、そこでパウロが「死者の復活という望みのことで、さばきを受けているのです」と言うと、議員のパリサイ人とサドカイ人が分裂する騒ぎになり、審議ができなくなりました。その夜イエス様が現れて、「あなたはローマでも証ししなければならない」と、パウロがいつかローマに行くことを示されました。
次の日、パウロを殺すまでは飲み食いしないと誓いあった40人以上のユダヤ人が、パウロを兵営から連れ出し、そこを襲うという計画を立てました。そのことを知った千人隊長は、夜中のうちにパウロを総督ペリクスのいるカイザリヤに護送しました。
24章に入って、パウロがカイザリヤに送られて5日目に、カイザリヤのペリクス総督の前でパウロの裁判が始まりました。パウロがそれに対して弁明しました。そこでもパウロは、自分はユダヤ人と同じ先祖の神に仕えていること、律法や預言者のことばを全部信じていること、義人も悪人も必ず復活し、さばきを受けるという望みを持っていることを証ししました。
パウロはさらに続けて、神殿で何があったかを弁明します。
17さて私は、同胞に対して施しをし、また供え物をささげるために、幾年ぶりかで帰って来ました。
パウロはユダヤの地を離れてから幾年もたち、今回久しぶりにエルサレムに帰ってきました。それは「施しをし、また供え物をささげるため」でもありました。
施しとは、第3回伝道旅行で巡ったマケドニヤやアカヤの教会から集めた、エルサレム教会の貧しい人たちへの援助金でした。それは、異邦人教会からのエルサレム教会への感謝の気持ちでした。
ローマ人への手紙15:26「それは、マケドニヤとアカヤでは、喜んでエルサレムの聖徒たちの中の貧しい人たちのために醵金することにしたからです。」
供え物とは、律法に従い、誓願のための4人の頭をそる費用を負担し、きよめの供え物をしたことでした。このきよめの儀式を神殿で行っていた時に、パウロはアジヤ(エペソ)から来たユダヤ人に見られたのでした。パウロは何も律法に違反することはしていないし、神殿の中は静かで、何の騒ぎも起きていませんでした。この騒ぎを起こしたアジヤからのユダヤ人は姿を消してしまい、ここには来ていませんでした。
そのアジヤからのユダヤ人が出頭しないならば、ユダヤ議会で何があったかを、その議員たちの幾人かがここに来ているので、彼らに証言させてくださいと訴えました。
21彼らの中に立っていたとき、私はただ一言、『死者の復活のことで、私はきょう、あなたがたの前でさばかれているのです』と叫んだにすぎません。」
自分は神殿を汚した罪でなく、復活の信仰を伝えていることによって裁かれていると主張しました。
22しかしペリクスは、この道について相当詳しい知識を持っていたので、「千人隊長ルシヤが下って来るとき、あなたがたの事件を解決することにしよう」と言って、裁判を延期した。
ペリクスは判決することを延期しました。それは、事件をより詳しく説明できる千人隊長のルシヤからの報告を待つため、またペリクスが「この道について相当詳しい知識を持っていた」ためと説明されています。ペリクスが、長年にわたってユダヤの裁判をしてきたからであり、また24節に出てくる妻のドルシラの影響があったと言われています。何よりも、ペリクスはユダ人との関係を悪化させたくなかったのでした。
23そして百人隊長に、パウロを監禁するように命じたが、ある程度の自由を与え、友人たちが世話をすることを許した。
有罪になっていないローマ市民の扱いをパウロは受け、地元カイザリヤのクリスチャンたちからの訪問や差し入れを受けました。エルサレムへの旅の途中パウロがカイザリヤに滞在した時、そこのクリスチャンたちは、危険が待っているエルサレムに行かないように説得しました。
使徒の働き21:11−13「11彼(預言者アガボ)は私たちのところに来て、パウロの帯を取り、自分の両手と両足を縛って、「『この帯の持ち主は、エルサレムでユダヤ人に、こんなふうに縛られ、異邦人の手に渡される』と聖霊がお告げになっています」と言った。12私たちはこれを聞いて、土地の人たちといっしょになって、パウロに、エルサレムには上らないよう頼んだ。13するとパウロは、「あなたがたは、泣いたり、私の心をくじいたりして、いったい何をしているのですか。私は、主イエスの御名のためなら、エルサレムで縛られることばかりでなく、死ぬことさえも覚悟しています」と答えた。」
カイザリヤのクリスチャンたちは、その通りになってしまったことを知りましたが、この時パウロから今までのいきさつと、パウロにイエス様が現れて、ローマでも証しすることになると約束された幻のことも聞き、励まされたことでしょう。
24数日後、ペリクスはユダヤ人である妻ドルシラを連れて来て、パウロを呼び出し、キリスト・イエスを信じる信仰について話を聞いた。
ペリクスか妻ドルシラか、あるいは両方か、キリスト教に興味を抱いていました。
ドルシラの父ヘロデ・アグリッパT世は、12章に出てきた使徒ヤコブを殺した王でした。また王は、演説をしている最中に急死しますが、聖書では主の使いに打たれ、「虫にかまれて息が絶えた」と書かれています。そんなドルシラでしたから、キリスト教のことを知りたいと思っていたのかもしれません。
二人はパウロから「キリスト・イエスを信じる信仰について話」を聞きました。パウロは「正義と節制とやがて来る審判」について話しました。ペリクスは、ドルシラが夫と離別するように画策し、それがかなってドルシラと結婚しました。そのような罪を抱えていたので、ペリクスはパウロの話に「恐れを感じ」ました。しかし、ペリクスに悔い改めるつもりはなく、「おりを見て」聞くことにしようと言い、すぐにパウロとの話を打ち切ってしまいました。
ペリクスの狙いはパウロからのわいろでした。何度かパウロと面会をしましたが、パウロはそれを出そうとはしませんでした。
27二年たって後、ポルキオ・フェストがペリクスの後任になったが、ペリクスはユダヤ人に恩を売ろうとして、パウロを牢につないだままにしておいた。
それで、カイザリヤに留置されたまま2年間が過ぎてしまいました。次の総督「ポルキオ・フェスト」が着任しました。
パウロは、ペリクスにイエス様の救いと復活を語りたかったのですが、最初の機会であった妻ドルシラといっしょの会見では、「今は帰ってよい。おりを見て、また呼び出そう」ということになってしまいました。しかし、その後も、ペリクスは「パウロから金をもらいたい下心があった」とはいえ、幾度もパウロと話すことができました。それらは、「キリスト・イエスを信じる信仰について」の話でした。このようにパウロはペリクスへ福音を伝え、またカイザリヤのクリスチャンたちとの交わりを持ちながら、ローマへの道がどのように開かれていくのか、その約束を待つ2年間を過ごすことになるのです。
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