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2015年3月29日 主日礼拝説教
「主ご自身の栄光のため」(コリント人への手紙第二 8章16節〜24節)
パウロは、8章から献金の恵みについて語ってきました。それが9章まで続きます。
ユダヤ人クリスチャンたちは異邦人に対して長い間偏見を持っていたので、福音が異邦人たちに広まって行っても、それを素直に喜べない人たちがいました。パウロの願いは、ユダヤ人クリスチャンたちの偏見を取り去り、エルサレム教会と異邦人教会とが心を合わせて、神様の救いをほめたたえることでした。
この当時、エルサレム教会は、うち続く飢饉と迫害のため貧しい生活の中にありました。そこでパウロは、この機会に異邦人の教会がエルサレム教会を援助することによって、異邦人教会の愛の心を知ってもらい、ユダヤ人教会と異邦人教会の一致をはかろうとしました。まず、異邦人教会の中で、それほど裕福でなかったマケドニヤの教会(ピリピ、テサロニケ)が、迫害と極度の貧しさの中にあっても、喜んで恵みのわざに参加しました。それにひきかえ、パウロが最も期待していたコリントの教会はそうではありませんでした。
コリント教会は、以前はパウロの趣旨にいち早く賛同した教会でした。前回読んだ10節に「この献金のことについて、私の意見を述べましょう。それはあなたがたの益になることだからです。あなたがたは、このことを昨年から、他に先んじて行っただけでなく、このことを他に先んじて願った人たちです」と言われているとおりです。それにもかかわらず、途中でくじけて、この献金運動から脱落してしまったのです。そこにはコリント教会内部にさまざまな問題が起こり、よその教会のことを考える余裕がなくなってしまったこともあったでしょう。しかし、コリントの教会の問題が一段落した今、もう一度この趣旨を理解し、この献金運動に参加してもらおうとパウロは願ったのです。
さて今日のところでは、パウロは献金運動をコリント教会に説明するために3人の人をコリントに送ろうとします。その3人とは、まず16節にある「テトス」です。次に18節の「また私たちは、テトスといっしょに、ひとりの兄弟を送ります」と書いてある兄弟です。さらに22節の「また、彼らといっしょに、もうひとりの兄弟を送ります」とある兄弟でした。
まず20,21節を見てみましょう。「20 私たちは、この献金の取り扱いについて、だれからも非難されることがないように心がけています。21 それは、主の御前ばかりでなく、人の前でも公明正大なことを示そうと考えているからです。」
パウロは献金の取り扱いについて細心の注意を払いました。パウロは、献金の管理について誤解がないように、疑惑を持たれることのないようにと願っていました。パウロが目指していたのは、献金については人の前でも神の前でもすべてが公正でなければならないということでした。
さてパウロは、ここで3人の人をコリント教会に送ろうとしているのですが、その人たちがいかにこの働きに対してふさわしいかを語っていきます。
まずパウロの頭にまず浮かんだのはテトスでした。
16私があなたがたのことを思うのと同じ熱心を、テトスの心にも与えてくださった神に感謝します。17彼は私の勧めを受け入れ、非常な熱意をもって、自分から進んであなたがたのところに行こうとしています。
テトスは、コリント教会からの良き知らせを持って、パウロのいるマケドニヤに帰って来たところであり、コリント教会のことを一番知っている人でした。パウロにとって、今コリントの教会に対して最も信頼できる者として推薦できるのはテトスであったでしょう。テトスはコリント教会に対して熱い思いを持っていました。このテトスの熱い思いは、パウロにとって何ものにも代え難いものでした。テトスは、献金がコリントのクリスチャンの恵みになることを知っていました。
確かに集められた献金は貧しいエルサレムの教会の人たちのために使われるのですが、その祝福を神様から受けるのは、ささげたコリント教会でした。パウロはそのことを神様がテトスに示し、自分と同じ熱心さがテトスにも与えられたことを感謝するのです。テトスが抱いた熱心さは神様からのものだったので、テトスは強いられてではなく、「自分から進んでコリントに行こうとしているのです」。
パウロが始めたエルサレム教会を援助しようとする働きは、神様に動かされた一人一人の思いが一つとなって、目標を目指して前進していくのです。脱落しかけているコリントの教会も、ぜひもう一度、恵みの交わりの中に入ってほしかったのです。それこそ、教会の交わりが一つにされていく恵みのわざでした。
2人目は、18節に「ひとりの兄弟」と紹介されている人です。
18また私たちは、テトスといっしょに、ひとりの兄弟を送ります。この人は、福音の働きによって、すべての教会で称賛されていますが、19そればかりでなく、彼は、この恵みのわざに携わっている私たちに同伴するよう諸教会の任命を受けたのです。私たちがこの働きをしているのは、主ご自身の栄光のため、また、私たちの誠意を示すためにほかなりません。
この人の名は明らかにされませんでしたが、コリントをはじめ諸教会に良く知られていた人でした。「福音の働きによって、すべての教会で称賛されて」いるとあるように、教会の宣教の働きにおいても良き実を結んでいる人でした。マケドニヤの教会は、この指導的な立場に立っていた人を、あえてテトスと共にコリントに送ることにしたのです。
またこの「ひとりの兄弟」が、パウロが勝手に選んだ人ではなく、諸教会の推薦によって任命を受けた人でした。パウロが勝手に選んだという非難が出ないようにするためでした。
そしてパウロは、この働きは「主ご自身の栄光のため」であり、「私たちの誠意を示すため」であることを語ります。パウロが持っていた献金運動のビジョンは、異邦人教会の「誠意を示す」ためでしたが、それは最終的には「主ご自身の栄光のため」でした。
22また、彼らといっしょに、もうひとりの兄弟を送ります。私たちはこの兄弟が多くのことについて熱心であることを、しばしば認めることができました。彼は今、あなたがたに深い信頼を寄せ、ますます熱心になっています。
パウロが信頼してコリントに送ろうとした第3の使者については、「多くのことについて熱心であることを、しばしば認めることができました」と紹介しています。彼は、いろいろな場面で教会に対して熱心に、また重要な働きを担ってきた兄弟と思われます。パウロは、この兄弟をさまざまな機会に、その働きぶりの熱心さを見て取ったのでしょう。彼は今コリント教会に深い信頼を寄せ、「ますます熱心になっている」と評されています。
そして、パウロは、コリント教会に、この3人の使者たちに対して誠意を持って答えてくれるよう願いました。
24ですから、あなたがたの愛と、私たちがあなたがたを誇りとしている証拠とを、諸教会の前で、彼らに示してほしいのです。
パウロは、コリントの教会に、この3人の使者を受け入れることによって、コリント教会の愛を示してほしい。そして、パウロがコリント教会を誇りとしている証しを示してほしいと願うのです。
エルサレム教会と異邦人教会を一致させるというビジョンと働きは、こうして全教会の助けによって広がっていきました。献金によって誠意を示すため、また公正であらねばならないということ、それはすべて主ご自身の栄光が現されるためでした。
コリント人への手紙第1、10:31「こういうわけで、あなたがたは、食べるにも、飲むにも、何をするにも、ただ神の栄光を現すためにしなさい。」
ピリピ人への手紙を読んで終わります。
ピリピ人への手紙1:6「あなたがたのうちに良い働きを始められた方は、キリスト・イエスの日が来るまでにそれを完成させてくださることを私は堅く信じているのです。」
私たちは、今週も私たちの心によい思いを与えてくださり、それを実現してくださる神様を覚え、期待をもって歩み出したいと思います。
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