礼拝説教「平和の君誕生の約束」2020年12月6日 アドベント第2週
聖書 イザヤ書9章1~7節
(序)アドベント第2週を迎え、メシア誕生の預言より見たいと思います。
1節を御覧ください。「苦しみのあった所にやみがなくなる」とあります。ゼブルンの地とナフタリの地とは、ガリラヤ湖の西側にあたる地域です。古来この地域は、一番に侵略され、苦しみを担ってきた地域でした。その闇に包まれていたようなガリラヤの地域に、メシアである主イエス様がお出で下さり、ガリラヤ伝道をなしてくださり、世の光として、闇を照らしてくださいました。ですから、「やみの中を歩んでいた民は、大きな光を見た」と言うのです。死の陰に住んでいた者の上に光が照ったのです。戦いは止み、重荷のくびきは除かれ、喜びと繁栄が人々に訪れるというのです。6節において、「ひとりのみどりごが、私たちのために生まれる」とメシア誕生の預言がなされます。「主権はその肩にある」というのです。そして、その名について紹介されます。
一、不思議な助言者
その名の最初に出てくるのは、「不思議」という言葉です。「不思議な」と言うより、「不思議」そのものであるお方が紹介されています。士師記13章18節を見ますと、サムソンのお父さんのマノアが主の御使いに名前を聞いているところがありますが、御使いは「それは不思議」と答えています。救い主である主イエスは、「不思議」そのものでいらっしゃるお方です。人間の知恵と力を超えた神たるお方としての御名です。主イエスはメシアとして、驚くべき不思議なお方です。その誕生において「不思議」であり、その愛、その力、その謙遜、その悲しみ、その苦痛において、またその復活、昇天において不思議なる方です。まさにメシアの神性を表しており、不思議な驚くべきお方です。新改訳では「不思議な助言者」と訳されています。ワンダフル・カウンセラーです。「驚くべき指導者」(新共同訳)とも訳されています。王には、たいていどの道に進むべきか相談して助言を与える助言者がいました。様々な知恵を王に提供する人です。しかし、王としての主権をもって生れるみどりごは、王であるとともに知恵に満ちた不思議な助言者です。キリストのうちに知恵と知識との宝がすべて隠されているのです(コロサイ人への手紙2章3節)。主イエスは、私たちと共にいて、私たちを導き助けて下さる方です。主は、私たちにとって、信仰の導き手であってくださいます。
二、力ある神
このみどりごは、「不思議な助言者」であるばかりでなく、「力ある神」です。私たちを罪と暗黒より救い出し解放して下さる力ある神、全能の神です。主が私たちの力であることを、詩篇は度々歌っています。詩篇28篇7節、46篇1節。大きな力が主イエスから出て、すべての人を癒されました。長い間、病に苦しんでいた婦人は、主イエスにさわって、たちどころに癒されました。ルカの福音書6章19節、8章46節。主は、勇者であり、力ある神です。ゼパニヤ書3章17節の「勇者」とは、「力ある」と同じギッボールという言葉が用いられています。
三、永遠の父
父という言葉は、メシアの特性を示す言葉であり、父のようにその民を守り、彼らの必要を供給する方であることを意味しています。民にとっての神は、父のような存在であり、羊にとっての羊飼いのような存在です。そこには、やさしさと愛と慰めとがあります。それは、慈愛に満ちた保護者のようなご存在です。主は、父として、常に私たちを守り、すべての必要を満たして下さる方です。イザヤ書63章16節。
四、平和の君
「平和の君」とは、メシアの名前の中のクライマックスです。主は、平和の君として、全ての者に本当の平和と平安をもたらせてくださる方です。「平和」シャロームとは、欠けのない満ち足りた事です。神との関係が回復された者の内からほとばしるいのちの盈満です。神との関係、人との関係、霊的なこと、生きがいのこと、経済的なこと、ありとあらゆることにおいて満ちているということであり、ほとばしり出るいのちの盈満です。ローマ5章1節。主は、欠けのない確かな救いを与えて下さいます。すべての祝福の基礎は、神との平和です。神との関係が回復される時、他の全てのものは、祝福され、満たされるのです。詩篇37篇11節にあるように、貧しい人(柔和な人)は、豊かな繁栄(平和)をおのれの喜びとするのです。この満ち溢れるいのちのシャロームを与えるために、主は、「平和の君」としてお出で下さったのです。
主は、全能の神、とこしえの父でありながら、不思議な助言者、導き手として、私たちと共に歩み、平和の君として、平和と平安を与えて下さる方です。 万軍の主の熱心がこれをなして下さるのです。
(結論)主は、この朝、共にいてくださるインマヌエルなる主は、「不思議な助言者、大能の神、とこしえの父、平和の君」であって下さいます。このお方を、心から信じ、従って行きましょう。