聖書箇所 使徒の働き27章1~8節 説教題 『逆風の中でも』 ■序論 使徒27章はカイザルに上訴したパウロがローマに移送される航海記である。神様は逆風の中でも不思議な方法で備えられた目的地へと連れて行って下さる。 1.ローマへの船出(1節) パウロの無罪はアグリッパ王も総督フェストも確信していた(27:32)。しかし上訴を決めたパウロは裁判を通してローマに福音を伝えることを目的とした。船旅は安全の保障はなく、常に危険が伴っている。ところが、陸地でもパウロ殺害を企てる者達もいた。そういう意味でローマ皇帝直属の百人部隊に警護されて舟で移送されることは安全でもあった。パウロは晩年に囚人の立場でローマ宣教に向けて船出した。この時が神様が備えられた最も良い時だった(Ⅰペテロ5:6、7)。主に従う人生はいつでも目標に向かって船出する備えが必要である。 2.良き同行者(2~3節) カイザリヤからローマは海路と陸路を合わせると3000キロ近い長旅だった。ここから主語は「私たち」(21:18以来)となり、医者である著者ルカが同行した。さらにテサロニケ人アリスタルコも同行した。彼はエペソで逮捕された時(19:29)も、ローマに行ってから投獄の時(コロサイ4:10)もパウロにつき従っていた。彼らは人間的な師弟関係を超えてキリストにある強い絆で結ばれていた。百人隊長ユリアスは好意的で、シドン入港の際はパウロが主にある兄姉と交わることを許可した。パウロは彼らに大変励まされただろう。信仰の旅路は一人旅とは違う。同じ目的地に向かい助け合う人達がいることを感謝しよう。 ルカは航路を明確に記録することによって、古代の地中海航海ルートを示した。暴風や破船の危険はつきもので、「向かい風」(4節)「風」(7節)がある中、中間地となる「良い港」に着いた。風がないと船は進まないが、風は思い通り吹かない。しかし、逆風の中でも聖霊の風が正しい目的地へと導いて下さると確信するのが信仰者の旅路である(ヨハネ3:8)。神様は乗り越えられない試練は与えられない(Ⅰコリント10:13)。聖霊の追い風によって試練を乗り越えていこう。 ■結論 私達の信仰生涯にも試練や逆風はつきものである。しかしそれらを乗り越えさせて下さる聖霊の力を信じて、神様が連れて行って下さる目的地へ進もう。 |