日本キリスト教団

20200628 説教ダイジェスト
礼拝説教要約  「脅かすものはない」
          ミカ書418

  「脅かすものは何もない」。この世界を見まわして、そんなところがあるでしょうか。新聞の小さな記事ですが、東アフリカではものすごい数のバッタがの作物を食い荒らしているそうです。コロナ感染症のせいで農業、漁業、被害を被っています。私は家庭菜園をやったことがあります。大きな台風が、カラスが私の収穫を台無しにしました。農家の方々は大変だなあと思っています。私たちの身の回りには、脅かすものがあります。けれど、今日の個所は、神様がいつの日にか、私達を脅かすものは何もない世界をもたらしてくださると約束しています。

 
エレミヤ書26章にあるように、当時、ユダヤの人々は預言者ミカは本当のこと、神の言葉を語る真の預言者だと認めていました。ミカ書3章までは正真正銘のミカ自身の言葉、そして4章以下の言葉は、100年後の人たちが預言者ミカの言葉を思い出し、自分たちの信仰で言い直した言葉です。今自分達の置かれている状況に合わせて、書き直したのです。

 7節「追いやられた人」。バビロン捕囚です。ユダの国、エルサレムを追われたのです。戦いに敗れ、バビロンへと連行されました。遠くバビロンで、預言者ミカの言葉を改めて聞き直したのです。ミカが指摘したとおり、それは私たちの罪のせいなのだ。心から悔い改めて預言者ミカの言葉を聞きました。

 6節「足の萎えた者」、創世記の族長ヤコブです。ヤボクの渡しで神の使いと格闘し足の腿の筋が外されて、足を引きずるようになった。足の萎えた者、遠い国に追いやられた者、それはヤコブ、イスラエルのことです。心から悔い改めた人のことです。足の萎えた者、遠い国に追いやられた者、深く悔い改めた人々を神様は顧みてくださり、神様の栄光に与らせてくださるのです。神の栄光を帯びた全く新しい神の民イスラエルが生まれると信じました。

 遠い国バビロンに追いやられ、身の回りにはどんな危険が待っているかわからない。しかし、信じていたのです。脅かすものはないもない世界が、平和な世界がもたらされると。神様に期待して、忍耐し待ち続けたのです。5節にありますように、ただ自分の神の名にこそ救いがある。平和がある。神様が平和をくださると信じ続けたのです。神のみ心に方う人々を神は喜び、平和をもたらしてくださいます。悔い改めつつ、希望を抱いていたのです。

 4節に農民たちの理想の平和が記されています。「人はそれぞれ自分のぶどうの木の下/いちじくの木の下に座り/脅かすものは何もないと/万軍の主の口が語られた。」

 他にもあります。列王上55節「ソロモンの在世中、ユダとイスラエルの人々は、ダンからベエル・シェバに至るまで、どこでもそれぞれ自分のぶどうの木の下、いちじくの木の下で安らかに暮らした。」ゼカリヤ310節「その日には、と万軍の主は言われる。あなたたちは互いに呼びかけて/ぶどうといちじくの木陰に招き合う。」ブドウやイチジクの木が成長し、葉が茂り、豊かに実る。目に見える豊かさのしるしです。厳しい日照りを避けて、木の陰で、ほっと安らぐのです。何も心配はない、何も煩いはない、何も脅かすものはない。3節のように、剣や槍を持って暴れまわっていた兵隊たちは、もういないのです。


 平和、シャロームとは戦争がないだけではありません。全てが円満である、少しも欠けることなく満足していることです。神様がシャロームをくださいます。

 旧約聖書は、このように神様の真の平和、救いが現わされる日が来ることを待つ、という信仰で貫かれています。シャロームの日を待つ信仰です。つまり、目指すべき目標があり、すべてのことに満足できる日がもたらされる希望があるのです。その日を目指しつつ、神のみ心をなしていくのです。

 今日の個所を、ここに記した人々はどんな人たちだったか。遠い国に追いやられ、身の回りに脅かすものばかり。しかし、脅かすものはないもない世界が来ると信じていた。真に平和な世界が来ると信じていた。神様に期待して、忍耐し待ち続けた。ただ自分の神の名にこそ、救いがある。平和がある。神様が平和をくださると信じ続けた。神のみ心に叶う人々を神は喜んでくださる、平和をもたらしてくださると信じ、悔い改めつつ、希望を抱いたのです。

  新約聖書、黙示録にはこうあります。その日、終わりの日、救いの日のことです。213-4節「見よ、神の幕屋が人の間にあって、神が人と共に住み、人は神の民となる。神は自ら人と共にいて、その神となり、彼らの目の涙をことごとくぬぐい取ってくださる。もはや死はなく、もはや悲しみも嘆きも労苦もない。最初のものは過ぎ去ったからである。」慰めに溢れた約束ですね。


 
   
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