日本キリスト教団

20200913 説教ダイジェスト
礼拝説教要約 「命を取り戻す」
ヨハネの手紙 Ⅰ 5章13-17節

  今日はヨハネの手紙。ヨハネという名の指導者が他の教会の信徒に宛てて手 紙を書きました。最初の1章から見ていくと、信徒は神・イエスとの「交わり」 をなして、神から良いものを戴き、救いに与り、信仰生活が続けられるのだから、 神・イエスとの「交わり」を尊び大切にしてほしいと訴えています。神・イエス との交わりを保つために、信じる人々の交わり、教会の交わりの中にあるように、 教会の群れの外に出てしまわないで居続けるように訴えています。

 この手紙が書かれた頃、イエスの死から70年程の年月が経ち、キリストの教 会、信徒の群れがある程度の規模になると、それを見逃さない人たちがいたよう です。偽物の福音を語り、自分自身が教会の指導者になろうとする人、教会を自 分の物にしてしまおうと目論む心得の悪い人たちがいたのです。こういう人達 に誘導されて、信仰を捨てて群れから離れてしまう人たちがいたのです。

 この手紙では、信仰を捨てる人に対して厳しい言葉が綴られています。キリス トの救いを否定する人たちは「偽り物」であり、「反キリスト」だと非難してい ます。神との交わり、イエスとの交わり、信じる人々の交わり、この交わりの中 にあってこそ、救いにあずかることができる。この交わりの外に出てしまうなら 救われなくなってしまう。あれかこれかです。

 14-15節、まとめて言い直します。今、この手紙を読んでいるあなたがた は、群れの中に居続けている。信仰生活を重んじ、神、イエスとの交わりを続け ている。だから、今、あなたがたは永遠の命を得ている。このことを信じて、こ のことを心の拠り所にして、惑わされないで、しっかりと信仰生活を続けましょ うというのです。神様は一人一人に最も良いことをしてくださいます。祈るべき なのです。

 そして、この手紙は、自分たちのことばかりではなく、永遠の命を捨てた人、 諦めた人、交わりから離れる人、こういう人たちにも目を向けるようにと促して います。「死に至らない罪」を犯している人のために神に願う。そうすると、神 は命を与えてくださる。命を取り戻させてくださるというのです。

 この手紙で「命」とは「永遠の命」、救いのこと。「死」とは、永遠の命(救い) を失うこと。「神の前での命と死」のこと。霊的な意味での命と死のことです。 例えば、自分中心な心で自分の楽しみのことだけを思うようになり、隣人のこ とを一切関心がなくなった人。ルカ福音書12章の愚かな金持ち。命あって生き 2 ていても、自分の欲ばかりになり、隣人への愛は失われている。こういう人を「生 ける屍」と言います。生きているけど死んでいるも同然。肉の命あって生きては いても、神の前では生ける屍。「死に至る罪」を犯した人がいたとして、その人 は生ける屍。神の前では死んでいるのです。けれど、「死に至らない罪」を犯し た人は、永遠の命を失ってしまうのではないかと危ぶまれているのです。この人 のために私達が神に祈るなら、永遠の命へと連れ戻してくださる、永遠の命を得 るようにしてくださる。だから、兄弟姉妹の救いを願って、どんなに危ういと思 われる人のためにでも、救いを祈りましょうと手紙の著者は訴えるのです。

 「死に至る罪」「死に至らない罪」、これはいったいどういう罪なのか。いろい ろ議論してきました。はっきりした結論は出ていません。しかし、現実的には、 罪とは何のことかを言い合うことではないでしょう。救われるように祈ってみ て、その兄弟が恵まれた信仰生活をし、群れの中にいるなら、「死に至らない罪」 だったのです。そうでないなら、群れから離れたのなら、「死に至る罪」だった のです。

 この手紙が書かれた時代は、信仰にとって厳しい時代だったけれども、その中 にあって、群れのメンバー、教会のメンバーに目を向け心を向けて、一人一人の 救いを祈りましょうと勧めています。今、私達は新型コロナ感染の心配の真った だ中です。教会の方々、互いにお会いすることが妨げられています。五橋教会の 皆さん、お元気でしょうか? いかがなさっておられますか?

 今日は、とりなしの祈りの勧め。私達が自分に向けている心を共に生きる人に、 隣人に向けること。隣人を愛すること。そして、私達が隣人のために一生懸命に なることはもちろん、すべてを治めておられる方、誰よりも大きな愛の持ち主、 神様に委ねること。このことが、とりなしの祈りをするということです。

 私達の信仰には、様々な面があります。13-14節で触れているような、神 との交わりを続けること。信仰を貫くこと、これは、素晴らしいことです。それ だけでなく、とりなし祈ること。イエスのように隣人を愛し、神の力で癒し救に 導くのです。そのために役立てられたなら、祈った人自身が、神との交わりの中 にある素晴らしさを経験したのです。祈った人、祈られた人が、お互いに神様の 救い、恵み、永遠の命を分かち合います。私達が、神との交わりの中にあること の素晴らしさを生かしていくならば、さらに素晴らしさを知るのです。

 神様は私達の祈りを聞いて、私達(祈る人、祈られる人)の命(信仰)を取り 戻してくださいます。信じていきましょう。

 
   
 愛隣こども園
宮城県仙台市青葉区五橋1-6-15
〒980-0022 ℡:022-222-3242