日本キリスト教団

2020.10.18 説教ダイジェスト
礼拝説教要約 「平和の計画」
エレミヤ書29章1-14節

  今日の聖書の箇所は、預言者エレミヤが遠くバビロンの地に連れていかれた 人々に宛てて書いた手紙です。バビロン帝国の圧倒的な力にねじ伏せられてエ ルサレムは陥落し、ユダヤの人々は遠いバビロンの地へ連れていかれました。 「バビロン捕囚」という出来事です。さらに、エルサレム陥落の10年前にも、 バビロンに連れていかれた人々がいました。この手紙は、その人々に宛てた手紙 です。

 エレミヤがこの手紙を書いた理由は、2つ。たった2年でバビロンから解放さ れると主張する人がおり、その一方で、バビロンに連れていかれた人々がバビロ ン帝国に対する抵抗運動をすべきだと主張する人がいたのです。浮足立つよう な話があり、その一方では、力任せな物騒な話があったのです。けれど、エレミ ヤの考えは違っていました。

 エレミヤが手紙に託したことは、神様が「平和の計画」を立てておられるとい うことです。神様は必ずエルサレムに連れ戻してくださるし、その日が来ること を信じ祈りつつ待ちましょう。今いる場所で、バビロンで平和に落ち着いて生活 しましょうというのです。つまり、エレミヤは、ユダヤの人々がバビロンに連れ ていかれたということは、神の御心だとしているのです。

 バビロンに連れていかれた人々が、自分の状況を神の計画、み心と信じて受け 入れること。これは容易いことではないでしょう。しかし、このことがバビロン にいる人々のこれからのすべてを決するでしょう。腹を据えて身の置き所と思 うかどうか。神様の導きを期待し委ねるかどうか。神様の御心と人間の思いが、 ここでぶつかり合うのです。すんなりとはいかないことでしょう。そのことはエ レミヤも分かっていたようで、バビロンにいる人々に、信仰生活をするようにと 勧めています。12節「そのとき、あなたたちがわたしを呼び、来てわたしに祈 り求めるなら、わたしは聞く。わたしを尋ね求めるならば見いだし、心を尽くし てわたしを求めるなら、わたしに出会うであろう、と主は言われる。」

 「そのとき」とは、神様の平和の計画が人の目に見て分かるようになる時、エ ルサレムに帰ることになる時です。「そのとき」までずっと、神の御名を呼ぶ生 活、信仰生活を続けていることが期待されています。

 バビロンに連れていかれた人たちが、その地で神の名を呼び祈り、信仰生活を すること。どうして自分がここにいるのか、遠くバビロンに連れていかれたその 2 訳を、神に尋ねる生活をすること。できれば、神のみ心と受け入れること。心落 ち着いて自分のなすべきことをなし、隣人を心に留め平和に過ごすこと。そのよ うにして、神のみ栄を表して過ごすのです。しかし、これは、どこにいても神が 神の民に願っておられることです。神の民の基本です。つまり、バビロンに連れ ていかれたという重大な経験を通して、神の民はいよいよ自覚的に神の民にな るように神が願っていると告げているのです。

 バビロンに連れていかれた人々は、自分の故郷、エルサレムを想っていました。 ユダヤ人にとって、故郷エルサレムは神の都であり、何より特別なのです。いつ か帰る故郷、いつか帰る安息の地です。住み慣れない土地で暮らす人々が、自分 たちの故郷を想い、憧れています。このことは、この世にいる私たちが天の故郷 を憧れていることになぞらえることができると思います。

 エレミヤは、天の故郷に帰る日を待つ私たちに、この世での過ごし方を教えて います。信仰の生活をしましょうと勧めています。神と共に生きていきましょう。 隣人と一緒に平和に生きていきましょうと勧めています。

  新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっています。中世ヨーロッパでは、伝 染病ペストに襲われ、人口の3分の1が死にました。誰もが死の危険に怯えてい ました。教会は、人々が平安に死を迎えるためにガイドブックを配りました。今 この時こそ、神様に心を向け、命を司る神を尊びましょう。家族、隣人と平和な 関りを持てるように努めなさいと勧めました。

  カトリックの修道女、渡辺和子さんは、『置かれた場所で咲きなさい』という 本で、「(私たちには)「こんなはずじゃなかった」と思うことが、次から次に出 てきます。そんな時にも、その状況の中で「咲く」努力をしてほしいのです。ど うしても咲けない時もあります。・・・そんな時には・・・根を下へ下へと降ろ して、根を張るのです。次に咲く花が、より大きく、美しいものとなるために。」 「根を下へ下へと張る」とは、私たちにとって、エレミヤの言うところの、神様 を信じる生活をすること、隣人と平和に過ごすように心がけることです。何かを 学んだり、身につけたり、神の前に自分自身を大切にし、さらに隣人と出会い、 平和に過ごすことです。

 イエス・キリストの十字架によって、神の愛が示されました。私達の目に見え ないところで、神様は私達のために「平和の計画」をなしてくださっています。

 
   
 愛隣こども園
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