終末の日に、イエス様はこの世界の国々のすべての人を集め、羊と山羊を分け るように、右左に分けます。人を愛した人たちと愛さなかった人たちに分けます。
羊と山羊を分けることは、簡単に区別がつくように思いますが、羊と山羊はお互 いに似ている種類があり、よくよく見ないと区別できません。イエス様は、この
世界の人々を集め、そして、その一人ひとりを細かいところまでしっかりとみて くださるということです。
そして、右側の人には、最も小さな者にまでしっかりと愛を向けてくれた、よ くやった。神様の祝福が豊かだぞと褒めてくださいます。けれど、左の人たちに
は、あなたたちは愛さなかった。それで、罰を受けよと言われます。
私たちはこの世にあって、褒められることは少ないのではないでしょうか。こ の世の冷たい風に当てられて、多くの人が委縮していませんか。イエス様から褒
めてもらえるなら、とても嬉しいことです。元気が湧いてきます。
私は、中部教区にいた頃、教区の障碍者問題委員会のメンバーになり、他の教 会の方々、障碍者の方々とも知り合いになりました。いろいろ学ばせてもらいま
した。障碍のために冷たい目で見られ、心ない言葉を聞かされるのです。自尊感 情が低くなります。
また、大阪教区では、犯罪被害者の家族の心のケアについて連続講義を受けま した。家族が殺人事件や死亡事故に遭ったという方々です。世の人から、因果応
報だと言われ、賠償金をもらうのかとやっかむ電話がかかってきたり、凶悪犯人 が仕返しをしにやって来るのではないか、恐れながら日々生きていかねばなり
ません。自尊感情は低くなっています。私たちの社会には、こういう人たちがい ることを思い、いつも見えていないことを思いました。この人たちにとって、人
を正しく評価してくれる人は、かけがえのない人です。
人を褒めることは、簡単ではないです。自分のことばかりを思っていると褒め るべきことは見えない。人の良くないところばかりが目に付くものです。一人ひ
とりを尊び、ありのままを見ることができるイエス様が、人を褒めることができ るのです。
「エッサイの株からひとつの芽が萌えいで/その根からひとつの若枝が育ち その上に主の霊がとどまる。」「目に見えるところによって裁きを行わず/耳に
するところによって弁護することはない。 弱い人のために正当な裁きを行い/ 2 この地の貧しい人を公平に弁護する。」(イザヤ書11:1-2)
イエス様は、羊と山羊をより分けるように、一人ひとりをしっかりと見てくだ さいます。そのことが、ここにも書かれています。「目に見えるところによって
裁きを行わず/耳にするところによって弁護することはない。」人の目に見える こと、人の耳に聞こえることは限られている。見えないこと、聞こえないことを
言い張っても嘘だと言われる。証拠を出せと言われる。そういうことで正しく評 価されないで辛い目に遭っている人がいるのではないでしょうか。
イエス様は、「最も小さい者の一人にしたことは、わたしにしてくれたことな のである。」と言われます。「最も小さい者」とは、人から愛を受けても、お返し
するものを何も持たない人のことです。この社会の中で生きる力を持たない人 です。そして、多くの人には見えていない人、人の目には隠されている人です。
その人たちの叫び声は、聞こえないのです。
私たちの中の限られた人が見ている、そしてイエス様も見ている。その人を愛 する人たちが、よくやったと褒められています。あなたがたは人を愛したのだ。
神のみこころを行ったのだと褒められ労われています。
イエス様に褒めてもらった人たちは、自分のしたことを忘れています。人を愛 して、何の手柄でもないのです。なすべきことをしただけだと思っているのでし
ょう。イエス様は、本人が気づいていないことまで見ていてくださるのです。愛 する姿を見ていてくださいます。
この箇所で、イエス様は「王様」と呼ばれています。終末にこの世が神の国に なる。神の国の王様がイエス様です。王様が、羊と山羊をより分けるようにして
裁きを行います。世の人々のために役立った人を褒め、世の人々に迷惑をかけた 人を叱ります。これが王様の役目なのです。良い王様なら、一人ひとりを正しく
評価して、その国の人々を平和にします。そのために王様がいるのです。
神様にとっては、人を愛した人こそ、評価され、認められるべきです。イエス 様は、私たちの歩みを知っておられます。よくやったと褒めてくださいます。一
人ひとりを認め慈しまれるイエス様の声を、いつも心の中で聞いてましょう。
人を正しく評価するには、一人の人のすべてを知っていなければできません。 本当に人を評価できる方は誰でしょう。真の平和をもたらす王様は誰でしょう。
クリスマスに真の平和をもたらす王様、神の子イエスがお生まれになります。 そして、今日の聖書の言葉の言うように、終末の日に、正しく羊と山羊をより分
けられます。その日を喜んで待ちましょう。
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