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イエス様のお生まれになった馬小屋に、東の国からやってきた博士たちが訪 れました。イエスにまみえる前に、ユダヤの支配者ヘロデ王のもとを訪れます。
祭司長や律法学者たちに調べさせると、旧約聖書のミカ書５章１節「ユダの地、 ベツレヘムよ、・・・・お前から指導者が現れ、／わたしの民イスラエルの牧者
となるからである。」という言葉を見出し、ベツレヘムへと向かいました。
旧約聖書には、このほかにも、メシア預言といって、救い主が現れるというこ とを予告した言葉があります。特に有名なのは、イザヤ書の７章、９章、１１章、 そしてエレミヤ書の２３章です。イザヤ書９章５節では、「ひとりのみどりごが わたしたちのために生まれた。・・・ダビデの王座とその王国に権威は増し／平 和は絶えることがない。」１１章では、「1 エッサイの株からひとつの芽が萌えい で／その根からひとつの若枝が育ち 2 その上に主の霊がとどまる。・・・」ダビ デの子孫から救い主が現れて、神の霊によって王様にふさわしい心と知恵を与 えられてユダヤを治め、正義と恵みの業を行うと言われています。
エレミヤ書２３章でも、「5 わたしはダビデのために正しい若枝を起こす。王 は治め、栄え／この国に正義と恵みの業を行う。」救い主が現れること、ダビデ の子孫であることを予告しています。
イエスがベツレヘムでお生まれになったことは、多くのユダヤの人々に、ベツ レヘムがダビデ王の故郷、出身地だということを思い出させます。イエスの父ヨ セフはダビデの家系の人だったので、イエス様はベツレヘムで生まれました。ダ ビデの子孫です。イエス様が宣教活動をされると、イエス様のことを「ダビデの 子」と呼ぶ人たちがいました。世の人は、イエス様がダビデの子孫であり、神様 の遣わされた救い主であるとみていたのです。
けれど、イエス様ご自身、ダビデの子であると呼ばれることに満足していませ ん。間違いではありませんが、十分ではないのです。ダビデの子、王様というイ
メージは、武力によって世の中を平和にするというイメージがあります。これは 誤解です。イエス様は武力で平和をもたらす救い主を期待する世の人々の誤解
を解こうとなさいます。
マタイ福音書には、救い主はダビデの子であるとなぜ言うのかと、イエス様が 詩編１１０編を引用して論じています。ダビデが自分の救い主を主と呼んでい
る。ダビデが自分の子孫を主と呼ぶことはないだろう、ならば、ダビデの子孫以 外に救い主がいることになると言うのです。つまり、救い主であるイエス様は、
ダビデの子だからというのではなくても救い主です。そして、イエスこそ、「主」 と呼ばれるべきなのです。「主」は、誰よりも尊く、すべてのものを支配する方
のことです。神の力によって救いをもたらす方です。イエスの弟子たちや、初め の教会の人たちは、イエス様の十字架に接し、復活に接してからは、イエス様を
「ダビデの子」とは呼ばなくなり、「主」と呼ぶようになりました。
フィリピ２章６節以下、「キリストは、神の身分でありながら、神と等しい者 であることに固執しようとは思わず、・・・へりくだって、死に至るまで、それ
も十字架の死に至るまで従順でした。このため、神はキリストを高く上げ、あら ゆる名にまさる名をお与えになりました。こうして、天上のもの、地上のもの、
地下のものがすべて、イエスの御名にひざまずき、すべての舌が、「イエス・キ リストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです。」
神のみ子が、その正体を隠してこの世を歩み抜かれました。馬小屋の飼い葉桶 に寝かせられました。この赤ん坊が、全てのものがひざまずく主なのです。全て
の知恵を授けられた博士たちは、この方の前に頭を垂れたのです。
イスカリオテのユダは、いつまでたってもイエスがダビデの子、王様のように、 武力をもって決起しないので裏切ったという説があります。ずーとイエスを分
からないままだったというのです。他の弟子たちも、似たり寄ったりだったでし ょう。しかし、イエスが復活してからは、主であるとわかったのです。
イエス様は、ご自身がどのように見られていても、ダビデの子だとみられてい ても、大きな誤解の中に置かれていても、見損なわれていても、人から憎まれて
も、その使命に邁進してくださいました。イエス様にとって、この世の私達が救 われることこそ大事なことだったからです。
この一年の人との出会いや関りがありました。イエスは、「わたしは世の終わ りまであなたがたと共にいる」と言われます。今年も来年もその次の年も。年の 終わりに、神様の愛と赦しをしっかりと受け取り、新しい年へと進みましょう。
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