日本キリスト教団

2021.08.08 説教ダイジェスト
礼拝説教要約 「蛇のように賢く」
マタイによる福音書10章16-23節
 イエス様は、ご自分の弟子として12人の人々を選ばれ、世の人々に福音を告 げる働きへと送り出されます。宿る所も決まっていない、いつどこに行くのかも 決まっていない、世の人々の善意に期待する放浪の旅です。

 伝道に派遣された弟子たちが、並々ならない厳しい状況の中に出かけていく ことになるということが告げられます。16節「わたしはあなたがたを遣わす。 それは、狼の群れの中に羊を送り込むようなものだ。」

  80年前に、日本は戦争一色になり、キリスト教は敵の国の宗教だと弾圧され ました。ホーリネス、きよめ派と呼ばれる教会が軍部に目をつけられ、他の教会 に対する見せしめのように苦しめられました。拷問を受けて死んだ牧師もいま す。このホーリネスの戦時下のことを記録した文章の中に、エフェソ書6:12 「わたしたちの戦いは、血肉を相手にするものではなく、悪の諸霊、悪の力を相 手にするもの」であるとあります。目の前の誰それを相手にしているのではない。 その人を操る悪の力こそが本当の戦いの相手なのです。だからこそ、この人たち は信仰の戦いとして捉え、神様と共に戦ったのです。

  しかし、こういう人ばかりではありません。ある教会の、ご高齢の信徒さんは、 戦争前からクリスチャン、あの時代のことは言わないでほしいと言われます。ど うしようもなかったのだからと。この世を神様から引き離し、神様をも滅ぼそう とする力、いわゆる悪の力が戦争を始めるのです。土のちりの塊である人間なん かが太刀打ちできないほど大きな強い力だと思います。

  10:16 「わたしはあなたがたを遣わす。それは、狼の群れに羊を送り込むよう なものだ。だから、蛇のように賢く、鳩のように素直になりなさい。」悪こそが 私たちの本物の敵だということをわきまえていること、これが私たちが「蛇のよ うに賢い」ということです。数週間前に横浜で家に飼われていた蛇が逃げ出し、 警察が大捜索をしました。しかし、もともと飼われて家の屋根裏に隠れているの が発見された。蛇は賢いと思いました。軽はずみに遠くに逃げないで家にいる。 自らの生きていくために、とても冷静に状況を判断して賢いのだと思います。 「蛇のように賢く」、冷静な状況判断の勧めです。

  そして、「鳩のように素直に。」伝書鳩のように必ず飼い主にもとに帰ってくる 2 正直な姿を言うのでしょう。よそ見しないで、二心なし、ただ神様に顔を向けて いる姿。神様に嘘偽りなく、自分の心に嘘偽りなく、思う所を確信をもってなす。 弁解しないでよいようにまっすぐ正直に生きる。それぞれの答えが正しいかど うかという前に、イエスはこのような歩み方をすることを私たちに期待してお られるのです。

 「17 あなたがたは地方法院に引き渡され、会堂で鞭打たれる。」なんと恐ろし いことでしょうか。けれど、イエス様はいいます。「19 引き渡されたときは、何 をどう言おうかと心配してはならない。そのときには、言うべきことは教えられ る。20 実は、話すのはあなたがたではなく、あなたがたの中で語ってくださる、 父の霊である。」イエス様は、捕えられても心配するな。神の霊があなたを導く と言われます。あなたは一人ではない。

  さらに、「22 最後まで耐え忍ぶ者は救われる。」苦しみはとても負いきれない ように思われても、しかし終わりはある、希望はあるのです。

  そして、「23 一つの町で迫害されたときは、他の町へ逃げて行きなさい。」 イエス様、はっきりと言われます。「逃げなさい」です。一人で背負いきれない ことをしようとするな。一人で強大な悪に立ち向かおうとするな。無駄な戦いは やめろと。覚悟がないなら逃げろと。いじめ、パワハラを受ける人が、「逃げな さい」という言葉を聞くことができたらと思います。あなたの命が奪われるくら いなら、あなたの命が大切にされる道を選びましょうと言われます。「蛇のよう に賢く、鳩のように素直に。」今が死に時と思うなら、信仰の証の時だと思うな ら大いに死になさい。しかし、反対に逃げたとしても、神の前に嘘偽りなくいら れるなら、それがあなたの答えだと言われるのです。

  死を選んでも、生きることを選んでも、どちらでもそのことによって周囲への 影響があったり、重荷を背負うことになったりすることでしょう。そこでは、自 分の選んだことに確信を持っているということが大事なことなのです。私たち の信仰によるなら、確認があるなら、私たちの選択を神様が喜んで共に担ってく ださると信じます。

   
 愛隣こども園
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