日本キリスト教団

2022.06.19 説教ダイジェスト
礼拝説教要約
「語り出す人」
使徒言行録4章23-31節
  イエスを見捨て裏切った弟子たちは、世の人の厳しい視線を恐れ弱腰だった が、聖霊降臨の日に聖霊に満たされると、大胆に語る人に変えられた。聖霊の 力の大きさを思わされる。

  その数日後、ペトロとヨハネが、神殿でイエスが救い主だと語っていると、 神殿の祭司やサドカイ派の人々が現れて、ペトロとヨハネを捕らえ裁判にかけ た。釈放される時、二度とイエスを救い主だと語らないようにと強く言い含め られ、脅され鞭うたれた。

  ペトロたちは、自分の仲間のもとに帰り、自分の身に起こった一部始終を話 した。すると、ペトロの話を聞いた仲間たちは、19節「神に従わないであな たがたに従うことが、神の前に正しいかどうか考えてください。私たちは見た こと聞いたことを話さないではいられないのです。」この一言によって火が付 いたかのように、全身からあふれ出す強い思いを込めて神に向かって祈った。 29節「主よ、今こそ彼らの脅しに目を留め、あなたの僕たちが、思い切って 大胆に御言葉を語ることができるようにしてください。」

  この人たちは、福音を語るなと言われたなら、もっと語らせてくださいと祈 るのです。神様のすばらしさを世の人に知らせることを、神様は何よりも喜ん でくださし、語るために力を与えてくださるのだと、ただ一心に信じているの です。目の前の権力者におもねらず、ただ神様にこそ従う。この一心なのです。 教会は聖霊に満たされて始まり、その最初の姿はこうだったのだと、思いを新 たにさせられます。

  昔、パウロが伝道の旅路にある時、イエスを救い主だと語っていると、口汚 くののしる人たちが現れた。しかし、神様は「恐れるな。語り続けよ。黙って いるな。10 わたしがあなたと共にいる。だから、あなたを襲って危害を加える 者はない。この町には、わたしの民が大勢いるからだ。」とパウロを励ましま した。「この町には、わたしの民が大勢いる」と語る前から言われるのです。 つまり、自分が働いて信じる人を生み出す、というのではない。信じる人を神 様は既に用意しておられるのです。私たちの働きは、神様が先立ってなさって いることを、後から追いかけて見つけていくこと、神様の既に備えておられる 恵みを探し出していくことです。神様は、天地の初めから天地を救う働きを始 めておられるのです。私たちは、そのことを確かめ、神様を讃え、感謝するの です。このように、「語らせてください」と神に祈る弟子たちは、自分たちに 視線を向けるのではなく、天を仰いで神様に視線を向けるのです。

  今日の日本で大方の宗教は右肩下がり。この先、キリスト教は続くのか。そ れで、私たちはどうかと私たちに視線を向けるのでしょうか。それも大切です。 しかし、弱く乏しく限りある私たちを見ることになれば、それは辛いことです。 もっと大切なのは、神様が先立ち既に何かをなさっていると信じることです。 弟子たちは、逆境の中に身を置いて、それでも尚、いや逆境だからこそ、神様 に目を向けたのです。

  24節「主よ、あなたは天と地と海と、そして、そこにあるすべてのものを 造られた方です。」神様は、天地創造の神、すべてを治めておられます。しか し、この世の歴史を振り返れば、このような偉大な神様に対して、いったいど れだけの人が、おごり高ぶり、神に敵対し、神を押しのけようとしたことだろ うか。ここで、世の王様の愚かさを指摘する詩編2編が引用されています。

  弟子たちは、神のみ心こそが最後になるのだ。すべてを造られた方のみ心こ そ実現するのだ。神様の救いはイエスによって実現するのだ。そのイエスを信 じる私たちは神の僕である。だから、神は私たちを顧み、神のみ心を語る言葉 を語り続けさせてく出さるのだという確信をもって、神に祈るのです。

  英語で「権威者」のことを「オーソリティー」と言います。その語源は、オ ーサー、作者です。つまり、作った人が権威者です。すべてを分かっていて、 作品が壊れれば直すこともできる。神様は天地の作り主、だからこの天地の権 威者であり、すべてを分かっている方、天地を救う力のある方です。天地一切 の作者、神様こそ権威者として尊ぶのが、イエスを救い主と信じる人々、弟子 達であり、そして私たちです。この人々に聖霊が注がれます。それで、神様こ そが私たちの何よりも固くしっかりした土台です。



   
 愛隣こども園
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