日本キリスト教団

2022.08.14 
説教ダイジェスト
礼拝説教要約
「正義を行う」
創世記18章20-28節
  アブラハムのもとに神の使いが現れ、今からソドムとゴモラに行って、どれ ほど罪深いかを確かめに行く、町を滅ぼしに行くのだと告げました。アブラハ ムの甥のロトが、そのソドムに住んでいました。どうにかして甥のロトを助け ようとアブラハムは神の使いにとりなすのです。

  ソドムの町の人々の多くが罪深いとしても、もし50人でも正しい人がいた としても、神様はソドムの町を滅ぼされるのですかと問いかけています。神の 使いは、正しい人が50人いたなら、その人たちに免じて、ソドムを滅ぼさな いと答えました。

  さらに、50人ではなく、5人少なく、正しい人が45人だったら、どうす るのか。この後、40人、30人、20人、10人と、だんだん人数を減らし ていって、神様は10人の正しい人がいたなら、それでもソドムを滅ぼすのか と問います。神の使いは、その10人に免じて、滅ぼすようなことはしないと 答えました。

  この箇所では、神様は悪い人、神様に従わない人を滅ぼすとしても、正しい 人も一緒に滅ぼすようなことをなさらないということが明らかになりました。 たとえ一人でも正しい人がいるなら、悪人も善人もすべての人を滅ぼしてしま うことはできない、それは正義を行うことではないのです。ですから、神を尊 ばない人のことを、神様は忍耐されるのです。正しい人、神様を尊ぶ人の存在 はいかに大きいものかということを思わされます。

  紀元前8世紀、アッシリア帝国は北イスラエル王国を滅ぼしました。多くの 人々が各地へ連行されました。もうすっかり人々はいなくなり滅びてしまった のかと暗澹たる思いでいるところに、預言者イザヤは神様の御心をわきまえる わずかな人々、数少ない人々が、一度は滅んでしまったユダヤの国を新しく作 り上げていくのだと語りました。「イスラエルの残りの者・・・は、再び自分 たちを撃った敵に頼ることなく、イスラエルの聖なる方、主に真実をもって頼 る。・・残りの者が帰って来る。」(イザヤ書10:20)たとえ数はわずかで2 も、信仰を抱く人々によってイスラエルは再び息を吹き返すのだと言うのです。 神様は、ほんのわずかな人々であっても神を尊ぶ人、神のみ心を表そうとする 人を特別な思いをもって顧みてくださるのです。

 神様にとって、大勢の正しくない人を滅ぼすことよりも、それ以上に、正し い人がわずかでもいることに意義があるのです。そのことが希望に満ちたこと なのです。私たち人間の心得の悪いことや罪を問い詰めることよりも、神を尊 ぶ思いを持っていることが、神様には尊く大切ことなのです。

  皆さんは、神様の希望のしるしです。神様を尊ぶ思いを抱く人は、神様がこ の世の人々を救い平和に導くための希望のしるしです。イエス様は、「あなた がたは地の塩、世の光である」(マタイ5:13-14)と言われ、励まして くださいました。

  「働きアリの法則」というのがあります。アリの集団を研究する人がある法 則を見つけ出したのです。一つのアリの巣の中の集団で、働き者のグループの アリの数は、その集団の2割。そして、働き者の真反対、いつまでも働かない ままで居続ける不心得者のグループ、それは集団の2割。残りの6割は、どち らでもない中間層。ですから、わずか2割のアリたちが一生懸命に働いて、残 りの8割のアリに餌を運んでいるのです。2割の働き者のお陰で、その集団は 成り立っています。このことは、アリだけでなく、人間の集団、社会において 当てはまることだと言われています。

  そして、ある集団の働き者の2割のグループをその集団から取り除くと、残 されたアリたちの中の、そのまた2割が新たに働き者になるのです。どんな集 団においても、2割のアリたちは必ず働き者になるのです。わずかこの2割が、 アリたちが集団を成り立たせるのです。たった2割が希望の星です。

  真面目に一生懸命に働く人たち、心ある人たち、神様を尊ぶ人たちは、この 社会の中で大勢いなくても、ほんのわずかな人であっても、その人たちのお陰 で、今、この社会が成り立っています。その人たちのお陰で、生きていられる んだと感謝します。神の御子イエス様は、世界中の一番の正しい人でした。こ のたった一人の人が、この世界の希望です。罪人の希望です。



   
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