今日のイザヤ書４６章の言葉は、イスラエルの人々がバビロン帝国との戦い に敗れて、多くの人がバビロンに連行されて、バビロンの国の宗教の真っただ 中に身を置くことになったことを基に語られています。

　 イスラエルの人々はバビロンに連れていかれて、そこでバビロンの宗教のい ろんな礼拝や儀式や行列を見ることになりましたが、その壮大さと、華やかさ に目を奪われていたと言います。戦争に負けて捕囚の身となり肩身の狭い人々 にとって、バビロンの宗教、神様たちは、自分たちに覆いかぶさるような、と ても太刀打ちできない大きなものだったのです。

　 しかし、この４６章では、その神様たちが厄介者になる時が来たというので す。ついにバビロン帝国がペルシャとの戦争に負けて崩壊する時がきました。 敵が攻めてくるまでに、神殿の神様の像を安全な場所に運ばなければならなく なりました。偶像はとても大きくて重かったのでしょう、力の強い牛や馬もへ こたれてしまうくらい、大変なことになったのです。戦争をしている最中に、 神様の像を運び出すということは、とても厄介な存在だということにならない でしょうか。そもそも偶像なんかを作るから、厄介なことになるのです。偶像 を作り拝むことの愚かしさを皮肉一杯に批判しています。

　 「ベルはかがみ込み、ネボは倒れ伏す。彼らの像は獣や家畜に負わされ／お 前たちの担いでいたものは重荷となって／疲れた動物に負わされる。」戦争を して人々が苦しんでいるのに、まったく人を救う力もなく、かえって人々に迷 惑をかけている。預言者イザヤは、こういうことだから、バビロンの神様は神 様ではなかったのだと語ります。そして、このような偶像に頼らない私たちは、 本物の神様に頼りましょう。イスラエルの神、真の神は、偶像のような役立た ずではなく、必ずあなたを救うことができる。目には見えない神さまが、あな たに平和をもたらしてくださる。救いをもたらしてくださるとイスラエルの 人々に呼びかけています。

　３，４節「あなたたちは生まれた時から負われ／胎を出た時から担われてき た。 4 同じように、わたしはあなたたちの老いる日まで／白髪になるまで、背 2 負って行こう。わたしはあなたたちを造った。わたしが担い、背負い、救い出 す。」神様があなたをお造りになり、どれほど愛し慈しんでおられることでし ょう。神様があなたを造り、あなたの命を守り養い、そして救いに導いてくだ さいます。老いる日まで、白髪になるまで、救いの日まで、すっと神様があな たを担い、背負ってくださる。救いに導いてくださいます。

　 パウロはコリントの信徒への手紙の中で、自分の歩んできたん道を振り返っ て１５章「9 わたしは、神の教会を迫害したのですから、使徒たちの中でもい ちばん小さな者であり、使徒と呼ばれる値打ちのない者です。10 神の恵みによ って今日のわたしがあるのです。そして、わたしに与えられた神の恵みは無駄 にならず、わたしは他のすべての使徒よりずっと多く働きました。しかし、働 いたのは、実はわたしではなく、わたしと共にある神の恵みなのです。」と言 っています。これは福音伝道のために苦しみながら働いたパウロに限らず、神 様を信じる私たちの、皆さんの抱いている思いではないでしょうか。

　今日のイザヤ書４６章では、偶像礼拝、偶像を作ることの愚かしさというこ とが語られています。目には見えない誠の神こそが神だと信じ、真の救いに与 ろうとイザヤは呼びかけています。私たちは、偶像を大切にしていないでしょ うか。偶像といっても神様の姿のことではありません。救う力がないのに救う 力があると錯覚して、私たちが後生大事にしている物のことです。

　 もちろん、人が生きていくのは、目に見えるものや本当には救う力にならな いものでも、そういうものに助けられなければ私たちは生きていけません。私 たちが大切にしている物、地位や名誉やお金や健康、いろんなものが私たちを 歩みを助けてくれていると思います。しかし、どんなものに頼ろうとも、救い はただ信仰によるのです。この世の一切が消え失せても、消えてなくならない ものがある。このことは肝に銘じるべきです。あるいは、バビロンの偶像のよ うに、後生大事にしていたものが、日が経ち時が経ち、いつしか厄介者になる、 足手まといなものになることはないでしょうか。

　 目に見えない神様こそが、私たちが生きていること、私たちの一番大事なも のを守り救う力を持っておられることを信じていきましょう。いつまでも慈し み豊かな神様と共に平安な歩みをなしていきましょう。