出エジプトの後、神から遣わされた指導者モーセがシナイ山で十戒を授かり、 シナイ山の麓に集まった民の代表たちは、「私たちは、これから、この十戒を
守ります」と約束しました。神と神の民とが、契約を結びました。そのとき、 モーセを通して神が神の民に語り掛けました。
「6 あなたの神、主は地の面にいるすべての民の中からあなたを選び、御自 分の宝の民とされた。7 主が心引かれてあなたたちを選ばれたのは、あなたた
ちが他のどの民よりも数が多かったからではない。あなたたちは他のどの民よ りも貧弱であった。8 ただ、あなたに対する主の愛のゆえに、あなたたちの先
祖に誓われた誓いを守られたゆえに、主は力ある御手をもってあなたたちを導 き出し・・・」(申命記7章)
神は、イスラエルの民は「他のどの民よりも貧弱であった」と言っています。 神は、「貧弱な民」を愛されました。エジプトで奴隷にされ、王様や上に立つ
人の言いなりになり、命の保証もなく生きている。このようなイスラエルの 人々を神様は顧みられました。
神は、指導者となるモーセに語られました。7節「わたしは、エジプトにい るわたしの民の苦しみをつぶさに見、追い使う者のゆえに叫ぶ彼らの叫び声を
聞き、その痛みを知った。」
イスラエルの民は、奴隷とされて苦しみ、助けを求めて泣き叫んでいたので す。まさに貧弱だったのです。この貧弱な民に神様は慈しみの眼差しを注がれ
ました。
誰かが、神様にイスラエルの民が苦しんでいるから助けてやってほしいと頼 んだのではなりません。モーセと出会った時、既に神様は助け出すことを決め
ておられました。クリスマスを迎えようとしています。救い主イエス様のお生 まれを想い起しています。あの時も、救い主イエス様をくださいと誰からも頼
まれたのではないのに、神様は救い主を与えてくださいました。神様の一存に よって、この世界に救い主は現れたのです。
神様はこの世界の救いのために、一人の人、イエスをこの世界に遣わされま 2 した。同じように。神様はエジプトで苦しむ人々を助け出そうと決心されまし
た。そのために、一人の人、指導者モーセを遣わされました。人の目に見えな い神さまの御心、救いの決心、イスラエルの民に対する慈しみをモーセが人々
に見えるように示すのです。
モーセは心頑ななエジプトの王様に何度の掛け合い、なかなか承知しない王 様に対して神のみ心を示しました。モーセはこの世の罪や欲望を相手にして、
世の人にこの世の罪欲望に囚われている人々を神様は救い出されるのだという ことを示しました。
逆のことを言うなら、神の民は、自分たちが救われるために、誰が何をした のか、何と戦ったのかを知るべきです。人の目に見える出来事として、歴史の
事実としてこのことを覚え続けるのです。神様が助けてくれたのだと、イスラ エルの人々は今日に至るまでずっと語り伝え続けています。
神様はこの世を救いに導きために、人を遣わされます。神様は、神様のため に働く人を必要としています。たくさんの預言者が働きました。世の人々の無
理解に苦しめられました。イエス様も、そしてイエス様の弟子たちも、神様に 選ばれた人々は、一生懸命に神様のために働きました。
ナザレの村の一人の娘、幼いマリアに天使は告げました。あなたは救い主の 母親になる。あなたが必要なおだと。イエスの父親になるヨセフに、神様は夢
の中で言われました。妻マリアを迎え入れなさい。あなたの決心が必要なのだ と。ある高い山の上で、イエス様の姿が真っ白に神の栄光に輝きました。そし
て、神様はイエス様が十字架へと歩みを進めることを神のみ心と示されました。 神様は「あなたが必要なのだ」とこの世界の人々に呼びかけています。
「今、行きなさい」とモーセは神様に促されました。貧弱なイスラエルの民 に対する神の愛が、今、燃え上がっています。今、この時、神の愛が最も激し
く燃え上がっています。だから、モーセは、今、行くのです。神様のために選 び出されたモーセの背後には、神の愛があるのです。神の決意と愛を受け止め、
モーセは神様からの使命を受け容れました。私達も、世の人々に神の愛が必要 だと思う時、神の愛を求める思いが与えられます。共に生きる人々に神の愛を、
平和をもたらすものでありたいと思います。
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