今日の聖書の箇所は、ダビデがイスラエルの長老たちに、自分たちの王様だ と認めるので、王様になってくださいと言いわれて王様になった場面です。旧
約聖書では、油を注ぐということをして、王様や預言者を任命しました。神様 がこの人を特別な役割のために選んだということを示す儀式でした。
今日の聖書の箇所では、イスラエルの長老によってダビデに油が注がれまし た。イスラエルの長老たちは、ダビデに対してこう言っています。2節「主は
あなたに仰せになりました。『わが民イスラエルを牧するのはあなただ。あな たがイスラエルの指導者となる』と。」この神様の意志をイスラエルの人々が
尊重して、ダビデは王様になりました。
ダビデは今日の箇所ではすでにユダ族の王様になっていました。すでに2章 で、ユダの町ヘブロンというところでユダ族の王様に即していまして、それか
ら今日の5章で10部族の王様になり、これで12部族すべての王様になった のです。ですから、今日の箇所は、ダビデがイスラエルの全ての部族の王様に
なった、国を統一して治める王様になったという場面なのです。4節5節の言 葉は、このことを説明しています。
ダビデが神の民12部族の王様に即位しました。ダビデは神様に選ばれた王 様として、何をするのでしょうか。もちろん、神様のみ心にそって国を治める
こと、神様のみ心をこの世界に表すことが使命です。具体的に言うと、まず宿 敵ペリシテ人たちの敵意から自分の国を守るのです。ダビデはまだ幼い少年だ
ったころ、ペリシテ人の大男ゴリアトを倒しました。とても勇ましい逸話があ ります。王様になったダビデは、敵から国を守ることが期待されました。
そして、ダビデの存在する大きな意義は、神の民がここにあるということを、 国の内外に示すのです。つまり、ダビデの家系は永遠の滅びることはない。ダ
ビデを王様に担ぐ民は、決して滅びることはない。このことを確かなことにす ることが重要でした。7章で、神様はダビデに約束されました。「あなたがど
こに行こうとも、わたしは共にいて、あなたの行く手から敵をことごとく断ち、 2 地上の大いなる者に並ぶ名声を与えよう。・・・敵をわたしがすべて退けて、
あなたに安らぎを与える。・・・ あなたの家、あなたの王国は、あなたの行く 手にとこしえに続き、あなたの王座はとこしえに堅く据えられる。」神様が約
束したことは、とどのつまり、武力で敵を追い払うことです。旧約聖書には、 この通り、ダビデは敵を追い払い、さらに領土を広げたと記されています。
しかし、イスラエルの歴史を振り返ると、平和に過ごすことができたのはダ ビデの時代、ソロモンの時代だけで、その後、イスラエルは二つの国に分裂し、
外敵から襲われ、とても不安定な時代を迎えます。ダビデの即位から300年 にダビデを王様にしたイスラエルの部族は滅ぼされました。残されたユダ王国
の人々は、アッシリアの圧迫を受けつつ、明日は自分たちも滅ぼされてしまう のではないか、という時代でした。
このような時代に、武力に頼るから平和が奪われるのだと訴える人々がいま した。武力に頼るから苦しむのだと。イザヤ書11章です。「1 エッサイの株か
らひとつの芽が萌えいで/その根からひとつの若枝が育ち 2 その上に主の霊が とどまる。・・・4 弱い人のために正当な裁きを行い/この地の貧しい人を公平
に弁護する。・・・6 狼は小羊と共に宿り/豹は子山羊と共に伏す。子牛は若獅 子と共に育ち/小さい子供がそれらを導く」
武力ではなく、王様の力によるのではなく、神様の愛と力によって、この世 界中が平和になると予言しています。ダビデの名による大木は切り倒される。
そして、エッサイ(ダビデの父)の根から若枝が生え出る、つまり、神様の平 和をこの世にもたらす新しい王様、新しい王の家系が生み出されることを期待
するというのです。新しい王には武力によらないで、真の平和をもたらす力、 神様の働きを世に表すことが求められるのです。
イスラエルの歩みを振り返れば、現実の厳しい世界の動きの中で、神様の御 心を尊ぶ思いをどのように保っていくのか、現実の世界に身を置いて信仰をも
って生きようとする悩み苦しみの歩みでした。
そして、ついに神の御子イエス様が与えられて、私たちに真の平和の王が与 えられました。神の御子を喜び迎え、心から期待していきましょう。
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