童  話

 
昼間に出てきたお月さま

                                                  

みなさんは昼間の空にうっすらと顔をのぞかせているお月さまをみたことがあるでしょうか。まだみ
たことがない人もきっといつか見ることができると思います。
これは昼間に顔をのぞかせている時のお月さまのお話です。


 朝になるとお日さまが出てきて、暗かった世界を何でもはっきり見えるように明るく照らしてくれま
す。寒い冬などはポカポカと暖かくしてくれます。木や草の葉っぱは日の光を受けて大切な栄養を
作り出します。動物も人間もお日さまの光がなければ生きていくことはできません。だから皆はお
日さまと一緒に起きだして動き始めます。みんなお日さまのことを本当にありがたく思っています。
 ところで夜に出てくるお月さまはどうでしょうか。夕方になるとみな家に帰り始め、お月さまが顔を
出すころには外にいる人はあまり多くはありません。しかもお月さまのことを気にしてくれる人もあ
まり多くありません。

 あるときお月さまは思いました。「あーあ、お日さまは良いな。いつもみんなの見ているところで、
みんなの役に立って、しかもみんなにありがたく思われて。ぼくなんか誰もほとんど気づいてくれな
い夜に出てきて、いっしょうけんめい明るく照らしても誰もありがとうと言ってくれないし、ほめてもく
れない」「ぼくだってたまには昼間にみんなのいるところに出て行きたいものだ。そしてお日さまの
ようにみんなを照らしてあげて、ぼくだってみんなにほめられたり、感謝されたいよ」
                                        
それでお月さまは、お日さまやお星さまたちに相談をしてみました。「ぼくはもう誰も気づいてくれな
い夜にばかり出ているのはいやになってしまった。ぼくもたまにはお日さまのように昼間に出てみ
んなに気づかれたいし、よろこばれたいよう」それを聞いたお日さまや、お星さまたちはびっくり。
「そんなことをしてはいけない」と止めました。だってお月さまが出るのは昔から夜と決まっている
からです。ところが、考えれば考えるほどお月さまの望みは強くなる一方です。

お日さまやお星さまたちが止めるにもかかわらず、とうとうある日の昼間にお空の片すみに顔を出
してしまいました。「やった、やった。ついに昼間のお空に出てきたぞ。きっとみんながお日さまの
ようにぼくにも気づいて感謝してくれることだろう。」とそう思いました。ところがお日さまの光があま
りにも明るすぎてほとんどの人はお月さまが出ていることにさえ気づきません。お月さまは悲しくな
りました。                  


でもそのときです。小さな子供がふと空を見上げて、うっすらと顔を出しているお月さまに気づいて
くれたのです。「あれ、昼間なのにお月さまが出ている」と言って叫びました。そして一緒にいる友
達みんなにも教えてあげたのです。みんなが、わいわいがやがやとお月さまのことで、さわいでい
たので、近くにいる大人たちも気づいて空を見あげ、みんなでお月さまを珍しそうにながめたので
す。いつもは夜にならないと出てこないお月さま。そのお月さまが昼間に顔を出しているのですか
ら気づいた人たちはびっくりしました。お月さまは望んでいたとおり昼間に顔を出すことができてう
れしかったのですが、昼間のあまりの明るさに、うっすらとしか見えない自分にはがっかりしていま
した。でもそんな自分にやっと気づいてくれる人たちがいて、みんなでとても珍しくて大切なものを
見るように眺めていてくれたので、とてもうれしくなりました。そして「いつまでも昼間のお空に出て
いたいなあ」と思いました。
                                                    
昼間のお空に、あんまりゆっくりしすぎたので、その日は夜のお空に出て行くのが遅れてしまいま
した。お月さまの出ていない夜のお空は真っ暗でした。夜道を散歩している人たちや、夜お外で仕
事をしている人たちは、つぶやき始めました。「お月さまはいったいどうしたんだろう。お月さまが
出てこないと夜の道は暗くて危なくて仕方がない」その言葉を聴いたお月さまはあわてて出て行き
ました。「ぼくは今まで気がつかなかったけど、ぼくだって役に立っているし、ぼくを必要としている
人たち、ぼくがいないと困る人たちもいるのだ。ぼくの光はお日さまのように明るい光じゃないけ
ど、暗い夜にはぼくの光りがひつようなんだ」そう思うとお月さまはとてもうれしくなってきました。
                                                   
「そうだぼくはお日さまのことを考えると、うらやましくて仕方なかったけど、ぼくにはぼくにしかでき
ない大切な役目があるんだ」「もし夜なのにお日さまが出てきたら、みんな明るすぎて眠るのに困
ってしまうだろう」「夜はお日さまのように明るい光じゃなくて、やわらかいぼくの光のほうが向いて
いるんだ」ということに気がついたお月さまは、それまでと違ってきました。たとえ誰も見ていてくれ
ないと思われるようなときでも、もう気にせずに、夜のお空を、だまって静かに照らすようになった
のです。
                                                 
誰かが気づいても気づかなくても、ほめられても、ほめられなくても、たとえ文句を言われたとして
も、自分には、自分でさえも気づいていない大切さがあることがわかったからです。でも時々その
ことに気づいた、あの時の感動を思い出したくなると、昼間のお空に、そっと顔を出すときがある
のです。

もしあなたが昼間のお空に出ているお月さまに気づいたら、誰に気づかれなくても自分の役目の
大切さに気づいていっしょうけんめいに輝いているお月さまの大切さを思い出してください。

そして私たちもみな同じように、たとえ誰かが気づいてくれなくても、またほめてくれる人がいなか
ったとしても、あるいは、ひどいことを言ってあなたを傷つけるような人がいたとしても、あなた自身
でさえ気づいていない大切さが、一人一人みんなにあるということを思い出してください。きっとお
月さまもお空から、あなたのことを応援していることでしょう。

ホーム
集会案内
教会地図
教会案内
体験談
韓国語教室
英会話教室
介護関連
童  話
googleカレンダー

リンク
信仰関連
お役立ち
パソコン関連
ブログ