イスラエル最新情報・ 2006年1月17日

<最新情報から順番に掲載します>


イスラエル・パレスティナ問題レポ−ト
(2000年1月11日)

どうぞご訪問ください。イスラエルに関心のある方のベストリンクです。

「シオンとの架け橋」 http://www.zion-jpn.or.jp/
   シオンとの架け橋
「ブリッジス・フォ−・ピ−ス」 http://www.bfpj.net/ ブリッジスフォ−ピ−ス

2006年度

134 シャロン首相 倒れる

シャロン首相はほぼ自力で呼吸し、刺激に反応していると医師団が発表。現時点ではまだ麻酔が残っており、機能が回復するかどうかを判定するまでには、かなり時間がかかる見込み。(P,H,I)シャロン首相が目を開けたとの報が流れたが、実際にはまぶたを動かしただけで意識は回復していないと病院が発表。首相の容体は安定しているが、依然として危険な状態であると説明した。(1月17日)


133 シャロン首相 倒れる

2006年1月5日、シャロン首相が昨夜大規模な脳出血を起こし緊急入院。首相は脳に血栓が出来る発作を起こして以来、血液凝固を防ぐ薬剤の投与を受けていたため、出血しやすい状態になっていたと見られる。首相に全身麻酔を行うことになったため、法の規定によりオルマート副首相が首相代行になった。首相が死亡した場合でも、3月28日の総選挙まで同氏が政権を担当する可能性が高い。

ブッシュ大統領ら各国の指導者がシャロン首相の回復を祈るメッセー ジ。アラブ世界では和平の後退を懸念する声が出ているが、ハマスは 「神の賜物」だとシャロン首相の重病を喜ぶ声明を出した。多くの自治政府高官は、シャロン首相の病気で和平が停滞することに懸念を表明。しかし、首相の病気を歓迎する声も多く、自治区の各地ではお菓子を配って祝う光景が見られた。

チーフラビが首相の回復を祈るよう国民に呼びかけ。しかし右派ラビは回復を祈ることに反対。エルサレムの右派女子高ベイト・シュラミットでは、首相の回復を祈らないように生徒を指導した。米国の福音派指導者パット・ロバートソン師が、シャロン首相の急病 は領土的譲歩に対する神の警告だと発言。(2006年1月5日)


133 ガザ撤退の状況

8月8日に発表された社会保険の統計で、貧困が全家庭の20%に達したことが判明。子供の3分の1は貧困家庭の子となっている。
8月7日にネタニヤフ蔵相が「一方的分離は危険」だとの理由で辞任を表明。シャロン首相は「一方的分離には支障は無いと語り、予定通りにガザ撤退を行う考えを示した。国防軍がガザなどの入植者に対して撤退の手順を説明する書簡を送付。8月17日まで居残ると莫大な経済的利益を失うとの説明に入植者らは「脅迫だ」と反発している。


132 アッバス議長声明

ファタハとハマスが記者会見で停戦を発表。しかし両者の対立は深く、また紛争が再燃する可能性もある。自治政府のダーラン氏が「ハマスはクーデターで自治政府を倒そうと している」と非難。自治政府がハマスに勝てるように、イスラエルは
自治政府への支援を強化すべきだと語った。

国民の75%はガザ入植が間違いだったと見ていることが判明。しか し、入植者が悪く報道されているとの意見も過半数に達した。国防軍によると、13日のガザ封鎖以降に数百人の撤退反対派が封鎖を破ってガザ入植地に潜入したもよう。8000人のガザ住民に加え、1500人程度の右派勢力がいると見られる。右派の撤退反対デモの先鋭化を受け、政府内ではオルマート副首相や左翼政党などが撤退作戦の繰上実施を提言。しかし、首相はあくまで予定通りに実施する考えを示した。(7月22日)

来週月曜(7月25日)、フランスから2機のチャーター便で330人の移民が到着 の予定。フランスからのチャーター便による移民は初めて。


131 アッバス議長声明

訪米中のアッバス議長がABCのインタビューで「自爆テロの時代は終わった」と語った。しかし、和平交渉が成果を上げなければ、また暴力の応酬が始まると警告した。ガザのパレスチナ人10万家族に毎月100ドルの支援金を出す基金 の支給開始をペレス副首相が発表。この基金にはアラブ諸国やインドなど世界各国が協力している。(6月3日)


130 パウロ2世の逝去

ヨハネ・パウロ2世が84歳で逝去。教会がユダヤ人に犯した罪を謝罪し、ユダヤ教とキリスト教の間に和解の道を拓いた偉大な教皇の死に対し、政府は深い哀悼の意を表明した。(4月3日)

現在はイスラエルの人口の81%を占めるユダヤ人の人口が2025年には70%にまで低下するとの予想を中央統計局が発表。ユダヤ人よりもアラブ人の方が人口増加率が高いため。

ブッシュ大統領とシャロン首相の会談で、大規模入植地が最終的にイスラエル領になるとの見解をブッシュ大統領が再確認。しかし、現時点での入植地拡大には反対を表明した。シャロン首相がブッシュ大統領との会談で、自治政府の治安対策を批判したため、アッバス議長が反論。イスラエルが自治政府の治安維持に協力しないことが、治安悪化の原因だと語った。(4月12日)


129 停戦後の自爆テロ

2月27日、金曜深夜、テルアビブのクラブで自爆テロがあり4人が死亡。約50人が負傷した。大規模な自爆テロは停戦後初めて。レバノンのイスラム聖戦が、APに対して自爆テロの犯行声明を伝えた。しかし、自治区のイスラム聖戦は関与を否定。自治政府のアッバス議長は今までに無い激しい口調で自爆テロを非難。直ちに治安担当相に犯行グループ検挙を命じた。イスラエル政府は緊急閣議で対応を検討。犯行声明を出したイスラム聖戦を庇護するシリアと、パレスチナ自治政府に対する政治的圧力を高めることで対応し、大規模な軍事的報復は避ける構え。以前には「功名争い」をしていたテロ組織は揃って今回のテロへの関与を否定。外国勢力の犯行だとの見方を示した。また、自治区住民の間でもテロ「成功」を喜ぶ声は少なく、非難の声が高い。

ロンドンでイスラエルの代表団を交えずに行われたパレスチナ支援会 議が閉幕。英国のブレア首相は「2国家並立に向けての道筋は過去にも増して明らかになった」と語り、成功を強調した。(3月2日)


128 入植地撤退の動き

ブッシュ大統領がベルギーで演説。中東和平におけるEUとの連携を強化する方針を表明した。また、自治政府の改革を求めると同時に、イスラエルに対しても入植活動を中止するよう要請した。ワイスグラス官房長官が、入植者の大半が自主退去に応じるとの楽観的な見方を表明。入植者に対する移転補償は十分であり、入植者は政府に感謝するだろうと語った。閣議での入植地撤退決議を受け、入植者組合が対策会議。10万人規模の右派活動家を入植地に集めて抵抗することが検討された。警察が入植地撤退作戦の詳細を検討中。撤退作戦の数日前から入植地周辺に数千人の警官を配備して封鎖を行い、右派活動家の現地入りを阻止する方策が検討されている。

イスラエルは昨日、500人のパレスチナ人政治犯を釈放。従来の釈放とは違い、今回は刑期途中の政治犯が大半を占める。近日中に、さらに400人の政治犯が釈放される予定。(2月20日)


128 パレスティナ自治政府議長選挙結果

パレスチナ自治政府議長選挙は今日(1月9日)投票で、準備は順調に進んでいる。 アッバス氏の勝利は確実視されているが、焦点は投票率と得票率。アッバス氏が予想通り大勝。出口調査では7割近い得票率となり、2位のバルグティ氏の得票に大差をつけた。アッバス氏は開票結果の確定を待たずに勝利を宣言した。自治政府の関係者によると、投票率は全体で7割程度。しかし、政治に関わることを嫌う東エルサレムや、ガザの一部では投票率はかなり低く「どうせアッバスが勝つだけ」との冷めた見方も。シャロン首相やブッシュ大統領など世界各国の首脳がアッバス氏の勝利に祝賀メッセージ。アッバス氏は「殉教者アラファト議長の魂とパレスチナ人民にこの勝利を捧げる」と語った。

自治政府議長に当選したアッバス氏は、ゲリラ名の「アブ・マゼン」という呼称の使用を中止すべきだとの声。アラブ世界のメディアのほ か、ブッシュ大統領らもこの名前を使っている。日本の町村外務大臣がイスラエルとパレスチナ自治区を訪問。双方の首脳と会談し、和平への努力を呼びかける。自治政府は昨日、パレスチナ議会選挙を7月17日に行うと発表。パ
レスチナ議会選挙は長期間行われていなかったため、議員の高齢化が進んでいた。(05年1月14日)


128 2005年に向って

クリスマスイブには5千人、クリスマスには約1万5千人の観光客がベツレヘムを訪問。大きな混乱は無かった。来年はさらに観光客が増えると、地元の商店街は期待している。今年の帰還移民者数は21744人で昨年から13%の減少。米国からは20年間で最高を記録したが、アルゼンチンからは激減した。


127 平和のベツレヘムを

ベツレヘム観光の障害を取り除くためのイスラエルとパレスチナの観光担当者協議がエルサレムで開催。双方のガイドの乗り入れや、検問所の通過時間の短縮などが協議された。今年はベツレヘムの降誕教会でクリスマスの礼拝が捧げられる「平和の回復の年」となりますように。シャローム。

シャロン首相が「来年は和平の年」と宣言。双方が譲歩し、平和を達成すべきだとパレスチナに呼びかけた。しかし、自治政府のアッバス氏は難民帰還権などに関し従来の立場を繰り返した。年初から9月までに120万人の観光客がイスラエルを訪れたと、エズラ観光相が発表。前年同期に比べて52%の増加となった。(12月15日)


126 自治政府内の動向

EUが自治政府の選挙を財政的に支援し、監視団を送り込む考えを表明。イスラエル外務省も、前回1996年に行われた選挙と同様に国際監視団を受け入れる考えを示した。パレスチナ議会で、アッバス氏ら後継者が演説。イスラエルとの和平交渉においては難民帰還問題や領土問題に関して一切譲歩せず、アラファト議長の立場を継承することで一致した。
アラブ系メディアの行った調査で、アラブ人の74%がアラファト議長の後継にハマスを支持。ハマスはイスラエルとの共存を拒否しているため。アッバス体制を支持する意見は1%以下だった。

自治政府とイスラエル政府の観光相が共同で、世界のクリスチャンにクリスマス巡礼を呼びかけ。治安面で両者が協力することを確認した。同様の声明が出されるのは4年ぶり。(26日)


125 自治政府内の動向

自治政府は昨日、ファトウフ国会議長を暫定指導者に任命。アラファト議長の正式後継者が決定するまで政務を行う。PLO議長にはアッバス氏が就任した。金曜朝、カイロでアラファト議長の葬儀。遺体はラマラで混乱のうちに埋葬された。スーハ夫人と9歳の娘ザハワさんは、現地で暴行を受ける可能性が高いため、ラマラ行きを中止した。ファタハ、ハマス、イスラム聖戦など各派は、アラファト議長の死後はイスラエルに対する闘争をさらに激化するよう呼びかけるチラシを配布。国防軍はテロ情報の増加を受けて厳戒体制を取っている。(15日)


124 アラファット議長、死去

30年以上にわたりパレスチナ解放闘争を指揮してきたアラファト・パレスチナ自治政府議長が11日、悲願だった独立国家建設の夢を果たせぬまま、故郷から遠く離れたパリの病院で息を引き取った。イスラエルを脅かすゲリラの闘士として、また、国家建設に向け暫定自治を実現した政治家として、和戦両様の構えで国無きパレスチナ人を率いてきたアラファト氏の死去により、中東情勢の行方は歴史的転換点を迎えた。「私はまた戻ってくる。神のおぼしめしなら」。病状の急激な悪化で一時意識不明が伝えられたアラファト氏は10月29日、こんな言葉を残し、ほぼ3年間にわたり事実上の軟禁状態にあったヨルダン川西岸ラマラを離れ、仏政府の特別機などでパリへ移送された。パリ郊外のペルシー軍病院に入院したアラファト氏の病状はベールに包まれ、情報は錯綜(さくそう)した。病床にふした議長周辺の「迷走」は、解放闘争のシンボルが去った後のパレスチナ情勢を覆う不透明感を増幅させた。(毎日新聞 11月11日)


123 アラファット議長、フランスで手術

アラファト議長は軽い手術を伴う内視鏡検査を受けたが、経過は順調と発表。議長の病気は重く、倒れて意識を失ったとする噂を自治政府高官は全面的に否定した。しかし、20日午後、フランス政府の特別機でパリ郊外の病院に搬送された。2001年12月以来軟禁状態にあったラマラの議長府を3年ぶりに離れた。パリでの入院が長期化したばあい、事実上の独裁を誇った指導力の低下は避けられない状況で、パレスチナ解放闘争の黄金期を築いたアラファット時代は大きな節目を迎えた。


122 ガザ地区撤退

イスラエル国会は26日夜、占領地ガザ地区からの撤退計画について採決を行い、賛成67、反対45、棄権7の賛成多数で承認した。シナイ半島を1982年にエジプトを返還して以来の歴史的転換を迎える。撤退は来年中に完了する予定だが、実現には紆余曲折が予想される。(毎日新聞)


121 パウエル長官談話

パウエル国務長官が「無益なインティファーダはやめよ」とパレスチナに呼びかけ。4年間の戦闘でパレスチナ人が苦難を受けただけで何も達成できなかったと語った。13人の死者を出したアラブ系市民暴動から4周年。ガリラヤでの記念集会は、法律に従い行うことを指導者が申し合わせた。アラブ人の暴動の危険性が高まっているため、今日行われる神殿の丘での金曜礼拝は40歳以下を入場制限。(10月1日)


120 ブッシュ演説

国連本会議で演説したブッシュ大統領が、イスラエルに対して入植活動の凍結と違法入植拠点の撤去を要求。しかし、自治政府に対してもテロ組織との縁を切るように求めた。ニューヨークでカルテット(米国、国連、EU、ロシア)の会議。イスラエルに対しては防護壁の建設ルート見直しを要求し、パレスチナには実権ある首相の指導の下にテロとの決別を求めた。イスラエルとパレスチナを訪問した聖公会の代表団が「平和のため」 に、教団として反イスラエル的立場を鮮明にする考えを表明。(9月24日)


119 ガリラヤ湖の水位

ガリラヤ湖の水位は現在、海面下210.05m。雨季の前に水位を下げておくため、給水公社は汲み上げを加速している。数年続いた少雨の後、ここ2年続きの大雨で湖はほぼ満水となっている


118 アラファット議長の動向

自治政府のクレイ首相とアラファト議長の間で権限委譲の合意が成立 し、首相が辞表を撤回。なお、議長は以前にも同様の約束をしたが履行していない。アラファト議長はラマラの議長府前にファタハ幹部を集めて「パレスチナの土地はパレスチナ人のもの」と演説。混乱にもかかわらず権力を掌握していることを誇示した。(8月1日)

自治政府のアルラエス法相が辞任。汚職事件の摘発を恐れてアラファト議長が権限委譲に応じず、議長直轄の法律委員会を設置するなどしたため、法相は形だけの役職となっていた。パリで優雅に暮らすアラファト議長のスーハ夫人がEUの支援金を浪費しているとして非難が高まる中、夫人側近は夫人の優雅な暮らしについて「アラブ指導者の妻としては普通」だと説明した。(8月10日)


117 入植地問題

入植地撤去に反対するユダヤ人右派勢力が先鋭化し、危険な状態にな っているとシンベトのディヒター長官が警告。また、東エルサレムのアラブ人地区はテロの温床だと語った。モファズ国防相が入植地撤去は敵と戦うのではないから警察の仕事だとの見解を表明。一方、警察は入植者に対抗できる戦力は無いとして、 入植地撤退は軍の仕事だとの見解を示した。ガザで行われた世論調査で、イスラエル撤退後のエジプトの治安協力に対する賛成は50%余りで、賛否がほぼ拮抗。また、ハマスの支持率は35%で、ファタハの27%を大きく上回った。入植者らは政府の入植地撤去に対抗して「市民の反乱」を起こすことを計画中。武力闘争も辞さない構え。(7月7日)


117 分離政策

シャロン首相は一方的分離案についての妥協を拒否。反対派の2閣僚を解職した上で、強引に同案の閣議通過を図る構え。ブッシュ大統領が改めてシャロン首相の一方的分離案に支持を表明。日曜に行われるイスラエルの閣議に向け、ネタニヤフ氏ら反対派に圧力をかけるのが狙いと見られている。マアリブ紙とハアレツ紙の各世論調査で、一般人もリクード支持者も 共に、首相の一方的分離案を過半数が支持。また、ネタニヤフ氏の支持率は、シャロン首相の半分ほどしか無かった。(6月4日)


116 行程表議論

ブッシュ大統領が「行程表に従い2005年にパレスチナ国家を設立するのは非現実的」だと発言。自治政府関係者は「行程表を骨抜きにする発言」等と、相次いでブッシュ発言を非難した。米国のクリスチャンシオニスト団体が、パレスチナ国家設立に反対する投票を計画中。「イスラエルの地にイスラム独裁の暴力国家を設立することを定めた行程表は間違いだ」と実行責任者は語っている。(5月9日)


115 分離案否決

リクードの党員投票は、出口調査と部分的な開票結果から、6割近くの党員が反対投票を行ったことが判明。シャロン首相の大敗がほぼ確実となった。投票率も上がらず、4割程度だった。当初は党員の支持が過半数だった分離案が否決された理由は、莫大な経費をかけた広告作戦と、学童まで動員した戸別訪問など熱心な活動。投票当日に起こったテロも大差の要因となった。ニューヨークで明日からカルテット(米、ロシア、国連、EU)が中東和平に関する会議。一方的分離とロードマップをどう調和させるかが焦点となる。(5月3日)


114 ランティシ殺害

ヤシン師の後継者としてハマスの指導者となったランティシを、国防軍がミサイル攻撃で殺害。車に同乗の息子と護衛も死亡した。ランティシは一貫して和平を拒否し、テロを指揮して来た。ダマスカスにあるハマス本部は、直ちにランティシの後継者を選任し、殺害を防ぐため氏名を公表しないようにと指示。ハニエやザハルなど 数名のうちから後継者が選ばれるもよう。アラファト議長は国防軍がランティシを殺害したことを激しく非難。しかし、強硬派のランティシは自治政府への協力を拒否していたため、殺害により自治政府が有利になるとの分析もある。ガザでは多くのハマス支持者がランティシ殺害に怒り、道路に出てデモ。イスラエルへの復讐を叫んだ。(4月18日)


113 資料

パレスチナ難民と同時に、アラブ諸国を追われたユダヤ人難民にも言 及するよう米国政府に求める決議案が、米国議会で提案。パレスチナ難民は73万人だったが、ユダヤ人難民は85万人いた。

112 ヤシン師暗殺

3月23日、国防軍がガザでハマスの霊的指導者ヤシン師と護衛など8名を殺害。ヤシン師はハマスの創設者で、イスラエルとの共存を否定。多くの自爆テロに宗教的な支持を与えてきた。アラファト議長はイスラエルの攻撃を激しく非難し、3日間の服喪を宣言。クレイ首相もイスラエルを非難する声明を出した。EU諸国はヤシン師殺害を相次いで非難。しかし、米国はイスラエルを一方的に非難することは避け、双方に自制を呼びかけた。労働党のペレス党首が、ヤシン師殺害は国益に反するとして首相を批判。シヌイやメレツなども作戦を非難するコメントを出した。ハマスのランティシ氏が、次期指導者への就任を宣言。同氏はヤシン師の副官であり、ヤシン師死亡により自動的に指導者になると主張しており、ハマス内部で大きな異論は出ていない。国防軍は以前にもランティシ氏の殺害を試みており、指導者に就任した後も殺害を目指す方針を表明。ランティシ氏もまた、シャロン首相らイスラエル指導者の殺傷を目指すと語った。(3月24日)


111 自治政府の動向

死後に神殿の丘への埋葬を希望しているアラファト議長に、回教徒の厳格な一派が反発。クリスチャンと結婚したような不信者に聖地に埋葬される資格は無いとするビラを配布した。辞任を表明した自治区ナブラスのシャカ市長が「治安の崩壊は占領とは無関係であり、自治政府の責任だ」と辞任の理由を説明した。自治警察組織を一本化することを条件に、自治警察を援助するとの方針を英国が表明。自治警察では組織間の抗争が激化している。自治政府がガザに新しく2つの自治警察組織を作ると発表。「無政府状態に陥るのを防ぐため」と自治政府関係者は説明した。(3月7日)


110 ガザ撤退案2

イスラエルのガザ撤退で、ハマスが勢力を拡大するのではないかと、米国政府高官が懸念を表明。しかし自治政府関係者は、イスラエルが撤退すればテロ組織が弱体化するとの見方を示した。モファズ国防相が、ガザ撤退後も基地を残す可能性に言及。将来のパレスチナとの交渉を有利に進めるため。ガザ撤退でテロ組織が「勝利」を宣言し、さらに攻撃が強化される可能性があると、国防軍の情報担当者が国会で証言。その後、国防軍は軍人がガザ撤退に関して発言することを禁じた。フランスの検察が、パリで豪華な暮らしをしているアラファト議長の妻の銀行口座を調査中。自治政府の公金や自治政府への支援金が流用された可能性が高い。(2月14日)


109 ガザ撤退案

国連のアナン事務総長が、シャロン首相のガザ撤退案を賞賛。クレイ首相ら自治政府幹部も撤退を歓迎する意向を表明した。シャロン首相のガザ撤退という「悪令」を阻止するため、今日は断食祈祷をせよと、入植地のラビが指令。断食できない者は詩編83編を読み、祈るよう呼びかけている。(P,H,7)米国のユダヤ人指導者がローマ法王を訪問。法王は反ユダヤ主義と宗教の名による暴力を非難すべきだと語った。ユダヤ人との和解を打ち出した宣言「ノストラ・アエターテ」から来年で40年。(2月6日)


108 ロ−ドマップ

自治政府のクレイ首相が「独立を断念」と発言したことを米国のパウエル国務長官が批判。ロードマップに基づくパレスチナ国家の設立以外に解決策は無いと強調した。(P,I,H)自治政府クレイ首相が内部批判を受け「独立断念」発言を撤回。一方、 PLO中央委員会は「防護壁建設を中止しないなら一方的に独立する」と宣言した。混乱の兆候だと識者は分析している。シャロン首相は西岸地区やガザを併合する可能性を否定。あくまで「 痛みを伴う譲歩」によりパレスチナ国家設立を目指すと語った。(1月12日)


自治政府が2004年度予算を作成中。自治政府予算の8%はアラファト議長に配分され、権力基盤を固めるために使われる。ロードマップは「実行不可能」だと元シンベト長官のハレヴィ氏。自治政府にはテロを抑える能力は無く、アラファト議長はパレスチナ国家設立を可能な限り引き延ばすだろうと予想した。ハマスのヤシン師が、ガザと西岸地区だけのパレスチナ国家で満足すると発言。ハマス幹部は「一時停戦」の意味であり、最終的にイスラエルを滅ぼす戦略に変わりは無いと説明した。イスラエルが和平を拒否するなら、パレスチナ人はイスラエル国民として同等の権利を求める戦略に転換すると、クレイ首相が脅迫。パレスチナ人は人口増加率が高く、いずれは多数派となる。昨年のテロ攻撃数は3,838件で、一昨年に比べ、28%の低下。死者数は213名で、半分以下に下がった。 (1月9日)


106 入植地問題 

リクードの党大会でシャロン首相が、最終合意での入植地放棄を明言。また、テロを止めるパレスチナ国家の設立を認めるべきだと語った。入植者らを中心に、聴衆からは激しいブーイング。アラファト議長が財政透明化に応じないため、自治政府のファイード蔵相がまた辞意を表明。給与の現金支給が不正と権力掌握の温床となっているため、蔵相は銀行振込への切替を要求中。EU諸国からの非難を受け、EUからの補助金を着服したパレスチナの人権保護団体の銀行口座を自治政府がやっと凍結。宗教政党シャスを含む様々な政党の議員が、クリスチャンとの関係改善を目指す超党派の議員会を設立。会合にはBFP、CFI、ICEJなどクリスチャン・シオニズム団体も出席する。(エルサレムポスト) 1月6日


105 2003年のクリスマス 

昨夜ベツレヘムでのクリスマスは、予算削減などで寂しい祝典。昨年とは違って、各国から少数の観光客も。ベツレヘムでは少数派のクリスチャンたちは、1日だけのクリスチャンの祝日を祝った。エルサレムにあるドイツ系カトリック教会のクリスマスミサに数百人 のイスラエルの若者が出席。中世建築と荘厳なミサの雰囲気を味わうため。「クリスチャンになる気は無い」と若者たちは語った。(12月26日)


104 和平交渉の見通し 

昨日の演説で首相は和平行程表の実施を進める方針を確認。しかし、自治政府が行程表通りにテロ組織を解体しない場合は、一方的分離を行うと語った。首相はベングリオン首相の独立演説を引用し「信仰の力によれば成し遂げられる」と演説を締めくくった。シャロン首相は、一方的分離になった場合に一部の入植地を撤去する考えを表明。政権内の右派政党は、首相演説に激しく反発しているが、実際に入植地が撤去されるまでは政権に止まる構え。米国政府はシャロン演説に対して「交渉による和平は可能」とのコメントを出し、交渉再開を促した。しかし、一方的措置も行程表に沿ったものであれば容認できるとの見方を示した。(12月18日)


103 和平工作の萌芽

シャロン首相の息子のオムリ氏、労働党のスネア氏、自治政府のラジョウブ氏らが非公式和平会議に出席のためロンドンに到着。2日間にわたり中東における国際社会の役割などを討議する。米国が独自にパレスチナ自治政府とイスラエル政府の関係者と協議し、和平案作成を進めていることが判明。違法入植拠点を合法化する可能性に、ボイム副国防相が言及したため自治政府が反発。もし合法化されればクレイ首相とシャロン首相の会談を中止すると、自治政府閣僚は語った。(11月28日)


102 国外のユダヤ人

エイラートのヨルダンとイスラエル国境で、ヨルダン側からイスラエル側に向けて銃撃があり、4人の観光客が負傷。エクアドルから来たクリスチャンの巡礼1名が死亡した。(11月20日)移民局の統計で、紛争勃発後に国外に住むユダヤ人が急増していることが判明。3年前に55万人だった国外居住者は現在76万人になっており、60%が北米に住んでいる。エチオピアに残る2万人余りのユダヤ人を帰還させるため、内務省が全世界のユダヤ人に寄付を呼びかけ。移民を受入れるための費用は1 人当たり約10万ドルかかる。


101 パレスチナ新政府

ラマラで開催されたパレスチナ議会が、クレイ新内閣を46対13の大差で承認。クレイ首相はイスラエルとの和平を推進すると語った。初閣議は今日、行われる。アラファト議長が「我々はイスラエル人がパレスチナ人と共に平和に暮らす権利を否定しない」と語り、イスラエルに平和を呼びかけ。し かし政府のゴールド報道官は「片手にオリーブの枝、片手に時限爆弾」と警戒感を示した。クレイ新首相が「我々が間違いを認めて正す必要がある」と発言。現在の破局の責任はパレスチナ指導者にあるとの見方を示した。(11月13日)


100 パレスチナの意識調査

 国防軍はガザで爆弾を積んで走行中だったハマスのメンバーを殺害。他にも爆弾工場に対する攻撃など多くの戦闘があり、昨日のパレスチナ人の死者数は民間人を含め、計11名に達した。国防軍が月曜のミサイル攻撃の映像を公開。最初の攻撃で集まった群衆に2回目の攻撃があったとのパレスチナの主張は否定された。テロリストが持っていた爆弾が救援作業中に爆発したと、国防軍は分析している。また、12名の死者のうち8名は手配中のテロリストだったことも判明した。(10月21日)
 米国の中東政策研究所がファタハ幹部3名を招待。幹部らは米国政府高官と会談し、アラファト議長ボイコットの方針撤回や「ジュネーブ合意」への支持を求める。「武力による独立達成は失敗した」と米国を訪問中のファタハ代表。 しかし、ハマスやイスラム聖戦の解体は不可能だと語った。パレスチナ国家が設立され、入植地が撤去されてもテロは続けるべきだとの意見に、パレスチナ人の59%が賛成。9月11日のテロ犯が「テロリスト」だと考える人はわずか37%しか無かった。


99 自爆テロで18人が死亡

イスラエル北部のハイファイのレストランで自爆テロ。18名死亡30人以上が負傷した。この日は安息日に当たり、5日夕から6日夕にかけてはユダヤ教の最大の祝日である「大贖罪日」となる。また第3次中東戦争勃発から30周年にもあたるため、イスラエル全土で厳戒態勢がとられていた。イスラエルがヨルダン川西岸地域での分離壁建設を続行し、奥深くにある入植地を壁の内側に取り込むル−トを承認したことでパレスチナ側は強く反発していた。(10月7日)


98 アラファット議長追放問題

国連安保理で討議されていた、イスラエルのアラファト議長排除決定を非難する決議は、米国の拒否権発動で否決された。自治政府のラジョウブ氏がイスラエルとの全面的な停戦を提案。しか し、停戦はテロ組織に組織増強の機会を与えるだけだとして、イスラエル政府はあくまでテロ組織の解体を求める構えである。アラファト議長は女性や子供を議長府の周囲に集め「人間の盾」を構築して国防軍に対抗しているもよう。「私はパレスチナの戦士であり、パレスチナの女性や子供を守る」と語った。一方、「アラファト議長は指導者として失敗した」とブッシュ大統領は厳しく非難。パレスチナに平和をもたらすために、新指導者が必要だと語った。(9月22日)


97 アッバス首相が辞表

アッバス首相は6日、アラファット議長に辞表を提出した。議長は辞任を認めるかどうか態度を保留している。アッバス首相は4月末自治政府初の首相に就任。6月にはブッシュ大統領、シャロン首相との間で「ロ−ドマップ」の履行に同意した。しかし武装闘争を指導してきたアラファット議長支持派は激しく反発。首相は過激派対策のために全ての権限の掌握を求めたが議長は認めなかったため対決が決定的となっていた。( 9月7日)


96 アッバス首相失墜か

9月4日、パレスチナ自治政府の評議会が開催され、アッバス首相の対イスラエル和平交渉経過が報告される。過激派対策を巡るアッバス首相とアラファット議長の亀裂は修復不可能な状況に陥っている。首相はハマスの武装解除に踏み切る決意だが議長はハマスとの対決に否定的である。信任投票になれば、アッバス首相の不信任案が通過しかねない。アッバス首相を和平のパ−トナ−と位置づけるイスラエル政府は、モファズ国防相が「アラファット議長は歴史から消え去る必要がある」と非難した。議長は新中東和平安は「ここ数週間のイスラエルの軍事侵攻で死でしまった」と語り、和平の推進に極めて悲観的な見解を示した。(9月4日 毎日新聞)


95 20人が自爆テロで死亡

8月20日夜、エルサレムでバス自爆テロがあり、20名が死亡、100名が負傷した。乗客の大半は西壁での祈祷を終えて自宅に帰る家族連れで、犠牲者の多くは子供やラビだった。(P,H)イスラム聖戦は、今回のテロがヘブロンでの同派幹部殺害事件に対する報復だとの声明を出したが、後にハマスも犯行声明を出し、犯人がヘブロン在住の29歳の男性だったことを明らかにした。(P,H)国防軍はガザを走行中のハマス幹部シャナブと護衛2名をミサイルで
 殺害。ハマスとイスラム聖戦は停戦を破棄すると宣言。ガザからイスラエルへのロケット砲攻撃を再開した。(8月22日)


94 自爆テロ

テルアビブ近郊のロシュ・ハアインと西岸地区のアリエルで相次いで自爆テロが発生。2名が死亡し、12名が重軽傷を負った。それぞれ、アルアクサ殉教団とハマスが犯行声明を出した。自治政府のアッバス首相は自爆テロを非難。しかし、ダーラン治安相は「国防軍の支配下にある地域の治安には責任は持てない」と語り、今回のテロに対する自治警察の責任を否定した。自治政府が行程表通りにテロ組織解体を進めない限り、新たな都市からの撤退はしないと政府が決定。封鎖緩和などパレスチナ人の生活改善を進める一方で、テロ組織への攻撃は続行する。(8月13日)


93 観光ツア−が再開

パレスチナで15日ごろに行われた世論調査では、アラファト議長の支持率が77%、アッバス首相の支持率は61%。ハマスとファタハの支持率は共に20%台だった。テルアビブとエルサレムを結ぶ2本の鉄道工事が進行中。2005年までに既存の線路を観光客向けに再整備する一方で、高速の新線を建設し、空港とエルサレムを18分で結ぶ。回教側が神殿の丘への旅行者の立入を禁止したが、再検討すると発表。観光客からの収入を目当てに立入を再開するとの見方も出ている。(8月1日)
イスラエル観光ツア−が秋にかけて治安の安定化にともない企画されています。イスラエルにとってもパレスチナにとっても、観光は重要な収入源であり、生活の安定化には不可欠です。私もイスラエル再訪問を願う一人として治安の安定を祈っています。

92 ペレス氏の提案

ポラズ内務相が、入植地への補助金支給を停止し、他に回す方針を表 明。入植者と右翼議員らが猛反発している。エルサレムを「世界の首都」とし、どの国の主権も認めないとの案を、労働党のペレス党首が提案。和平行程表に反対して米国の福音派エバンス師が書いた本が、ニューヨークタイムズのベストセラーに。「神の御心に反してエルサレムを分割すれば、アブラハム契約により呪いを受けると、米国のクリスチャンは信じている」と同師は語っている。

旧ソ連からドイツへの移民が急増している実態を、ニューズウィーク誌が特集。昨年の旧ソ連からのユダヤ人移民の数は、ドイツで1万9千人を超え、イスラエルを上回った。  (7月25日)


91 大量移民

7月9日、330人の移民が北米からベングリオン空港に到着。米国団体の運動で、大量移民が実現した。シャロン首相も出席して歓迎式典が行われた。国連の調査で、イスラエルの生活レベルは世界22位。パレスチナ自治区(紛争前)はエジプト・シリア・イランなどを超える98位にランクされた。ちなみに日本は米国・カナダに次ぐ9位だった。(7月10日)


91 停戦状況

イスラム聖戦とハマスは昨日、イスラエルが攻撃などを中止するとの条件付きで3ヶ月の停戦を行うとの声明を発表。ファタハも6ヶ月の停戦を行うとの声明を出した。しかし、声明発表後も各地で銃撃や爆破が相次いでいる。国防軍は日曜夜、ガザのベイト・ハノンから撤退を完了。ガザの他地区とベツレヘムについても、自治警察のテロ抑止の状況を見て、順次撤退が進められる予定。国防軍が7月2日、ベツレヘムからの撤退を完了。自治警察がベツレヘムに展開し、治安維持を引継いだ。自治政府のアッバス首相が「停戦を破るものは逮捕する」と、テロ抑止への決意を表明。(エルサレムポスト紙 7月3日)


90 過激派は平和の敵

米フランシャ−報道官は12日、パレスティナ自治政府とイスラム原理主義組織ハマスなどの過激派を明確に区別する姿勢を強調し、過激派は「平和の敵」だと断言した。(毎日新聞 6月14日) 「ハマスのような集団は和平にもパレスティナ国家樹立にも関心がない。目標は殺人だ。」と指摘。11日にハマスがエルサレムで自爆テロを起こした時に、イスラエル側の報復に言及しなかった論理的説明でもある。自治政府とアラファット議長を区分し、自治政府と過激派組織とを分断し、和平交渉はイスラエルとアッバス首相率いるパレスティナ自治政府との交渉であることを強く印象付けた。
ボイム・イスラエル国防次官は「国民の安全を守るため、徹底的に戦争を行わなければならない」と、ハマス殲滅を戦争と位置づけた。


89 アカバ宣言 

6月4日アカバで行われた和平三者会談で、アッバス首相は武力闘争の終結を宣言。シャロン首相も違法入植拠点の撤去を宣言した。また、ブッシュ大統領は演説の中でパレスチナ国家と共に「ユダヤ人国家」を明言。難民帰還を間接的に否定した。入植者ら2〜4万人が昨夜、エルサレムのシオン広場に集まり、和平行程表に反対する集会を開催。主催者の入植者組合は「アカバでの会談は、テロへの降伏式典」とする声明を発表した。アカバでの和平会議に欠席し、行程表に反対と見られていたネタニヤフ蔵相が、インタビューに答え「用心しつつチャンスを与えるべきだ」と語り、行程表に賛意を表明。閣僚の中でも右派のエイタム氏、エロン氏、リブナト氏が相次いで行程表への反対を表明。

ハマスとイスラム聖戦は、イスラエルとの停戦を拒否。「パレスチナを完全に奪還するまで武器を捨てない」との声明を出した。アッバス首相は近日中にガザでテロ組織との交渉を行う予定。アラブ政党の国会議員ビシャーラ氏が「イスラエルをユダヤ国家として認めるな」とアラブ諸国に呼びかけた。(エルサレムポスト 6月5日)


88 和平への歩み

5月29日、エルサレムで、シャロン首相とアッバス首相が会談。シャロン首相はガザ北部以外の都市からも、自治政府の治安引継ぎ体制が整い次第、順次、国防軍を撤退させることを提案した。ハマス指導者のランティシは昨日、イスラエル領土内における自爆テロを一時的に停止する可能性があると示唆。一方、アッバス首相はハマスとの停戦協議が来週にも成立すると語った。自治政府がテロ組織と停戦交渉を行っていることに、イスラエル政府内から懸念の声。行程表はテロ組織の「停戦」ではなく、組織解体と違法武器の回収を明言しているため。(エルサレムポスト 5月30日)


87 外交状況

自治政府のアッバース首相とシャロン首相が土曜夜に初の会談を行うことが決定。自治政府内部からは会談に反対の声が上がっている。ギリシャ外相が、シャロン首相とアラファト議長の双方と会談。シャロン首相はアラファト議長と会談した要人とは会談しない方針だが「諸般の事情を考慮して会う場合もある」と語った。( エルサレムポスト 5月14日)


86 和平ロ−ドマップ

パレスチナ議会は51対18の圧倒的多数でアッバース新内閣を承認。アッバース新首相は、イスラエルとの紛争に軍事的な解決はありえないと演説し、和平に取り組む考えを表明した。(ハマスとイスラム聖戦の指導者は、武力闘争の放棄を拒否する声明を、相次いで発表。占領が終わるまではテロを続けると宣言した。米国はアッバース新首相の演説を歓迎。イスラエルのシャロム外相は「良い始まりだ」としながらも「言葉ではなく行動で評価せねばならない」と語り、警戒感を示した。(アッバース新内閣が正式に発足したのを受け、米国、EU、国連、ロ シア(通称カルテット)によりまとめられた和平ロードマップが、イスラエルとパレスチナに正式提示。しかし、双方共に相手に対する不信が根強く、実施への見通しは暗い。(エルサレムポスト5月1日)


85 バクダット陥落の受けとめ方

バグダッドが事実上陥落し、イラクの体制が崩壊。ミサイルの脅威が低下したのを受け、モファズ国防相はミサイル警戒のレベル引き下げを検討する。 バグダッドが目立った抵抗もせずに陥落したことに、パレスチナ人から驚きと失望の声。ある年配者は「1967年の時も、アラブメディアは大敗を隠して勝利ばかりを宣伝していた」と語った。

ガザのイスラム聖戦とハマスの指導者がバグダッド陥落に失望感を表明。「イラク国民は、シオニストとアメリカ人どもに対してインティファーダを起こすだろう」と語った。自治政府のTVが「バグダッドよ、強くあれ」という歌を放送し、画 面で米兵の遺体や棺を映していたことが判明。(エルサレムポスト紙 11日)


84 イラク戦争との関連

自治区ではフセイン大統領の名前を取って子供をサダムと命名する人が急増。フセイン大統領とアラファト議長が並んで写っている記念写真がよく売れているという。シラク大統領がアラファト議長に電話し、イラク戦争終結後にパレスチナ和平の実施を推進すると約束。また、ブレア首相もイラク戦争終結後の課題はパレスチナ和平だと国会で演説した。(エルサレムポスト 28日)

83 中東和平ロ−ドマップ

ブッシュ大統領は、中東和平「ロードマップ」の双方への提示を、パレスチナ首相の任命確認後に行うと発表した。大統領は入植活動の停止とパレスチナ国家の設立に言及したが、イスラエル政府関係者は「新しい事は特に無い」と平静に受け止めている。イスラエルの要求により、和平ロードマップから「パレスチナ独立国家」という表現が削除され「ある種の主権を備えた」との表現になっていることが判明。シャロン首相は「イラクの攻撃を受けたら、我々は身を守る」として、直ちに報復することを示唆。しかし、米国などの努力により、実際に攻撃を受ける可能性は低いとの見方を示した。国防軍によると、国民の93%はガスマスクの交換を完了。首相は「我々は備えが出来ている」と対策に自信を見せた。(3月18日)


82 イスラエル新政権

シャロン首相は今週木曜、40議席のリクード、15議席のシヌイ、 6議席のNRPに極右政党で7議席の民族統一党を加えた68議席の連立政権を国会に提出する。連立政権への参加を固辞した労働党は「政権に参加しないとの公約を守った」と自賛。「シャロン首相は史上最右翼の政権を作った」と首相を非難した。ブッシュ大統領が、イラク問題だけでなく中東和平にも力を入れると演説。ロードマップに従い、平和なパレスチナ国家を作るために努力する考えを示した。雨や雪は昨日も激しく降り続き、全国各地で交通は寸断。エルサレムでも20cmの積雪が観測され、学校が休校になった。頂上付近で約10mの雪が積もったヘルモン山では、吹雪のためスキー場が閉鎖。再開は金曜ごろになる見込み。(エルサレムポスト紙 2月28日)


82 イスラエル最初の宇宙飛行士ラモン士殉職

イスラエル初の宇宙飛行士ラモン氏が乗った、スペースシャトル「コロンビア号」が昨日、フロリダの基地に帰還直前に空中分解を起こした。乗員7名は全員死亡。機体の破片はテキサス東部の「パレスチナ市」などで発見された。昨日の定例閣議には米国のイスラエル駐在大使クルツェル氏も出席し、シャトル事故について報告。首相は「犠牲は我々が世界を探検するために支払わなければならない高い代償」と語り、引き続きイスラエル人の宇宙飛行士を派遣する考えを示した。ラモン飛行士が、小型トーラーの他にも14歳の少年の描いた絵など、ホロコースト時代の遺品のレプリカを宇宙に持参していたことが、ヤッド・バシェム(虐殺記念館)によって明らかにされた。(2月3日)


81 イスラエル最初の宇宙飛行士

イスラエル空軍のラモン大佐が今日、スペースシャトルのコロンビア号で宇宙へ。イスラエル人で初の宇宙飛行士となる。コーシャーの宇宙食が用意されるほか、コントロールセンターの時刻にもとづき、宇宙において安息日の祈りが唱えられることになった。(1月16日)


81 和平への道

米国、EU、国連、ロシアの通称「カルテット」によりまとめられた和平ロードマップの概要をエルサレムポスト紙が報道。2003年前半にパレスチナは武力闘争の放棄を宣言し、違法武器の回収やテロ組織の解体などを実施。イスラエルは入植地凍結や2000年のライン までの撤退を行う、等の内容となっている。今年の移民者は3万5千人で、10年間の最低を記録。シャロン首相は今後10年間に100万人の移民を帰還させると語った。(エルサレムポスト 12月31日)


80 世論調査

平和団体の行なった世論調査で、パレスチナ人の7割と、イスラエル 人の7割が、1967年の境界線をもとにパレスチナ国家を設立する ことに賛成していることが判明。しかし、賛成者の多くは、相手が信じられないため、実現は不可能と見ている。


79 アフリカ・ケニアで同時テロ

リクード党首選はシャロン氏が6割近い票を獲得して,ネタニアフ外相に大勝。昨日朝、ケニアのリゾート地モンバサのホテルで自動車による自爆テロがあり、3名のイスラエル人を含む11名が死亡。80名が負傷した。ホテルはイスラエル人の経営だった。ホテルでのテロとほぼ同時に、旅客機がモンバサの空港からテルアビブに向けて離陸した直後、ミサイル2発による攻撃があった。いずれも命中せず、260名の乗員乗客は無事だった。ホテルで被害に遭ったのは、ハヌカの祭りを国外で過ごすため、イスラエルから来ていたツアーの人々。テロを避け、国外で休暇を過ごそうとした人々は、ホテルに入ってすぐテロに遭い、乗ってきた飛行機も復路で撃墜されそうになり、恐怖の休日となった。「パレスチナ陸軍」と名乗る組織が、ケニアのテロについて犯行声明を出したが、専門家はアルカイダの犯行だと見ている。
(11月30日)


78 労働党党首は和平派

19日に労働党党首選挙が行われ、ハト派のアムラム・ミツナ・ハイファ市長が現党首のベンエリエゼル前国防相を降して当選した。ミツナ氏は54%、ベンエリエゼル氏は37%。投票率は60%を超えた。ミツナ氏は「国民もシャロン政権に辟易しており、変化を求めているのに違いない」と述べ、来年1月28日に行われる総選挙への意欲を示した。ベンエリエゼル前党首がシャロン連立政権に加わり、「和平派労働党」としての独自色をうしなったことへの不信が背景にある。


77 総選挙

2003年1月28日に総選挙を行なうことが国会で正式に決定。労働党首選挙で優勢と見られているミツナ氏が、アラファト議長との和平交渉を行う可能性を示唆。首相に就任した場合は、故ラビン首相の例に従って無条件で和平交渉を再開する考えを示した。一方、ネタニヤフ外相は、国際社会の理解が得られた段階で、アラファト議長を追放すべきだと発言。また、パレスチナ地区との境界線に建設が進んでいる防護フェンスの工事を促進する考えを示した。
失われた十族の一つ、マナセ族の末裔が住んでいるとされるインド北西部に、十族帰還推進組織アミシャブがユダヤ教育センターを設立した。ヘブライ語やユダヤ教などの教育が行なわれる予定。(エルサレムポスト 11月12日)


76 右派内閣誕生

シャロン首相は連立政権を離脱した労働党のペレス外相の後任としてリクード党のネタニアフ元首相に就任を要請した。
実現すれば、モファズ前軍参謀総長の次期国防相抜擢とあわせ強硬な右派政権が出現する。ネタニアフ氏は96年5月から3年間、首相をつとめそれまでの故ラビン元首相、ペレス元首相の労働党政権による対パレスティナ和平路線を転換し、和平交渉を停滞させた。99年5月、労働党のバラク前首相に公選で惨敗し政界を去った。しかし2000年秋以来のパレスティナとの武力衝突の激化にともない右派からの政権復帰論が強まっていた。(毎日新聞 11月2日)


75 死者15名、爆破テロ

イスラエル北部のハデラ近郊でバスに爆弾テロ犯の車が追突爆破。乗客14人が死亡、約50人が負傷した。パレスティナ過激派、イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」が犯行声明を出した。イスラエル領土内のテロは今月10日以来。今回の事件に際してイスラエル政府はアラファット議長の監禁ではなまぬるいとして、直接「イスラム聖戦」組織への本格的な掃討作戦に乗り出す構えである。PLOの主流派「ファタハ」がようやく武力闘争を控え始めたのに反し、イスラム原理主義勢力の武力行動が活発化しており、議長も頭を痛めている。
(毎日新聞 10月22日)


74 南壁崩壊の危機

アラファト議長の補佐官をしているアブシャリフ氏が、政教分離を柱とする世俗的民主国家の設立を政策とする、パレスチナ民主党(PDP)を旗揚げ。ベツレヘム近郊で、パレスチナとイスラエルの宗教関係者らが宗教間対話集会を行い、クリスチャンも参加した。参加者は「希望は見えたが困難な話し合い」だったと評価した。
神殿の丘の南壁が、回教側の違法工事により崩壊に瀕しているため、政府が専門家会議に対策の検討を依頼。回教側は、神殿の丘の地下に あるユダヤ遺跡の破壊を進めていると、専門家が指摘している。(エルサレムポスト 10月13日)


73 世論調査

パレスチナ系の調査機関が行った世論調査で、パレスチナ人の68% が民間人を対象にした自爆テロを支持していることが判明。昨年暮の74%から少し減った。イスラエル全土奪還(イスラエル殲滅)を求める意見は6月の51%から少し減り、43%に。西岸とガザだけで満足するとの意見が48%となった。 
                      (エルサレムポスト 9月30日)


72 ロ−マ法皇の対処

バチカン(ローマ法王庁)は24日、ローマ法王ヨハネ・パウロ2世がイスラエルのシャロン首相に対し、紛争解決に向けてパレスチナのアラファト自治政府議長と対話を再開するよう求めるメッセージを送ったと発表した。また、アラファト議長には「バチカンは、パレスチナ人の平和に生活する権利を守るべく関与を続ける」とするメッセージを伝えたという。 (9月24日)


71 再びテリアビブで自爆テロ

テルアビブの繁華街で9月19日、走行中の路線バス内で自爆テロが発生。6名が死亡、50人が負傷した。約1ヶ月半、自爆テロは止んでいた。これで2日間連続の自爆テロとなった。パレスティナ自治政府は非難声明を出し、「シャロンが抑圧策を進める口実となる。」と、軍事報復に懸念を表明した。  (9月20日)


70 3段階での最終合意案

パレスチナ情勢に関する米国、ロシア、欧州連合(EU)の各外相とアナン国連事務総長による4者協議が17日、国連本部で開かれ、「3年以内の最終合意(パレスチナ国家樹立)」に向けて、イスラエルとパレスチナ自治政府の双方に「3段階」の履行を求める共同声明を発表した。

声明は、〈1〉今年から来年前半の第1段階で、自治政府の総合的な治安改革の実行、イスラエル軍の2000年9月末時点の展開地域までの撤退を促し、自由で公正な自治政府議長選挙を実施する〈2〉来年後半の第2段階で、新憲法と暫定的な国境を持つパレスチナ国家建設を目指す〈3〉2004―2005年の最終段階では自治政府とイスラエルが恒久的なパレスチナ国家樹立に向けた交渉に入る――ことなどを求めている    (9月18日)


69 議長の指導力が危機に

パレスチナ自治区では、複数の団体がテロ一周年を記念する、ビンラディン支持集会を計画。自治政府はビンラディン支持集会を禁止する一方、厳格な報道規制を行っている。アラファト議長に対する批判が強まった原因は、旧閣僚が居残り、自治政府改革が進まない現状への抗議。また、アルヤヒヤ内相の任命も、米国やイスラエルへの屈服だとして反感を呼んだ。アラファト議長の指導力は危機に瀕していると、関係者は分析。アラファト議長が来年1月20日に総選挙を行なうと発表。しかし、総理大臣を置き、権限を分割すべきだとの議会の要求は「国家が設立されるまではできない」と拒否した。  (9月12日)


68 死海復活

ヨハネスブルグの環境サミットで、ヨルダンとイスラエルが死海復活計画を発表。アカバ湾から淡水化した水を死海に流し、本来の水位から15mも下がった海面を元に戻すことを目指す。(9月2日)


67 ベツレヘムから1000人のクリスチャンが退去

国防軍が撤退したベツレヘムでは、自治警察官が展開し、市内には平穏が戻った。しかし、国防軍は町の周囲ベツレヘム市長のナサル氏はインタビューに答え「武装蜂起作戦は間違っていた。占領への抵抗は平和 的手法でなければならない」と語った。ベツレヘム市長によると、ここ数週間でベツレヘムのクリスチャン約1000名が国外に脱出したもよう。状況が悪化すれば、さらに多くが流出すると市長は予測。
ガザとベツレヘムからの撤退合意について、ベンエリエゼル国防相は「暴力を止めるというパレスチナの誠意は信じるが、彼らには止める力が無い」と発言。パレスチナの暴力停止までには時間がかかるとの
見通しを示した。  (エルサレムポスト 8月23日)


66 パレスティナ13組織・テロ停戦合意失敗

パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハなどパレスチナ13組織は12日にガザで開いた会合で、狙いとしていた「イスラエル国内でのテロ停止」の合意形成に失敗した。イスラム原理主義組織ハマスやPLO反主流派最大組織パレスチナ解放人民戦線(PFLP)などが反対したもので、自発的なテロ停止への試みは当面、暗礁に乗り上げた。13組織は同日夜の会合で「抵抗運動は(イスラエルの)占領と入植活動に反対する正当な権利である」との宣言草案で一致したという。PFLP幹部は「宣言はすべての種類の抵抗運動の正当性が強調されている。なにも排除されていない」と述べ、テロ継続を認める内容であることを明らかにした。 イスラエル放送によると、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハのヨルダン川西岸地区幹部フセイン・シェイク氏は13日、ファタハが「イスラエル国内でのテロ停止」を決定したと言明し、反対派のハマスに同調を求めている。   (8月13日 )


65 ヘブライ大学内で自爆テロ発生

エルサレムにあるヘブライ大学の食堂で31日午後1時40分、爆弾テロ発生。7人が死亡、88人が負傷。ハマスが軍事創設者シャハダ氏がイスラエル軍の空爆で暗殺されたことの報復攻撃と声明。日本人学生も1名負傷。大学内でのテロは一昨年9月のインティファ−タ−以来初めて。紛争とは無縁の諸外国留学生で込み合う学生食堂を標的にすることは、ハマスが一般市民を巻き添えにした無差別攻撃を繰り返す意思表明とみられる。   (8月1日)


64 爆弾による報復

ガザでのハマス指導者シェハダ殺害作戦で、指導者と副官の他、民間人の死者は15名、子供も11名。1トン爆弾が市街地で使用された模様。作戦直前にシャロン首相とベンエリエゼル国防相が、付近に民間人がいないとの誤った情報に基づき、実行の決断を下していたことが判明。多数の民間人死傷者を出した爆撃に対して、米国のフライシャー報道官も「過剰な武力行使で問題は解決しない」とイスラエルを強く批判。

シェハダ殺害作戦で死亡したハマス幹部や民間人の葬儀には10万人が集まり、復讐を宣言。事件直後からイスラエル領内に対して銃撃や砲撃が始まり、西岸地区と合わせて5名のパレスチナ人が戦闘で死亡。国防軍にも2名の負傷者が出た。パレスティナ自治政府は過激派との間で停戦交渉が成立していた直後であり、イスラエルへの反発が一気に高まった。  (7月25日)


63 最悪のテロ事件

ヨルダン川西岸のユダヤ人入植地イマヌエル付近で16日午後、入植者らを乗せたバスがパレスチナ人武装勢力に爆弾や小銃で襲撃され、7人が死亡、約20人が負傷した。イスラエル放送によると、パレスチナ解放機構(PLO)主流派ファタハ系の「アルアクサ殉教者旅団」とパレスチナ解放民主戦線(DFLP)がそれぞれ犯行を認めた。イスラエル軍が先月18日と19日のエルサレム自爆テロなどを受けて、西岸の主要7都市を再占領して以来、最悪のテロ事件で、ニューヨークで16日開かれた米国などの中東和平「四者協議」にも影響を与えそうだ。

 (7月17日)


62 最大規模の移民

フロリダから約400名の移民が到着。9ヶ月前に移民を決意した、 ファス師の呼びかけに20州から応募者が集まったものだが、ここ2 5年間で北米からの最大規模の移民となった。歓迎式典には国会議員ら多数が出席した。反宗教政党のラピド氏が国家を認めず、兵役にもつかない「超正統派の移民はいらない」と発言。「ユダヤ人なら、思想心情に関係無く、誰でも歓迎すべきだ」との声が、左右両派から出て議論が起きている。一方、パレスチナ人の違法労働者の摘発作戦により、ガリラヤで400名余りの農業労働者が逮捕された。しかし、大半は20年以上も毎年、キュウリ とオリーブの収穫に来ているため、シモン農業相は警察に寛大な処置を要請。
  (7月10日)


61 アラファット議長との交渉は中断

米国のパウエル国務長官が、アラファト議長との交渉をすでに絶って いると発表。「彼には18ヶ月もチャンスを与えたが、何もしなかっ た」と長官。今後も関係修復の可能性は無いと断言した。米国のバーンズ特使は、ロシア、EU、国連らの代表と中東和平について協議。アラファト議長傘下にあるアルアクサ殉教団が、パウエル米国務長官のアラファト議長排除発言に反発。全世界のイスラエルや米国の施設などに対するテロ攻撃を宣言した。アラファト議長は「自分とは関係無い」等とする声明を出した。(7月1日)


61 アラファット議長の退任要求

ブッシュ米大統領は6月24日、新中東和平構想を発表。
演説要旨は以下の3点。
1 パレスティナ人の暫定国家建設のための積極的支援
2 イスラエル軍の占領地からの完全撤退、入植地建設凍結
3 パレスティナ自治政府の指導体制の刷新

暫定国家の樹立を明記し絶望の中にあるパレスティナ人に希望を与えることをブッシュ大統領は決断した。しかしその条件として、実質的にアラファット議長の退任と民主的な新執行部体制づくりを要請した。パレスティナ側は内政干渉と反発。アラファット議長にかわる指導者がいない現状の中でどれほどの実効性をもつか懸念されている。

米大統領演説要旨

一、私のビジョンは二つの国家が平和と安定のうちに共存することだ。
一、平和のために求められているのは新しいパレスチナの指導部だ。パレスチナ人に対し、テロに妥協しない新しい指導者の選出を求める。
一、パレスチナ人が新しい指導部を選ぶなら、米国は主権、国境などについて暫定的なパレスチナ国家の建設を支持する。
一、パレスチナ国家はテロではなく、改革を通じて建設される。真の改革は民主主義、市場経済、テロとの戦いに基づく新しい政治経済制度を求めている。
一、米国、EU、アラブ諸国は、パレスチナ指導部の新憲法制定作業に協力し、年内に実施される複数政党制による地方選挙と、その後の総選挙を支援する。
一、パレスチナ国家には無実の人々を迫害する者を罰する司法制度が求められており、米国と国際社会は独立した司法制度の創設を支持する。
一、今日のパレスチナ指導部はテロに反対せず、これを奨励している。米国はパレスチナ指導部がテロと戦わないうちはパレスチナ国家の創設を支持しない。
一、パレスチナ人が民主主義を採用し、腐敗とテロを断固拒否すれば、暫定国家創設に対する米国の支持を獲得できる。
一、平和の創造に関与するすべての国は、ヒズボラやイスラム聖戦などイスラエルにテロを行う組織への資金などの供給をやめるべきだ。
一、アラブ諸国はイスラエルとより緊密な外交通商関係を築くことを期待する。
一、安定したパレスチナ国家はイスラエルの安全保障に必要だ。イスラエルに対し、(一連の混乱が始まった)2000年9月28日以前の位置まで撤兵するよう求める。占領地での入植活動も停止すべきだ。
一、紛争解決のためには問題の核心を解決しなければならず、これはイスラエルが67年に始めた占領を、国連決議242、338に基づいて終結することを意味する。
一、パレスチナに新指導部が誕生すればイスラエルが(占領地の)最終的な地位協定づくりに加わることが期待できる。全当事者の集中的な努力で3年以内の合意が可能になるだろう。


60 暫定国家樹立か

ワシントンポスト紙は、、ブッシュ米大統領の中東和平構想案について発表。
1 9月に中東和平国際会議を開催。
2 暫定的な境界線を持つパレスティナ国家樹立を採択。
3 恒久的な国境線などに関する最終地位交渉を3年以内に完了。

国境線の画定、エルサレムの帰属問題、入植地の存廃など最終地位交渉で依然積み残しになっている問題は先送のため、将来双方の間で確執が生じるのは必至と思われる。

93年のオスロ合意と根本的に異なり、パレスティナ自治国家の樹立を明記し、国連加盟を支持している点が大きな進展と評価されている。暴力の連鎖を断ち切り、パレスティナ人に独立国家に向けた希望を持たせ、イスラエル国民の安全を保障するには、「2民族2国家」しかないと政治的に判断した模様。   (6月19日)


60 路線バスが爆破

エルサレム南部で18日朝(日本時間同日午後)、路線バスの中で自爆テロがあり、バスが大破、通学途中の11歳の少女や2名の高校生ら少なくとも19人が死亡、約50人が負傷した。犯人も即死、イスラム原理主義組織ハマスが犯行声明を出した。テロ再発で和平再生への大きな打撃となるのは確実だ。イスラエルがテロ阻止を目的にヨルダン川西岸とイスラエル領を分離するフェンスを16日に本格着工、パレスチナ側が「新たなアパルトヘイト(人種隔離政策)」と反発する中で発生した。19人の市民に犠牲者が出たイスラエル政府は、自治政府と過激派に対する軍事報復を決定し、ジェニン自治区に侵攻しテロ掃討作戦を再開始。自治政府管轄地域を軍事的に制圧する再占領政策に転換した模様。アラフアット議長と自治政府の弱体化により過激派の活動に対して制御不能状態に陥っている。(6月18日)


59  分離フェンスを設置

イスラエル国防省は16日、自爆テロなどを行うパレスチナ過激派のイスラエル領への侵入を防ぐため、ヨルダン川西岸とイスラエル領を分離するフェンスの建設を正式に開始した。シャロン首相が2月に明らかにした「緩衝地帯」の一環。第1段階として、今後約1年間で、西岸ジェニンに近いクファルサレムからテルアビブ近郊までの約115キロに電子探知装置付きフェンスを建設する予定だ。

パレスチナ自治政府は「オスロ合意の事実上の破棄に等しく、南アフリカで行われていたより悪い新たなアパルトヘイト(人種隔離政策)だ」(エレカト地方行政相)と反発、国連に緊急協議を要請する方針を明らかにした。パレスチナ側は、フェンス建設で、ヨルダン川西岸側の土地が接収されると見ている。

一方、イスラエル国内の右派政党や西岸ユダヤ人入植地の住民らはフェンスが将来のパレスチナ国家との国境線になる恐れがあると見て建設に反対している。最終的にはエルサレム周辺や南部を含め総延長350キロ以上の“分断の壁”が出現することになるという。    (6月16日)


58  川口外相がイスラエルを訪問

金曜から日本の川口外相がイスラエルを訪問。外相はアラファト議長と会談した後、シャロン首相とも45分にわたり会談した。ペレス外相とも会談した川口外相は、経済支援と社会教育などからなる段階的なパレスチナ国家建設案を提示。ペレス外相は、日本のハイテク企業などが西岸地区に工場などを建設することを希望し、日本企業の工場は報復攻撃で破壊しないと約束した。川口外相と会談したベンエリエゼル国防相は、日本がパレスチナ自治政府の最大の支援国となっていることを評価し、支援継続を要請。日本の援助は「現物支給」方式を取っているため、援助がテロに流用される可能性は少ないと、外交関係者は語っている。 (6月11日) 


57  イスラエル軍が゜議長府に砲撃

イスラエル軍は6日未明パレスティナ自治区ラマラにある議長府に砲撃を加え、応戦したパレンティナ警官1名が死亡しました。戦車、ブルト−ザ−約50台が市内に3方向から侵攻し庁舎3階部分を破壊しました。これに先立ち5日にはテロ爆破犯人が潜むシ゜ェニンに戦車部隊で侵攻し、ナブルス、ヘブロン、ベツレヘムなどの主要都市での封鎖措置を強化しました。イスラエル北部のメギドで5日に発生した一般路線バスを追走して自爆した爆破テロでイスラエル兵ら13人、民間人4人が死亡したことの報復とされています。アラファット議長は反抗声明を出したイスラム聖戦を含むテロ集団への徹底取り締まりを宣言していた矢先でした。議長の指導力が機能しないのか、議長がポ−ズをとっているだけなのか、いずれにしろアラフアット議長の威信が低下していることは明らかです。  (6月6日)


56  イスラエルに連帯

ユダヤ教のエクスタイン師と福音派クリスチャンのリード師が始めた 「イスラエルに連帯を」運動が米国で広がりを見せている。民主党の世俗派ではパレスチナ支持とイスラエル支持がほぼ拮抗しているが、福音派クリスチャンの68%はイスラエル支持。パレスチナ支持はわずか8%だという。 (5月30日 エルサレムポスト紙)


55 イスラエルの「選択的兵役拒否運動団体」(イエシュ・グブウル)の紹介


54 ジェニン虐殺事件問題のまとめ

イスラエル軍によって村民が500名以上虐殺されたという「ジェニン虐殺」事件が報道され、当初世界各国から非難が起きましたが、次第に真相が明らかになってきました。冷静な調査結果から判断しなければなりません。

2002年4月2日夜、イスラエル軍の戦車部隊がヨルダン川西岸地区のパレスティナ自治区ジェニン市の難民キャンプに侵攻し、女性や子供を含む500名以上の住民が虐殺されたとパレスティナ側が発表し、「ジェニン虐殺事件」として全世界に報道されイスラエル非難が高まりました。イスラエル政府側は死者は多くて80名、大半は武装テロリストだと発表。双方の報道が食い違っています。しばしばパレスティナ側からの偏向・誇張的報道が政治的に発表されます。今回も時間の経過とともに真相が次第に明らかにされつつあります。

1 事実を確認すること

1キロ四方に1万5千人が住むジェニン難民キャンプは、多くのパレスティナ人過激派が活動する拠点となっていました。そのためイスラエル政府は8日間にわたる過激派掃討軍事作戦を行いました。国連パレスティナ難民救済事業機関は4月29日に、イスラエル軍の攻撃によって約800世帯4000人が住宅を失い、水道や電気が止まったまま、キャンプ地住民の1/4が戸外生活を強いられています。国際的な人権団体「ヒュ−マン・ライツ・ウオッチ」は、3人の調査員が現地に入り、最終的な調査結果を5月2日に発表しました。死者52名(民間人22名、武装勢力30名)の身元を確認し、「虐殺の証拠は見つからなかったが、同軍が人道に反する戦争犯罪を行った疑いがある」と発表しました。民間人の犠牲者の多くがイスラエル兵の銃撃による死者であるため国連調査団の調査によってはイスラエル軍の戦争犯罪が問題化する可能性もあると指摘しました。

イスラエル政府は、戦車や軍用ブルト−サ−を投入したのは、テロリストが拠点としている家屋・建物には爆弾が仕掛けられている可能性があるためイスラエル兵の被害を最小限にとどめるためであったと釈明し、「軍の攻撃は一般市民の中に隠れたテロリストと戦う困難な闘いであった」と説明しています。パレスティナ武装勢力は民間人を盾にしてその背後からテロリストが銃撃をしたり、国連の調査団を迎えるにあたり大きな墓穴を掘り他の場所から遺体を掘り起こしてそこにほりこんだりと、偽りの証拠を作り上げようとしています。以前にもラ−セン国連大使が視察した時も、多くの家畜を殺して死臭を漂わせて演出していたことが明らかにされています。

2 国連ジェニン現地調査団

ジェニン虐殺疑惑に関する国連現地調査団の派遣を4月19日、国連安全保障理事会が決議しました。決議はアナン事務総長に現地に調査団を速やかに派遣するように要請しましたが、イスラエル側は反発し、公正な調査のために軍事専門家を入れるように条件をつけ、現地入りの日程の延期を求めました。イスラエル政府は、「調査団の役割が安保理の決議に適したものではない」と語り、緒方貞子前国連難民高等弁務官ら「人道派」が中心で、軍事専門家の役割が小さいことに不満を表明しました。調査団はイスラエル入国を拒まれ、ジュネ−ブに滞在したまま5月3日アナン事務総長の指示で解散となりました。安保理は事務総長提案の解散について統一見解を出せず、国連の威信は大きく傷ついてしまいました。緒方貞子氏は「国際要員の存在が強化されなければパレスティナ・イスラエル両方の市民を守れない」と5月6日にニュ−ヨ−クでの記者会見で語っています。

イスラエルは調査団の受け入れを最初は表明していましたが、後に撤回しました。ペレス外相の受け入れ表明とイスラエル政府との間に認識のズレがあり、安保理で決議された調査団派遣の受け入れに対する障害となりました。さらに、国連はジェニンでの「大量虐殺非難決議」を調査前に出しており、派遣される調査団が決議を追認するだけの作業となることへの懸念があったためでした。そのために最後まで、テロ掃討作戦を理解できる軍事専門家のメンバ−入りを強く要請したのでした。欧州各国もジェニンでの実態が明らかになるに従いイスラエルへの非難のト−ンが下がったことも調査団の解散に影響したと思われます。      (5月17日)


53  聖誕教会の籠城事件解決

 10日夕方、イスラエル軍は聖誕教会周辺から撤退を開始。39日間つづいた武装ゲリラ籠城事件が解決。ファタハ系武装集団、イスラム原理主義組織ハマスの活動家ら重要容疑者13人は栄空軍機によってキプロスから欧州各国に移送予定。イスラエルは身柄の引き渡しを状況次第で要求することを述べています。他の容疑者26名はガザ地区へバスで移送。人質となっていた市民や聖職者100名も次々と解放されました。


52 再び自爆テロ 報復激化か

5月7日午後11時、テルアビブ南部のリションレツィオンの商業ビルで大規模な自爆テロがあり犯人を含め16名が死亡、60名が負傷しました。イスラム原理主義ハマスが犯行声明を出しました。自爆テロは4月12日以来。おりしも米国ではブッシユ大統領とシャロン首相が会談中でシャロン首相は急遽帰国することになりました。ブッシュ大統領は「あきれてものがいえない」と不快感をあらわにしました。シャロン首相は記者会見は「イスラエルは恐喝などに降伏しない。我々を殺しに来るやつは先手を打って殺してやる」と語りました。アラフアット議長は監禁策に耐え住民の英雄的支持を回復しつつあると言われています。閣僚の一部刷新を検討し始めているもようです。一方、シャロン首相はアラファット議長排除を含めた政治経済の民主化・自由市場の実現などを求めていました。強硬派のランダウ警察相は手つかずだったガザ地区への軍事侵攻への必要性を強調しています。  (5月9日)

51 1ヶ月ぶりにアラファット議長解放か

4月29日、積極的な介入をしたアメリカ・ブッシュ大統領の提案を、シャロン首相は受諾し、アラファット議長の監禁解除に踏み切りました。イスラエル軍はパレスティナ自治区ラマラとナブルスなど6都市に軍事侵攻し、テロリストの一掃を目的とした「守りの壁」作戦を遂行しました。ラマラにある議長府を包囲したのは、アラフアット議長府にかくまわれているゼエビ・イスラエル観光相の暗殺犯と今年1月に発覚した武器密輸船事件の首謀者であり、議長側近のショ−バキ財務責任者ら6名の引き渡しのためでした。自治政府側はこれを拒否し、パレステイナ側の法廷で裁くことを主張したため硬直状態に陥っていました。引き渡しが行われない場合は、議長府への強行突入も検討されていましたが、パウエル国務長官が現地入りした際に自制を強く求めました。

ブッシュ提案は、犯人6名をエリコ自治区の刑務所に収監し、米英の看守による監視下に置くことで決着しました。政府内には反対意見も強くありましたが、シャロン首相が説得しました。首相にとっては就任以来初めての決定的妥協となりましたが、背景にはジェニン村の虐殺疑惑に対して米国の支援を取り付けるためとも言われています。

さらに北部自治区のジェニン難民キャンプにイスラエル軍が侵攻した際、住民500人を虐殺にしたという虐殺疑惑がパレスティナ側から指摘されました。アラファット議長は「真相究明委員会」設立を発表しました。ハレステイナ自治政府エラカト地方行政相は、「国連パレスティナ難民救済事業機関が現時点で確認したキャンプでの死者は45名とされているが、523名の死亡が家族によって確認されており、なお1600名が行方不明だ。」と述べています。イスラエル側は、砲撃による犠牲者数は100名程度と発表。エルサレムポスト紙によれば、「米国の人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」がジェニンの「虐殺」現場を調査したところ、現時点での遺体確認数は52体。家をブルドーザーで破壊した時に死亡したと確認されたのは1名のみで、全死者は80名以下の予想。「虐殺は無かったが、破壊活動の点でイス ラエルの罪は否定できない」と担当者は話しています。国際人権団体アムネスティのホレー氏は、パレスチナの主張するような大規模な虐殺は無かったと断定。しかし、戦闘が終わってから家屋を過剰に破壊したため、少数の民間人が犠牲になった可能性はあるとの見方を示した。」と報道されています。政治的な宣伝戦に国際世論が左右されないことを願います。国連の調査団がイスラエルに派遣され、実態が検証される予定でしたが、イスラエル側が構成メンバ−が「反ユダヤ的」と反発し協力を拒否したため、入国できない状況になっています。       (5月1日)


50 アメリカによる仲介も失敗

パウエル米国務長官によって精力的な仲介交渉がなされたが、アラファット議長はイスラエル軍の占領地からの完全撤退が実現しないことを理由にイスラエル側が求める「テロ抑止要求を拒否」しました。パウエル国務長官は、目標としていた停戦合意と共同声明発表が実現しないまま帰国。一方、エジプトのムバラク大統領も予定されていた長官との会見を拒否しました。仲介工作が不調に終わったことで危機はいっそう深まっています。シャロン首相は「過激派掃討」を理由に撤退を拒否し、アラファット議長は「撤退のない状況下」での妥協的停戦宣言を拒否し、交渉の入り口で停滞したままでした。イスラエルの安全を最重視する米国は、型通りの仲介という手続きを踏み、議長を監禁したまま軍事作戦継続することを事実上黙認したと、アラブ側諸国は批判を強めています。

毎日新聞4月18日の「私はこう見る・イスラエルとパレスチナ」のコラム欄に、サウジアラビアの改革を求める「サウジ研究所」主宰者、アリ・アルアハメド氏(38)は、シャロン首相の軍事行動は家族を殺された人々のさらなるテロ活動を引き起こすと非難する一方、「アラファット議長はどうか。戦士はたくさん育てた。しかし、病院や学校や人々が住む家をどれだけ造ったか。パレスティナ人の生活は惨めだ。」と議長の責任を指摘しています。 (4月18日)


49 ベツレヘム生誕教会で銃撃戦

シャロン首相は、いずれも労働党のベンエリエゼル国防相、ペレス外相と3人で小閣議を開き、重要な政策を決定していたが、この会議にシャスやNRPを加え、労働党の影響を排除する構え。シャロン首相はテロ組織の根絶が完了しない地域からの撤退はありえないと宣言した。また、アラファト議長と共に議長府に立てこもっているゼエビ観光相暗殺犯などの引渡しについて妥協する考えの無いことを示した。ベツレヘムの聖誕教会で、立てこもっている武装勢力との間で銃撃戦があり、手榴弾の爆発により教会が炎上。イスラエル軍はアルメニア教会の聖職者を誤って銃撃したことを認めた。教会内に立てこもる武装勢力は投降を拒否しており、戦闘は膠着状態が続いている。

パウエル長官はアラファト議長がテロ組織を取締まり、パレスチナ人 にアラビア語で武装闘争中止を呼びかけるよう、要求する構え。米政府高官は「これが議長に与えられる最後のチャンス」と語った。 (4月10日)


48 議長府での銃撃戦

31日、アラファット議長を隔離した議長府で銃撃戦が発生。テルアビブとハイファで自爆テロがあり、軍事作戦がいっそう強化される可能性も高い。PLOの主流派ファタハの軍事部門「アルアクサ殉教者団」は「議長府包囲に対する報復」との犯行声明を出した。予備役兵2万人が召集され自治区に大規模侵攻し過激派を掃討することも予想される。
                                      (4月1日)


47 アラファット議長は「敵」

シャロン首相は29日、記者会見を開き自治政府のアラファット議長は「テロと連携しており敵だ」と宣言、当面「隔離」されるであろうと発表しました。昨年12月に「不適格者」と評し断絶関係に入っていたが、今回さらに「敵」と宣言し、敵対関係を鮮明にしました。1年半に及ぶ双方の衝突は新たな危機的段階に突入しました。議長はカタ−ルの衛星放送「アルラジ−ジャ」に「我々は他のパレスティナ殉教者たちと同様の道を選ぶ」と語り殉教覚悟で抵抗する意志を伝えています。アラブ首脳会議でサウジアラビア皇太子の中東和平案を採択したものの、停戦協議は崩壊したといえます。( 毎日新聞 3月30日)


46 日本で中東和平会議を調整

日本政府は混迷を深めるイスラエル・バレスティナ紛争解決に向けての環境整備の一助として、両者の和平推進・穏健派を招いて今夏、会議を開くことで調整を始めました。川口順子外相は「和平への望みを捨てずに努力している人々を招き、率直な対話の機会を設けることも検討したい」と、毎日新聞(3月25日)で述べています。実現すれば日本が中東和平問題で交渉仲介に動く最初のケ−スとなるということで注目を集めています。


45 停戦条件で対立

停戦に向けた双方の治安当局者協議が20日夜、ジニ特使の仲介で行われましたが、条件を巡り対立し合意に達しませんでした。停戦実行案の履行機関がイスラエルは4週間、パレスティナは2週間と主張して対立。イスラエルでは占領地に限って軍務拒否をする兵士がすでに300名に達しています。イスラエルでは男女を問わず18才で徴兵される国民皆兵制度が敷かれており、兵務拒否は異例な現象。原因にはバケスティナ人への非人道的行為や抑圧策に対する自省と反発があるとされています。軍務を拒否して2週間収監された予備兵役ヨセフ・センディクさんは「占領はハレスティナ人に憎悪を植え付けるだけではない。イスラエル人にも正義感を喪失させ自殺行為となる」と動機を語っています。(毎日新聞 3月22日)


44 薄氷の停戦交渉

3月13日、国連の安全保障理事会は、パレスチナ国家の設立を認め、双方に攻撃中止を促す1397号決議を採択しました。パレスチナ関係者は歓迎しています。1昨年の9月の衝突以来、パレスティナ側の死者は1000人を越え、イスラエル側でも350人が犠牲になっています。米国はジニ大統領特使を派遣し中東和平への仲介を積極的に開始しました。治安当局者協議の再開にめどが立ち、さらに「政治委員会」の発足にシャロン首相が同意したことに期待が寄せられています。16日にEU首脳会議は米国の調停を全面的に支援することを表明しました。 (3月17日 毎日新聞)


43 不安定なシャロン政権

急速な治安悪化とテロ続発に国内世論も2分している模様。11日夜、テルアビブのラビン広場に10万人の入植者が集まり、自治政府の解体を求める集会が開かれた。世論調査によれば、オスロ合意による和平を支持する人は昨年58%だったが今回は35%に。パレスチナ人の追放やアラブ系市民の国外退去を求める声も増加している。12日にシャロン首相はアラファト議長の自宅軟禁を解除し、自治区内での移動の自由を回復。しかし、現時点では外国訪問は認めておらず、3月27日にベイルートで開催されるアラブサミットに出席できるかどうかは不明。一方、和平派のペレス外相やアメリカからの圧力を受けて柔軟路線に傾斜するシャロン首相に政治姿勢に反発して、強硬派政党の民族統一・イスラエル我が家は、政権からの離脱を決めた。(3月12日)


42 治安悪化が深刻化

米国のパウエル国務長官は、パレスチナを激しく叩けば暴力路線を放棄するだろうとのシャロン首相の戦略を批判。アラファト議長に暴力を抑えるように求める一方、シャロン首相にも強硬路線の見なおしを求めた。治安の悪化を受け、護身用に銃の所持を申請する人が急増中。現在は26万人余りが銃の携帯許可を持っている。アラブ連盟(22ヶ国・機構)の外相会議がエジプトのカイロで開催され、サウジアラビアのアブドラ皇太子が提案した包括的中東和平案について意見を交換する予定。この草案にはパレスティナ難民の帰還権と東エルサレムからのイスラエル軍の撤退が明記されていたこことが判明した。(エルサレムポスト 3月7日)


41 中東和平案・サウジアラビが提案

バレスティナでは銃撃戦が続き、治安状況は悪化している。シャロン首相の不支持率は就任以来初めて5割を超え、53%に達している。サウジアラビアのアブドラ皇太子が包括的中東和平案を提案し、アメリカ政府は歓迎し、協議のために27日にバ−ンズ国務次官補がサウジ入りした。フライシャ-報道官は「大統領は皇太子の案を賞賛した。これは希望のしるしだと」と説明した。パウエル国務長官は「暴力が収まらない限り、どんな和平案も消えてしまう」とイスラエル・パレスティナ双方に時代沈静化の努力を求めた。サウジ案にはおおむねアラブ諸国から支持表明が出されてる。

池田明史 東洋英和女学院大学教授(現代中東政治)は、サウジ案の内容に新鮮味はないが、「双方が手詰まり状況にある中、サウジが提案したことが重要だ。長く停滞していた和平交渉が動き出す可能性が生まれた。」しかし互いの信頼感を完全に失っているシャロン首相とアラファット議長では交渉開始さえままならず、双方の指導者が交代しない限り、和平に向けた早期進展は期待できない」と述べている。  ( 毎日新聞 3月2日)


40 注目するパレスティナ人物

山内昌之東大教授は、2月15日に開かれた「毎日21世紀フォ−ラム」(毎日新聞社創設)第9回例会で「21世紀のイスラムと国際政治−日本からの視点」と題して講演。中東和平に関して「ムスリムにとっても、キリスト教徒やユダヤ教徒との平和共存を無視して解決はありえない。」「アラファット議長はアラブの英雄を自負するが、汚れ役になることを嫌がる傾向がある。平和を維持するためにイスラエルと交渉したくないのだ。」と指摘。ポストアラファットについて「ガザ地区のパレスティナ公安組織の責任者ムハンマド・ダ−ラ−ン氏、西岸のパレスティナ防諜機関の責任者ジブリ−ル・ラジュ−ブ氏の2人に注目したい。」と発言している。彼らはイスラエルと日常的に接触し、現実的な利益を重視している人々であると語っている。(2月22日 毎日新聞)


39 15歳少年の自爆

西岸地区のカルキリヤ近くにある入植地カルネイ・ショムロンのショッピングセンターで2月16日・土曜夜、自爆テロがあり、15歳の少年2名が死亡、29人が重軽傷を負った。PFLPが犯行声明を出した。本来は反宗教・共産主義系の過激派グル−プであるために、イスラム原理主義の浸透ぶりが懸念されている。

クレイ議長はバレスティナの武装蜂起戦略によりイスラエル国内の平和運動勢力が衰退していることに懸念を表明し、平和的運動に切り替えるべきことをパレスティナテレビで訴えました。 (2月17日 )


38 パレスティナ自治政府もテロ集団

米国のフライシャー報道官が「悪の枢軸」国家と並べてパレスチナ自治政府を名指し。テロを行う指導者により、人民が圧迫されていることを懸念すると語った。アラファト議長に危うく射殺される所だったラジョウブ司令官は「イスラエルの攻撃が迫っている時に異なった意見を持つ事は裏切り」等と語り、議長への恭順の意を表明した。(2月14日 エルサレムポスト)


37 シャロン・ブッシュ会談

シャロン首相は先週水曜夜にパレスチナ議会のクレイ議長、アラファト議長補佐官のアッバース氏らと会談していたことが判明。さらにニューヨークで金曜、パレスチナ議会のクレイ議長とペレス外相が、停戦からパレスチナ国家設立までの時間割を話し合った。ペレス外相は「火は火では消せない。水が必要だ」と語り、外交交渉の必要性を強調した。

2月6日からシャロン首相は米国を訪問。ブッシユ大統領との会談で「アラフアット議長に代わるパレスティナ指導者に期待すべきである」との考えを表明。シャロン首相は先週水曜夜にパレスチナ議会のクレイ議長、アラファト議長補佐官のアッバース氏らと会談していたことを明らかにした。


36 米「悪の枢軸」演説

ブッシュ大統領は1月29日の一判教書演説で、朝鮮民主主義人民共和国、イラン、イラクの3国を「悪の枢軸」と糾弾した。ライス補佐官は北朝鮮を「世界一の弾道ミサイル商人」と非難。北朝鮮外務省は「我が国に対する宣戦布告」と猛反発。韓国政府は「南北対話にも悪影響を与えるのは必至」と懸念表明。イラン穏健派のハタミ大統領はブッシュ大統領の強硬姿勢を「戦争や屋的な態度」「無礼」と強く非難。イラクのラマダ副大統領も「世界に混乱と不安定をもたらしている国々の最前線にいるのが彼の政権だ」と非難。中東にあらたな火種を蒔いた格好になった。

2月4日付け毎日新聞「東論西談」は、大量破壊兵器を持とうとする朝鮮民主主義人民共和国、イラン、イラクを3点セットの「悪の枢軸」と名指した。これは対テロ戦争ではなく、大量破壊兵器疑惑戦争であると警告している。第38回国際安全保障会議が2−3日にミュンヘンで開かれ、テロ支援国に先制攻撃をも辞さない米国側と慎重な対応を求める各国の立場の違いが明らかになった。ロシアのイワノフ国防相は「大量破壊兵器の拡散への米国の懸念は理解できるが、拡散問題は特定の国に限定すべきではない」という姿勢を示した。  ( 2月4日)


35 テロ続発の1月

1月は「密輸船拿捕事件」と「女性初の自爆テロ」という二大事件が勃発。
4日に紅海上でイスラエル軍に「武器密輸船」が拿捕されました。その後の調査で複数のパレスティナ人が武器輸送に関与した事実が発覚。アメリカ政府もパレステイナ人の関与を確認。アラファット議長の窮状はさらに深まりました。押収したイラン製武器は約五十トン。射程20キロの地対地ミサイルや、テロで威力を発揮する高性能爆薬、対戦車ミサイルなど、極めて殺傷力の高いものが含まれていました。ベン・エリエゼル国防相は、パレスティナ自治政府は一億ドルもの世界中からの援助費用を武器購入に使用していると指摘。シャロン首相は、アラフアットは「イスラエルの敵」と激しく非難しました。

1月に入りアラファット議長の停止命令にもかかわらず自爆テロ事件が続発しています。過激派は22日には「全面戦争の再開」を宣言。ついに27日には、エルサムの繁華街ヤッフォ通りで二十代の女性による初めての自爆テロが発生、115名の負傷者が出ました。過激派ハマスなどは女性の自爆を認めない政策をとっているため、イスラエル警察側はとまどいとともに、新たな世俗系テロ集団の出現ではないかと懸念しています。 彼女は難民キャンプで「殉教者」として葬られるそうです。一般市民を無差別に殺害する自爆テロリストが美化され、「殉教者」と礼讃され、栄誉が帰せられる宗教的高揚状態が煽られている間は、停戦も合意交渉も道は遠い気がします。 

岩波書店「世界」二月号で、産経新聞中東支局長・村上大介氏はシャロン首相はアラファット体制の崩壊、新しい穏健な自治政府指導者との段階的和平交渉を目指していると分析。崩壊後に過激派グループが自治区を支配しても、国際的に認知されたテロ組織に対する軍事行動として過激派集団を一掃できると判断している模様。事態は流血の悪循環ということばでは表現できない破局に向かうのではと、強い懸念を表明しています。エルサレムの平和のために、 心から、祈り続けてゆきましょう
            (宇治バプテスト教会 月刊誌 ナルド 2002年2月号)


34 自治政府幹部と秘密会談

シャロン首相は1月30日、パレスティナ自治政府の指導部トップ級3名と極秘会談をした。アラファット議長以外の指導部との関係模索した動きとして注目される。自治政府評議会のクレイ議長、 のアッバス事務局長はアラファット議長に次ぐナンバ−2、3の地位にある。シャロン首相は12月には自治政府を「テロ支援団体」に指定し、議長を「不適格」と烙印を押していたシャロン首相が高官たちと会談したことは軍事強攻策一辺倒だった首相の政策変化を伺わせる。(毎日新聞 2月2日)


33 米大統領、アラファット議長に失望

パレスティナ人過激派は22日に「全面戦争の再開」を宣言。22日にエルサレムで乱射テロ(死傷者14名)、25日にテルアビブで自爆テロを起こした。イスラエルの軍事報復もエスカレ−トしている。アラファット自治政府議長はパレスティナにすむすべての組織に対して「包括的な停戦とイスラエル人に対する武装作戦の停止」を声明で呼びかけた。米ブッシユ大統領は武装密輸事件をめぐる議長の対応について「非常に失望した」と語り、懲罰措置を打ち出す可能性も出てきた。記者団に「彼は中東からテロを根絶するために全力を尽くすべきだ」と語った。米政府は自治政府の関与を認定しているが、議長はあくまで関与を否定している。

27日、エルサレムの中心街のジャファ通りで過激派による自爆テロが起き、死者2名、負傷者150名。自治政府との関係は危機的事態へ進展しそうだ。


32 爆弾テロと報復攻撃の再開

1月18日夜、イスラエル北西部ハデラでバール・ミツバ(ユダヤ教の成人式)パーティー会場に押し入ったテロリストが手榴弾を投げ込み銃を乱射。4名が死亡 し、30名が重軽傷を負った。犯人はその場で殺された。ファタハ傘下のアルアクサ殉教団が犯行声明。イスラエルを訪問している米国議員団は「アラファト以外の指導者にも会う必要がある」との理由でアラファト議長と面会せず、クレイ議長とヌセイベ氏らと会談した。 (エルサレムポスト 1月19日)

イスラエル軍19日未明、宴会場爆破テロに対する報復として、パレスティナ自治区ラマラで自治政府系のラジオ局「パレスティナ放送」の本部ビルを占領し爆破した。同ビル内にはパレスティナテレビのスタジオもあった。イスラエル政府は一昨年9月のインティファ−ダ−以来、パレスティナ側のメディアが抵抗闘争を扇動していると非難しており、アラファット議長ら指導部が市民に対するメッセ−ジを発するのを遮断する狙いがあるとみられる。「放送は我々の権利だ。(爆破は)パレスティナ人の主権を侵害するいうイスラエルの意志表示だ」と放送局幹部らは怒りをあらわにしている。   (毎日新聞 1月20日 )


31 シャロン首相の意図

岩波書店「世界」2月号に村上大介産経新聞中東支局長は、「イスラエルが逆転させた和平の流れ」と題して以下の趣旨の興味深い論文を寄稿している。

2001年3月の就任以来、「オスロ合意の白紙化」とアラファット議長ら現自治政府指導者の最終的追放に向けて、シャロン首相は詰めの段階に入っている。自治政府の解体の先にはパレスティナ社会の混沌と混乱、テロの危険の増大、イスラエルの安全保障に逆作用と考えるのが常識だが、シャロン首相の真意はどこにあるのだろうか。

イスラエル世論は約80%が12月に入ってからのイスラエル軍の自治区攻撃を支持している。労働党は連立離脱を模索するもののシャロン政権は国会議席の過半数を維持するために離脱は政権打倒にはつながらず、閣内においてシャロン首相の独走をとめるという消極策しかとれない。一方、シャロン首相はハアレツ紙が12月16日付の分析記事で指摘しているように、アラフアット議長が自治区を去った後、「パレスティナとの段階的合意」案を閣議に諮り、シャロン首相の和平案を受け入れる穏健な自治政府指導者の登場を待ち、それまでは軍事的圧力は緩和しないというものである。

シャロン「和平案」の骨子は以下のようになる。1)ヨルダン西岸とガザ地区の完全自治区を現在の4%から42%にまで拡大し、パレステイナが「パレスティナ国家」と称することに反対しない。 2)入植地の撤去は行わずヨルダン渓谷は「イスラエルの安全保障地帯」とする。 3)エルサレム帰属問題、パレスティナ難民帰還権は交渉しない。 3)和平条約ではなく停戦協定を結び、20年程度の暫定期間の後、西岸とガザ地区の恒久的地位を協議するというものである。
この案では、42%を除く西岸、ガザ地区ではユダヤ人入植がさらに拡大し、20年後には入植地で埋め尽くされ実質的には「占領の固定化」に他ならないとパレスティナ側の反発を受けることは必定。

アラファット議長の権威が失墜し、自治政府の機能が停止すれば、イスラム原理主義「ハマス」がパレスティナ社会の主導権を握ると予測。オスロ合意によって国際的な認知を受けている自治政府・パレステイナ解放機構「PLO」ではなく、国際社会に「テロリスト」と認知させやすいハマスを相手にした方が軍事作戦を実施しやすいとの判断もあるようだ。

村上氏は「国際社会の強制的な介入でもない限り、事態はいずれ流血の悪循環などという言葉では表現できない破局に向かい、パレスティナ紛争の歴史にまた新たな不条理が付け加えられるだろう」と論文を結んでいる。

                                 (2002年1月11日)


30 武器弾薬の密輸船事件

バウチャ−米国務省報道官は8日に紅海で拿捕された「武器密輸船事件」に関して、「複数のパレスティナ人が武器輸送に関与した事実を確認した」と報道。イスラエル政府はこれらの武器はレバノンのイスラム原理主義組織ヒズボラ向けではなく、パレスティナの戦闘員向けであると調査結果を発表し、アラファット議長の責任を激しく避難しています。米国がパレステイナ人の関与を確認したことにより、アラファット議長の窮状はさらに深まった。 (毎日新聞 2002年1月9日)

押収した武器は多種にわたるもので、射程20キロの地対地ミサイルや、テロで威力を発揮する高性能爆薬、対戦車ミサイルなど、極めて殺傷力の高いものが含まれていました。た。イスラエル政府のギシン報道官は、今回の武器密輸事件が明らかな合意違反であり、自治政府は休戦の間に戦力増強を図っていると非難。「武器積載の船のだ捕は、イスラエル政府の陰謀」だとする自治政府の説明をナンセンス」だと決めつけています。た。 ベエリエゼル国防相はパレスティナ自治政府は1億ドルもの世界中からの援助費用を武器購入に使用していると指摘。シャロン首相はラフアットは「イスラエルの敵」だと激しく非難しています。

                         (エルサレムボスト 2002年1月7日)


29 アメリカ仲介作業を再開

米国のジニ特使が3日に中東入りしてシャロン首相、アラファット議長と交渉し、中断していた衝突収拾の仲介作業を開始しました。ジニ特使は「控えめな目的を設定している」と仲介再開に際して発表。特使はアラフアット議長に、過激派摘発の強化を改めて要請しました。
この時期、イスラエル参謀総長は、4日に紅海沖にてパレスティナ自治区へ向かう、対戦車砲、ロケット砲などイラン製武器50トンを積んだ船を拿捕したと発表。交渉に際し自治政府側を強く牽制しました。 (毎日新聞  2002年1月5日)


28 イスラエルのクリスチャン人口

1995年には12万人だったクリスチャンの人口が13万7千人に。うち11万5千人はアラブ人で、残りは親族と共に東欧などから帰国したユダヤ人で占められている。最も多くのクリスチャンが住むのはナザレで、市人口の3分の1を占める。 (2001年12月31日)

ガザで金曜早朝、イスラム聖戦による国防軍を狙ったと見られる自爆 テロが失敗。犯人1名が死亡した。首相官邸は、自治警察が犯行の情報を事前に知りながら何も対策を取らなかったと非難。自治警察はイスラム聖戦の関係者3名を逮捕した。PFLPは自治政府によるメンバーの逮捕に抗議。イスラム聖戦は占領が終わるまで聖戦を続ける」との声明を発表した。
                       (エルサレムポスト 2002年1月1日)


27  パレスティナ内部の紛争

21日(金)に、ガザで、ハマスと自治警察の間で激しい衝突があり、6名が死亡、80名が負傷した。これは1994年以来、パレスチナでの内部抗争としては最大規模。パレスチナでの内戦勃発の危険性を受け、ハマスは「パレスチナ人の利益を守るため」として、イスラエルに対する攻撃の中止を宣言。イスラム聖戦もこれに続き停戦受入を発表した。  (エルサレムポスト誌)

アラファト議長は24日の夜ベツレヘムで行われるクリスマスミサに出席する意向を表明していたが、シャロン首相は議長のテロ対策が不充分だとしてラマラからベツレヘムへの移動を許可しなかった。パレスティナ側は反発。アラファト議長は回教徒だが、ベツレヘムの聖誕教会でのクリスマスミサには、自治政府の発足以来、毎年出席を続けている。 イスラエル国防省は、今夜クリスマスを祝うためにベツレヘムに巡礼する全ての クリスチャンのために、移動制限を大幅に緩和する措置を発表した。しかし、今年は大規模な祝賀式典も無く、ボーイスカウトによるパレードが行われる程度で、人出は少ないと予想されている。  観光業界は深刻な打撃を受けている。

                                     (12月21日)


26  アラファット議長と決裂

 イスラエル政府は13日未明、閣議を開きパレスティナ自治政府のアラフアット議長との接触をいっさい断つことを決定。イスラエル軍は大規模な軍事行動を開始した。これによってパレスティナ情勢は一気に険悪化している。シ−トリト法相は、「われわれはもはやアラファット議長を和平構築のパ−トナ−とはみなしていない」と言明している。
 シャロン首相はアラフアット議長と自治政府を終焉に追い込み、オスロ合意に基づく領土返還を無効にさせたがっているのではと評論家は分析している。議長は16日にテレビ演説で「自爆攻撃を含む武装行動の完全かつ即座の停戦」を宣言した。しかし、イスラム原理主義「ハマス」は反対を表明、バレステイナ人社会の内部分裂が懸念され、その前途は暗闇である。
                           (毎日新聞 12月13日 16日)


25  イスラエル第2波ミサイル攻撃

イスラエル政府は4日に5カ所で第2波の報復攻撃を行った。西岸ラマタ゛では自治政府議長府に隣接する内務省ビルをミサイルで破壊。アラフアット議長は議長府内にいたが無事であった。テロ組織と指定された議長の親衛隊「フォ−ス17」本部も標的とされた。イスラエル政府内では28人の全閣僚のうち18人の多数派が攻撃支持を表明。労働党のペレス外相は「政治的な希望なしに自治政府の転覆を図る試みだ」と批判し、連立政権離脱を示唆した。イスラエルの執拗な報復措置で議長派勢力がこのまま弱体化すれば「ハマス」など反和平派が台頭しペレス外相らが懸念する事態になりかねない。

立山良治防衛大学教授は「アラファット議長率いるパレステイナ自治政府の破壊も辞さないという強いメッセ−ジであろう。シャロン政権はアラフアット議長の統率力はすでにないと判断、議長を相手に話をする気もないのではないか。
米国は議長の統率力に不信感を抱いているが議長に代わる人物が見あたらないのが実状で、その力に頼らざるを得ない。議長はイスラエルの攻撃をやめるために、欧州連合や日本など国際世論に訴える戦略に出るであろう」と論評している。  (2001年12月5日  毎日新聞)


24  議長付近にミサイル攻撃

12月1日2日の両日、パレスティナのイスラム原理組織「ハマス」による連続自爆テロが発生し25名の死者が出た。バレスティナ自治政府は異例の「非常事態宣言」を発令した。無許可のデモ、武器携帯、拡声器を用いた扇動行為を禁止する厳しいものであったが、実効があがらず、アラファット議長は窮地に陥っている。一方、イスラエル政府は3日、報復攻撃を開始。ガザ市内にある議長公邸近くをミサイル攻撃し、議長用のヘリコプタ−3機と発着施設を破壊、17人が負傷。イスラエル政府は緊急閣議を開いて自治政府を「テロ支援団体」と指定。シャロン首相はテレビ演説で軍事行動を「テロとの戦いであり、イスラエルと米国はともにある。」と語り、アラファット議長を「中東における和平と安定の最大の障害だ」と糾弾し、「テロによる戦争がわれわれに向けられている。その目的はわれわれをこの地から追い出すことだ。アラファットに起きていることすべての罪がある。」と力説した。自治政府エラカト地方行政相は「シャロンはパレスティナに向けて宣戦布告した」と語り、猛反発している。 (2001年12月4日 毎日新聞)


23  米国務次官補らパレスティナに

パウエル米国務長官は11月19日にパレスティナ側に「暴力集結のための100%の努力」を、イスラエル側に「占領の集結」と「ユダヤ人入植地活動の停止」を求めた。しかし再三の停止合意にかかわらず暴力は再発し交渉は進まなかった。イスラエル側は23日、イスラム原理主義組織「ハマス」の軍事部門幹部を暗殺、25日には自治区ガザの3ヶ所をミサイル攻撃した。「米国の仲介努力を無駄にする行為」として批判が強まっている。米国が強い態度で抑制を迫らない限り停戦交渉は実りそうにない。  (2001年11月26日  毎日新聞)       


22  パレスティナがデモ禁止命令

パレスティナ自治政府は10月8日、ウサマ・ビンラディン氏を支持するデモ活動を禁止した。デモの禁止は昨年秋のイスラエルとの衝突発生以来初めて。背景には、かつて湾岸戦争の時、クゥエ−ト侵攻をイスラエル占領地撤退と結びつけて主張したフセイン・イラク大統領を支持したため、米国を支持した湾岸産油国からの資金援助が停止されパレスティナは国際社会から孤立してしまった苦い経験がある。パレスティナ最大の原理主義組織「ハマス」はこの1年で支持率を12%から20%台に伸ばし、主流派のファタハに急追しているために警戒心が高まっている。自爆テロなど武装闘争を奨励するハマスは停戦合意の障害となり、和平交渉に戻りたい議長の足かせとなっている。ビンラディン氏が反米行動にパレスティナ情勢を関連づける声明を出すと、自治政府は「パレスティナを口実に使ってほしくない」(シャ−ス国際協力相)と反発し慎重な姿勢を示した。8日にはハマス主催のデモで警察官がデモ隊に発砲し少年を含む3人が死亡したが、デモ参加者は「ビンラディン万歳」と連呼していたという。イスラエルのベンエリエゼル国防相は「自治政府の抑制能力がためされている」と話している。(2001年10月9日 毎日新聞)


21  停戦のほころび

先週「停戦合意」が成立したにもかかわらず、週末には各地で戦闘が続き、イスラエル側に12人の負傷者とパレスチナ側に10人の死者。うち5名は、爆弾製造中の事故で死亡したもよう。ガザの入植地など
に対しても砲撃が続き、民間人に負傷者が出た。武装蜂起一周年を記念して、自治区の各地では激しい抗議デモ。「アメリカとイスラエルに死を」等のスローガンや、ビンラディン支持が叫ばれた。金曜に行われた治安協議では、自治区の封鎖緩和を地区別に行うことが決定。暴力の停止した地域から順に自治区封鎖の緩和または解除が行われることになった。治安協議は今朝にも行われる予定である。(ポストエルサレム誌)


20  新たな緩和措置案

アラファト議長は米国でのテロを非難する声明。しかし、自治区のナブラスなど主要都市では、町に人々が出てテロ成功を祝った。自治警察は祝賀風景を撮影した外国報道機関のテープを没収したが、没収を免れた映像が世界に流れた。パレスチナ自治政府は先日全世界に放映されたテロで喜ぶ群衆のイメ
ージを払拭するため、特別議会で米国への支持を決議。また、文化人ら50名の署名入りのテロ非難声明や、米国のために献血する若者の写真などを新聞に掲載した。(ハ・アレツ 9月14日)

パレスチナからの攻撃が48時間にわたって停止すればペレス−アラファト会談を許可するとシャロン首相。しかし、自治区全域に渡って激しい戦いが続く中、パレスチナが応じる気配は無い。アラブ諸国は「反テロ連合軍」への参加の条件として、イスラエルがパレスチナとの紛争において何らかの譲歩をするよう要求中だが、イスラエルは断固として応じないと首相が言明。(ポストエルサレム 9月17日)

アラファト議長は20名の外国代表を呼び、公式に攻撃停止を宣言。議長はTVによりアラビア語でも停戦命令を読み上げ、自治警察官にも停戦遵守をさせる命令を発した。シャロン首相はこれを受け、国防軍にも停戦を命令。活動家への個別攻撃を含むA地区への軍事作戦を中止することを発表した。また、万一攻撃を受けた場合でも、できるだけ反撃を控えるよう、国防軍兵士に対する発砲制限を強化した。
                     (ポストエルサレム 9月18日)

18日夜、イスラエル軍は、ヨルダン川西岸でイスラエル側に治安権限がないパレスティナ自治区内にいたすべての部隊を撤退させたと発表。先週、ジェニンやエリコに侵攻した後、完全自治区内に部隊を残存させていた。アラファット自治政府議長の停戦宣言を受けて、攻撃的作戦の停止に続く緩和措置。

(2001年9月19日 毎日新聞) 


19  見える支援の要請

18日、柳井俊二駐米大使は「日本は顔の見える行動が求められている。自衛隊による米軍の後方支援が有効な貢献になる」と発言。周辺事態法の拡大解釈による対応は困難であり、新規律法をすべきであると述べた。小泉首相は時限立法による支援活動(燃料補給、物資輸送、医療活動)を軸とする自衛隊派遣による支援対応を表明。テロ攻撃後、ブッシュ大統領の支持率は55%から86%に急増し、武力行使への支持も93%に達した。上下院での武力行使容認決議も反対派下院の1票のみ。「悪と戦う正義のアメリカ」と言う図式で世論がまとまりつつあるという。毎日新聞の佐藤大介社会部記者は「米国が掲げてきた正義をもう一度見直すことも必要ではないか。足下を見つめないままの報復はさらなる憎悪を生み、再びテロの悲劇に襲われる危険をはらんでいる。」と指摘し、「南に行くと米国を象徴する自由の女神が立っている。卑劣なテロ攻撃は米国社会の「自由」への挑戦だった。しかしそれに対し武力で報復に走るのは根本的な解決には決してならない。自由の女神が手にしているのは希望を照らす灯火であり、新たな憎しみと悲しみを生み出す銃ではないはずだ。」と記事を結んでいる。


18  テロにどのように対応すべきか

米国は今回の同時多発テロに対する報復を「戦争」と位置づけ、大統領は「われわれは今、戦争の中にいる」と非常事態を宣言し、「国家、組織、個人」レベルに対しての軍事報復準備を着実に進めている。米国の国民世論も、議会も軍事報復に圧倒的な指示を表明している。さらに外交ル−トを通してテロ撲滅のための国際的な軍事包囲網を完成しつつある。今回の指導者と目されるビンラディン氏をかくまっているアフガニスタンのタリバン政府に対して強い警告を発し、ラビン氏の引き渡しを要求している。承諾されない場合は、報復攻撃に出る強い意志を表明している。また、日本に対しても同盟国としての協力要請がなされている。

このような緊迫した危機的状況に対して、冷静な判断が求められている。識者たちの見解や意見を参考にしつつ、一市民として私たちも自分の頭でしっかりと考えてゆきたい。

1) 「文明の対立が各地で起き、世界は多様性をみとめるのとは反対の方向に動いている。対立は短絡的に武力に結びつき、琴線どころか心臓部をめがけてテロを仕掛ける。価値観や宗教の相違があったとしてもテロや暴力では何も解決しない。憎しみは憎しみを生む。米国の世界貿易センタ−ビルとともに地球規模の心の共同体意識まで崩れることが怖い。自分の解釈が一番正しいと考えるのが一番危険だ。」

毎日新聞「余録」 9月16日 朝刊

2) 米国は今回のテロへの報復行為は正しい暴力であると主張する。報復しない限り、テロは繰り返されるからだと。テロは暴力の恐怖によって主張を受け入れさせようとする卑劣な手段であり、どのような目的であっても正当化はできない。しかし、米国のイスラエルよりの中東政策がテロをも辞さないところまで追いつめられたイスムラ教徒の心境の背景にあるのは確かである。米国は豊かで自由で民主的な自国の価値を、他の社会も喜んで受け入れると信じてきた。冷戦の終結はその信念をさらに強め、異なるものへの寛容性を減少させた。米国は、自由市場経済や複数政党制の民主主義などの制度から、キリスト教的価値観まで、みずからの「正しさ」が国際社会で普遍的なものであるとみなし、その外側にある社会を容赦しようとしない。
 平和とは、対立が力で押さえつけられた状態を指すのではない。それは対立の原因を含め、お互いの違いを尊重しあえる心の状態を指す。今、私たちにできることは正しい暴力などなく、暴力では平和はもたらされないことを、テロリストやその支援者に対してのみではなく、みずから認識し直すことではないだろうか。「テロに立ち向かうとはそのような根本的な姿勢を意味している。」

毎日新聞 9月16日 「平和が危ない ■ 正しい暴力などない ■ 」
国立民族博物館地域研究企画交流センタ−の大津留智恵子・助教授(アメリカ政治外交)の話

「この無差別テロルはアメリカで起きたとにせよ、犠牲者の国籍や民族籍が複数にまたがっている以上、国際テロルとみなすべきなのである。つまり日本の国民は政府とともにこの事件を自分たちに加えられた行為とみなして、他の国々と団結しながらテロリズムに対決する姿勢を明確にすべきである。(略)
ウマサ・ビンラディン氏が首謀者であるにしても、テロリズムとイスラムをすぐに結びつける愚をおかしてはならない。12億の人口を擁するイスラム世界と、欧米や日本などのG7諸国のブロック対立という構図に持ち込もうとするのが、テロリズムの狙いなのである。こうした分子の挑発にのらないことが何よりも肝要なのだ。まず真相の冷静かつ早期の解明をアメリカに期待しておきたい。かりにイスラム・テロリズムの仕業だということが判明した場合、犯罪者に対する報復は必至であろうが、イスラム系やアラブ系の善良な一般市民や外国人については国際平和への脅威を排除するためのパ−トナ−として考え、イスラム世界の内部に寄生するテロリズムを孤立させる戦いに積極的に参加させる努力をすべきであろう。」

毎日新聞 9月16日 時代の風 対決策を市民レベルで考えよ 山内昌之 東大教授

強力な「愛国心」一色に染まり、軍事報復に傾くアメリカに前面同調する必要はない。小泉首相が強い「支持」をブッシュ大統領に表明したとしても、日本国憲法の枠の内で協力支援をすることは言うまでもないことである。十分な議論を経ないまま、状況に引きづられるように、性急に自衛隊に関する法案などを上程する動きが見られるが、慎重でなければならないと思う。大津留助教授が語るように、「正しい暴力などなく、暴力では平和はもたらされない」という自覚をもつこと、また山内教授が指摘するように「イスラム世界の内部に寄生するテロリズムを孤立させる戦い」に、イスラム・アラブ系の善良な一般市民をパ−トナ−として連帯すること、この2つの指摘は的を射ていると思う。「憎悪と復讐の連鎖」「泥沼の戦争」に陥ることなど、市民レベルでは誰も願っていないからである。悲しみと怒りから立ち直ったアメリカ市民が再び冷静に考え、そして良識ある行動をすることを期待したい。 (2001年9月16日)


17  米国で多発同時テロ発生

9月11日、午前8時45分、ニュ−ヨ−クにある世界貿易センタ−ビル(110階建て)に、ハイジャックされた2機の民間旅客機がつっこみ爆発炎上、約1時間後にビル2棟が崩壊。さらに9時38分、ワシントンにある国防省(ペンタゴン)にもハジャックされた旅客機が激突炎上。米大統領は「我が国に対する明らかなテロ攻撃だ。全面的な捜査をする。」との声明を出した。死傷者は1万人を越える規模となりそう。

11日夜、ブッシュ大統領は、国内と海外駐留の全米軍に対し最高度の国防準備態勢を指示、すでに臨戦態勢を敷いている。12日に北大西洋条約機構(NATO)は、今回のテロが外国からの武力攻撃と断定され、米国からの要請があれば、「集団的自衛権」を発動することで合意。1949年の設立以来初めて、集団自衛権を発動する決断をした。これにより加盟18カ国もテロ実行者に対して匍匐攻撃に踏み切ることが可能になった。設立第5条には「1国以上の締約国に対する武力攻撃は全締約国に対する攻撃とみなす。同盟国は集団的自衛権を行使し、攻撃された国を支援する。」とある。

ロ−マ法王ヨハネ・パウロ2世は、テロを「人類史における暗黒の日だ」と強く非難、その上で軍事行動を検討中の米国に対して「憎しみの感情に耐え、暴力の連鎖を断つ勇気を持つべきだ。」と呼びかけた。

イスラエル・シャロン首相は11日夜、「我々の自由を破壊するテロ勢力を相手に、自由社会は結束して戦わねばならない」と米国と協調してテロを打破する意欲を示した。11日夜に予定されていたアラファット議長とイスラエル・ペレス外相との会談も流れたままになっており、衝突収拾の行方はまったく見えない。

(2001年 9月13日  毎日新聞) 


16  報復合戦、泥沼化

バレステイナ解放人民戦線(PFLP)のアブ・アリ・ムスタファ議長(64)が27日、イスラエル軍の「暗殺作戦」で死亡したことで、バレスティナ人の反イスラエル感情が高まっている。反主流派とはいえ、パレスティナ解放機構(PLO)傘下組織の代表を殺害した余波は計り知れない。ムスタファ氏は急進派であるPFLP創設以来の重鎮。長年、中東和平交渉に反発し、アラファット議長らPLO主流派ファタハと対決してきたが、1999年にダマスカスからヨルダン川西岸に拠点を移してから関係を修復してきた。ムムスタファ氏は昨秋以来のイスラエルとの衝突でファタハ強硬派やイスラム原理主義組織ハマスなどと連携。反イスラエル抵抗闘争の先導役の一端を担ってきた。イスラエル政府と郡は、ムスタファ氏に対して「テロの黒幕」との評価を下していた。

イスラエルはパレスティナのテロに対する強硬報復や暗殺作戦で、パレスティナ自治政府をテロ抑止に追い込もうとしているが、過激派勢力と民衆の連帯感は深まるばかり一方で、事態は逆効果の様相を示している。ムバラク・エジプト大統領は「アラファット議長は、バレスティナ住民のイスラエルへの暴力をとめられない」と演説、米国の積極的仲介を求めた。

米国務省のバウチャ−報道官は「特定個人の殺害によって暴力行為が集結するわけではなく、むしろ一触即発の状況に火をつけることになりかねない」と述べ、イスラエルに自重を強く促した。

(2001年8月28日  毎日新聞)


15  中東停戦が実質崩壊

 米国の仲介で6月13日に成立した停戦が事実上崩壊に陥っている 。イスラエル側はバレスティナ武装勢力の暗殺、パレスティナ側は報復テロという軍事オプションによっていずれも政治的目標をめざす構えを強めているからだ。イスラエル治安部隊とパレスティナ武装勢力との衝突は先月末から激化。29日にエルサレムの神殿の丘での衝突を皮切りに、29日、30日には、パレスティナが2件の爆弾テロを実施。イスラエルは31日、報復としてヨルダン川西岸ナブルスにあるイスラム原理主義組織「ハマス」の事務所をミサイル攻撃し、8人を殺害した。イスラエル政府は「暗殺計画は正当防衛。今後も継続し、強化もあり得る」と言明。アラフアット議長派のファタハ幹部も「停戦などいっさい守らないように指示した。」と強調した。衝突激化の背景には、停戦より衝突長期化の方が得策との双方の思惑の奇妙な一致がある。西岸を「神がユダヤ人に与えた土地」の一部とみなすシャロン・イスラエル首相にとって、衝突はオスロ合意に基づく和平プロセスをつぶす好機に違いない。アラファット議長も、停戦してシャロン政権と交渉するより、ユ−ゴスラビアのコソボ自治州をモデルに、同胞の大量犠牲をもとに国際社会に監視部隊派遣を迫り、その傘の下で独立国家樹立を進める方がまだしも可能性があると考えているフシがある。

(2001年8月5日  読売新聞 カイロ 平野真一記者)

8月9日にエルサレムの中心部にあるレストランで白昼に自爆テロがあり、15人が死亡し80人か゜重軽傷を負った。レストラン「スパロ」はアラブ人とユダヤ人が9人づつ働く友好の場であった。助かった支配人のカンタ−氏は、「我々はユダヤ人とアラブ人の区別なくみな友人で、仕事の後、ともに帰宅し冗談を言い合い、時には一緒に外出した。外で起こっていた争いは我々には何の影響もなく楽しみを共有していた。」と語る。

ハマスの報道官は、バレスティナの占領がすべて終了するまで攻撃を継続するだろう」断言した。
(エルサレムポスト 8/13)

ブッシュ大統領は「平和を求めるなら、アラファット議長はテロ防止に全力を挙げよ」とイスラエルを支持する演説をした。(エルサレムポスト 8/17)



14  和平への声明  

イスラエルとパレスチナの識者や文化人60人が共同で和平を訴える
声明文を発表。ベイリン法相は「すぐに暴力を止めることは不可能だ
が、人々は希望を捨てないで欲しい」と語った。

(エルサレムポスト誌  2001年7月26日)


13  帰還移民情報

2020年までにイスラエルはユダヤ人は過半数を下回ると予測される。ユダヤ機関は、イスラエルが内部から瓦解しないように十分な移民を確保すると約束した。イスラエルでユダヤ人が過半数を維持するために、毎年5万人の移民の確保が必要だと語る。昨年6万人のユダヤ人が移民し、5万人は旧ソ連からであった。新しい移民の源として、フランス、アルゼンチン、南アフリカからの移民増加が考えられている。昨年9月の暴力発生後、3.5万人に近い新移民がイスラエルに帰還している。また対立後に大人5千人、子供2万人がイスラエルを訪問している。ジャンケロビッツ報道官は、「離散した全ユダヤ人のこどもにイスラエルを訪問させる」という計画も発表した。

(LCJE イスラエルニュ−ス 6月)


12  シャロン首相評価

昨日の安全保障会議では、紛争に対する今後の戦略を巡り4時間にわたって激論。シャロン首相はオスロ合意が間違いだったと語り、ペレス外相はアラファトがいなければもっと状況は悪くなっていたと反論した。来週退任する米国のイスラエル駐在大使のインディク氏がエルサレム・ポストと記者会見し、シャロン首相は現実派だと称賛した。アラファト議長については「彼は暴力路線を捨てていない」として、完全な和平達成は無理だとの考えを示した。
                    (エルサレムポスト誌 2001年7月5日(木) )


11  シャロン首相訪米

6月24日、イスラエルシャロン首相は訪米の途についた。26日にブッシュ米大統領と会談し、パレスティナとの停戦問題に関するイスラエルの立場を説明、暴力抑止のためにアラファット・パレスティナ自治政府議長に圧力をかけるように要請する方針である。27日にパウエル国務長官を中東に派遣する予定。

(毎日新聞 6月25日 朝刊)

アラファット議長がドロ沼化している事態を深刻に受け止め、本格的にパレスティナ内部の諸抵抗組織に対して強い指導力を発揮し、テロ組織による爆破事件のような無差別犯罪者を逮捕し、取り締まることを希望します。


10  自爆テロ後の危機的状況

6月1日深夜、テルアビブにあるディスコで17人が死亡し約70人が負傷するという最大級の自爆テロが起きた。イスラム原理主義組織「イスラム聖戦」が犯行声明を出した。一方的停戦を呼びかけ、報復行動を自制しているイスラエル政府だが、シャロン首相は国防相と対応を協議しており、報復を激化させる可能性も高まり、緊迫した危機的状況にある。こうした情勢の中で、アラファットパレスティナ自治政府議長は、2日に「双方の流血を止めるために我々は最大級の努力を尽くし、即時かつ無条件の暴力停止に向け必要なあらゆる手段を尽くす」と本格的なテロ抑止宣言をした。テロへの国際的反発をかわし、イスラエル軍による報復攻撃を避ける狙いがあると見られている。アラファット議長にどこまで本格的なテロ停止が実行できるのか不透明。

  (毎日新聞 2001年6月3日より)


9 イスラエル軍が停戦措置実施を発表

イスラエルのシャロン首相がパレスティナ側に「即時停戦」を呼びかけたのを受け、ベンエリエベル国防相は23日に「イスラエルの方から戦争を終わらせる責任をとる」と一方的な停戦措置の実施を発表した。イスラエル政府は「パレスティナ側が先に攻撃をやめるべきだ」との従来の主張を転換したことになる。生命の危険がある以外の発砲禁止、武装活動家暗殺計画停止、テロ施設攻撃停止、自治政府支配地への軍の侵入は政治的判断に任せるとの内容であるが、パレスティナ側は「占領に対するパレスティナ人の抵抗を封じる策略だ」と反発している。自治政府領に進入しているイスラエル軍に対する民衆の自制を求めれば反発や抵抗が起き、闘争を継続すれば国際的な非難を受けるため、パレスティナ側は対応に困惑している。

(朝日新聞 2001年5月24日) 


8 相互理解の基本線を守れ

イスラエル紙「ハ−レツ」紙論説委員のアキバ・エルダ−氏は以下のような懸念を記事にしている。「中東は政治的にゆき詰まっているだけではない。占領地での暴動が地域全体を新たな戦争に導く危険が高まっている。イスラエルとアラブ諸国が意見の相違を解決するような交渉の場にすぐにつくとは思えない。そでもなお、無制限に続いている紛争をやめさせるため、両者を交渉の席に戻すことが急がれる。」 さらにアキバ氏は今日まで安全保障を維持させてきた重要な防御戦を越える行為が見られることに危機意識を抱いている。両者の第1の基本的防御戦とは67年以前に設定されたグリ−ンライン(停戦ライン)を尊重すべきだということだ。バレスティナが自分の領地からイスラエル本土を攻撃することは理解できない行為だ。イスラエルも第2の基本線を破った。オスロ合意でパレスティナ領になった自治区に地上軍を派遣したことだ。自治区には300万人のバレスティナ人の大半が住んでいる。ここにバレスティナは政府をつくり、経済活動を始め、自立国家の基礎を築いた。第3はゴラン高原については直接的な衝突を避ける暗黙の了解があった。しかしイスラエルへの敵対行動がおきている。 アキバ氏は「中東では戦争と平和の境界は狭く、もろく、すぐに混乱する。イスラエルとアラブ諸国は米国、エジプト、ヨルダンの積極的な支援を受け、早急に相互理解の基本線を再確立すべきだ」と訴えている。

(毎日新聞 世界の目 2001年5月12日)


7 エジプト・ヨルダン共同収拾案

4月29日、ペレス・イスラエル外相はカイロを訪問し、武力衝突収拾についてムバラク大統領と会談した。停戦に応じたいとのシャロン首相の親書を手渡した。エジプトとヨルダンが共同提案した武力衝突収拾案は、昨年10月の緊急中東首脳会議合意(シャルムエルシェイク合意)を履行し、双方の暴力停止、ユダヤ人入植の完全停止が骨子となっているが、イスラエル政府は完全な入植活動の停止の拒否などの条件をつけて修正案を提案した模様。バレスティナはすでに受け入れを表明していたので修正案には応じないとの立場にある。ペレス外相は29日午後にはヨルダンを訪問し、アブドラ国王と会談予定。停戦合意に向けて交渉が継続されている。

(毎日新聞 4月30日)

6 イスラエルへの帰還計画

イスラエル・シャロン首相は「今後12年間にわたり、離散先から100万人のユダヤ人をアリヤ−(帰還)させることを目標とする」と明言。「旧ソビエトには何10万人、ブラジルには10万人、メキシコには15万人、フランスには60万人、南アフリカには8万人、そしてエチオピアには数千人の同胞が残っている。またアルジェリアには23万人のユダヤ人が苦境にあえいでいる」と語り、ユダヤ人の帰還に積極的姿勢を表明。そのためには経済的に移民を受け入れられる環境へと導かれる必要があるとBPFのニュ−スレタ−では祈りの支援を求めている。
     (ブリッジス・フォ−・ピ−ス・ジャパン Jerusalem Prayer Letter 4月号 4月2日)


5 シャロン首相とブッシュ米大統領会議

3月20日、ホワイトハウスでブッシュ米大統領とイスラエル・シャロン首相の最初の会談が行われた。大統領はクリントン前政権とは一線を引き、「米国は和平を強要することはない」と和平仲介を急がず、当面は当事者の交渉を見守る基本姿勢を示した。選挙期間中に公約していた大使館のエルサレム移転も先送りを表明した。ブッシュ大統領はアラファット・パレスティナ自治政府議長との会談には消極的な姿勢を示している。アキバ・エルダ−氏(イスラエル紙「ハ−レツ」論説委員)は、「和平交渉プロセスの復活を目指して、和平合意なしで平和にくらす方法を探り出さねばならない。イスラエルは隣接するパレスティナ小国家に新たな領土を追加して引き渡す。その代わり、パレスティナ国家の非武装化と外国軍隊の駐留禁止、イスラエルに敵対する国との同盟関係を結ばないことを理解するようにという譲歩案を、シャロン首相はパレステイナ側に求めるであろう」と論評している。和平の新たな枠組み作りのために、ブッシュ大統領、シャロン首相、アラファット議長との相互信頼関係が築かれることを望む。
                         (毎日新聞 世界の目 3月24日)


4 連立政権樹立組閣人事

次期イスラエル首相シャロン氏は労働党との大連立による挙国一致内閣樹立結成のために精力的に各派と交渉を重ねている。労働党は新外相にペレス氏、新国防相にベンエリエゼル氏を推挙することを正式に決めた。来週にも内閣の顔ぶれが決まる模様。しかしながら、テロ活動が各地で頻発しており、住民の不安は高まっている。「パレスチナの経済的混乱に乗じて、シリア、イラン、イラクなどがパレスチナへの影響を強めようと動いており、パレスチナの財政的破綻は中東全体に悪影響を及ぼすと、国防関係者が警告。」「アラファト議長が去ったラマラでは、衝突が激化。国防軍は一時、戦車の砲撃で応戦し、パレスチナ人に死者が出た。」とエルサレムポスト誌で報道。
                   2001年3月3日  毎日新聞  エルサレムポスト誌   


3 労働党との連立政権へ

リク−ド党は労働党との連立政権協議を進めており、バラク氏に国防相として入閣するように要請していますが、バラク氏は引退を表明。2月13日に連立政権の暫定合意に調印しました。合意内容は、「1)中東和平交渉の枠組を決めた国連決議242と338を基に、シリア、レバノン、パレスティナとの恒久和平合意に努力する。2)パレスティナ自治政府とは最終合意ではなく、暫定的合意を目指す。3)交渉では当事者双方が痛みを伴う譲歩を覚悟する。4)あらたな入植地は建設しないが、人口増加に伴い現在の入植地を拡大する。5)難民問題、エルサレムの主権問題は合意内容に盛り込まないことなどとされています。オスロ合意から国連決議案に戻って再調整しつつ、パレスティナ自治政府との交渉を継承しようとする内容のように思われます。

パレスティナのラジオ放送は、金曜日を「怒りの日」とし、シャロン政権への抗議行動への参加を呼びかけている。そのためにガザ地区や西岸地区では銃や手榴弾による攻撃が続いており、過激派ファタハは「入植地は地獄になるであろう」と攻撃の激化を宣言しています。パレスティナの暴力は各グル−プが独立して行っているため停止させることがきわめて困難であり、止めることができるのはアラファット議長しかないと観測されています。因縁があるシャロン新首相とアラファト議長との間に信頼が回復され、和平交渉へのパイプ作りがなされることが期待されています。

資料  2001年2月14日 毎日新聞  2月13日 エルサレムポスト紙  


1 イスラエル首相公選結果

2001年2月6日(火)に、イスラエル首相公選がなされました。シャロン・リクル−ド党首(72歳)が62.5%、バラク労働党党首(58歳)が37.5%で地滑り的勝利を収めました。約1年9ヶ月ぶりに右派が政権を奪還しました。投票率は前回(1999年5月)を大幅に下回り史上最低の約62%でした。7日の勝利宣言でシャロン氏はパレスティナ側に対して「暴力の方針を捨て、対話に戻り、意見の不一致の解決を求める」と呼びかけましたが、エルサレム帰属問題に関しては「私の政権はイスラエルとそしてユダヤ人の永遠の都である統一されたエルサレムの基盤を強固にすることに専念する」「聖地エルサレムを永久不可分の都市とする」と宣言し、非妥協的な姿勢を示しました。強硬派として知られているシャロン氏は右派市民やユダヤ人入植者、宗教勢力グル−プに支持されました。

シャロン氏はクリントン前米大統領が提案し、バラク首相が原則的に同意したとされる和平仲裁案の骨子とされた3項目をことごとく拒否する姿勢を示していました。1 エルサレムの共通首都化(地表の主権はパレスティナ、地中の主権はイスラエルとする)2 ヨルダン川西岸地区の95%を返還する 3 大半のユダヤ人入植者の廃止
 
バラク首相は「結果は残念だが尊重したい」と敗北を宣言し、国会議員と労働党党首から辞任する意向を表明しました。380名を越える犠牲者を出した今回のインティファ−ダ−を収集できないバラク首相への批判が選挙結果に現れたといえます。従来、労働党支持を表明しているアラブ系イスラエル人も今回は多くが棄権に回ったことも大差がついた要因と考えられています。

アラファット・パレスティナ自治政府議長は「我々はイスラエル国民の決定を尊重し、和平プロセスが続くよう望む」と和平交渉の継続を表明しています。しかし、シャロン政権下では、和平交渉の停滞は避けられず、アラブ諸国との関係の冷却化の懸念が強まっています。

ブッシュ米大統領は、シャロン党首と電話会談し、中東和平推進に向けてイスラエル新政権と協力することを約束しました。またパウエル国務長官は月末に中東・欧州歴訪を検討しています。


2 シャロン首相とは

アリエル・シャロン氏(72歳)は、農家の子として生まれ、自分の土地、領土を守ることを教えられ育ちました。第2次大戦中に、ユダヤ人自営組織「ハガナ」に加わり、アラブ側と戦いました。1948年の第1次中東戦争では20歳で小隊長として参戦。参謀総長であったバラク首相も「イスラエル史上における最も偉大な野戦指揮官の一人」と軍人としての能力を高く評価しました。74年に政界入りし故ラビン首相の治安顧問、農相時代の77−81年に、第3次中東戦争で占領したヨルダン川西岸、ガザ地区、ゴラン地区へのユダヤ人入植地の建設を推進しました。国防相時代の82年にはアラファット議長の率いるPLOの本部があったレバノンへの軍事侵攻を指揮し、議長とパレスティナゲリラを国外追放し決定的な打撃を与えました。しかし、親イスラエル民兵によるパレスティナ難民大虐殺事件を黙認したとの責任を問われた経歴をもっています。一方、1982年のエジプトとの平和条約に基づくシナイ半島返還を無事完了させた実績を持ちます。趣味はクラシック音楽鑑賞。「和平方針を抜きにすれば、バラク首相よりもユ−モア−があり気さく」とも評されています。

資料  毎日新聞 2001年2月7日 夕刊