あなたへのラブレター 05 
『請求は私に』 ピレモン17-19 
  
パウロは新約聖書の21の書簡中13を書きましたが、この「ピレモンへの手紙」は、その中でもやや異色のものです。 
それは、唯一の私信ということです。 
パウロは、「○○人への手紙」と言われている、教会宛の手紙を書きました。 
また、「テモテへの手紙」と「テトスへの手紙」は、個人宛ではありますが、教会の運営(牧会)に関した手紙です。 
  
ピレモンへの手紙は、たった1章(25節)しかない短い書簡です。 
ぜひ、いま一度、この全文を読んでいただきたいと思います。 
全部で1300文字程度の手紙で、その中には重要な教義も、重大な異端との戦いもありません。 
なのに、神様はこの書簡が聖書に入るようにと選ばれたのです。 
それは何故なんでしょうか。 
  
この手紙の受取人はピレモンです。 
奴隷を所有するほどの家の人で、パウロの伝道によってキリスト者となった人です。 
そして、この手紙の内容は、オネシモについてです。 
オネシモは、ピレモンの奴隷でしたが、ピレモンのところから逃亡しました。 
ただ逃げただけでなく、ピレモンに何か損害を与えていたようです。 
何かを盗んだか、だまし取ったかしたのでしょう。 
逃亡奴隷は、通常死刑にされました。 
ましてや、主人に損害を与えているのなら、言わずもがなです。 
  
オネシモは逃亡先でパウロに会いました。 
そして、パウロによってキリスト者になりました。 
それまで彼は有害無益な男でしたが、イエスさまによって有益な者となりました。 
(オネシモという名前は「役に立つ者」という意味であるもの意味深いですね) 
  
そしてこの手紙は、オネシモをピレモンのところへ返すための手紙なのです。 
オネシモを赦して、受け入れて欲しいという手紙なのです。 
パウロは、ピレモンに対して命令も出来たのですが、あえてしていません。 
それどころか、言葉を慎重に選んで、懇願しているのです。 
  
そして、負債の請求は、全てパウロにしてくれと言っています。(18節) 
これは、盗んだ物や壊した物を弁償するというだけの言葉ではありません。 
なぜなら、逃亡奴隷は通常死刑で、オネシモの場合は逃亡プラス損害なのです。 
ですから、ここでの負債の請求というのは、身代わりの死さえ覚悟して言っているのです。 
オネシモを本来あるべき場所に返すために、自分自身を全て捧げるパウロの姿がここにあります。 
  
これが、この手紙が聖書に入れられなくてはならなかった理由です。 
この手紙のテーマは、パウロの中に生きる、イエス・キリストの愛です。 
それは、価値ない者を価値ある者に変える愛です。 
また、自分を全て捧げても、赦し、いのちを与える愛です。 
  
そして、この愛はパウロの中だけにあるのではありません。 
イエスさまの愛は、全てのキリスト者の中に生きるのです。 
そう、あなたの中にも。 
今、現実に、イエスさまは生きています。 
ただの宗教的思想や哲学的思想ではありません。 
愛あるいのち、いのちある愛として生きているのです。 
すべての負債を背負い、すべての罪を赦し、愛してくださるイエスさま。 
イエスさまの愛を、あなたの心に生かしましょう。  
  
  
あなたは、無益な者でした。 
しかし、イエスさまの愛は、あなたを有益な者としました。 
すべての負債を、イエスさまが背負ってくださったのです。 
イエスさまの愛を、あなたの心に生かしましょう。 
あなたのいのちを、イエスさまの愛で生かしましょう。 
  
あなたのためにお祈りしています。 
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