24   請求は私に (ラブレター05 2006.05.06 第二礼拝)
あなたへのラブレター 05
『請求は私に』 ピレモン17-19
 
パウロは新約聖書の21の書簡中13を書きましたが、この「ピレモンへの手紙」は、その中でもやや異色のものです。
それは、唯一の私信ということです。
パウロは、「○○人への手紙」と言われている、教会宛の手紙を書きました。
また、「テモテへの手紙」と「テトスへの手紙」は、個人宛ではありますが、教会の運営(牧会)に関した手紙です。
 
ピレモンへの手紙は、たった1章(25節)しかない短い書簡です。
ぜひ、いま一度、この全文を読んでいただきたいと思います。
全部で1300文字程度の手紙で、その中には重要な教義も、重大な異端との戦いもありません。
なのに、神様はこの書簡が聖書に入るようにと選ばれたのです。
それは何故なんでしょうか。
 
この手紙の受取人はピレモンです。
奴隷を所有するほどの家の人で、パウロの伝道によってキリスト者となった人です。
そして、この手紙の内容は、オネシモについてです。
オネシモは、ピレモンの奴隷でしたが、ピレモンのところから逃亡しました。
ただ逃げただけでなく、ピレモンに何か損害を与えていたようです。
何かを盗んだか、だまし取ったかしたのでしょう。
逃亡奴隷は、通常死刑にされました。
ましてや、主人に損害を与えているのなら、言わずもがなです。
 
オネシモは逃亡先でパウロに会いました。
そして、パウロによってキリスト者になりました。
それまで彼は有害無益な男でしたが、イエスさまによって有益な者となりました。
(オネシモという名前は「役に立つ者」という意味であるもの意味深いですね)
 
そしてこの手紙は、オネシモをピレモンのところへ返すための手紙なのです。
オネシモを赦して、受け入れて欲しいという手紙なのです。
パウロは、ピレモンに対して命令も出来たのですが、あえてしていません。
それどころか、言葉を慎重に選んで、懇願しているのです。
 
そして、負債の請求は、全てパウロにしてくれと言っています。(18節)
これは、盗んだ物や壊した物を弁償するというだけの言葉ではありません。
なぜなら、逃亡奴隷は通常死刑で、オネシモの場合は逃亡プラス損害なのです。
ですから、ここでの負債の請求というのは、身代わりの死さえ覚悟して言っているのです。
オネシモを本来あるべき場所に返すために、自分自身を全て捧げるパウロの姿がここにあります。
これが、この手紙が聖書に入れられなくてはならなかった理由です。
この手紙のテーマは、パウロの中に生きる、イエス・キリストの愛です。
それは、価値ない者を価値ある者に変える愛です。
また、自分を全て捧げても、赦し、いのちを与える愛です。
そして、この愛はパウロの中だけにあるのではありません。
イエスさまの愛は、全てのキリスト者の中に生きるのです。
そう、あなたの中にも。
今、現実に、イエスさまは生きています。
ただの宗教的思想や哲学的思想ではありません。
愛あるいのち、いのちある愛として生きているのです。
すべての負債を背負い、すべての罪を赦し、愛してくださるイエスさま。
イエスさまの愛を、あなたの心に生かしましょう。
 
 
あなたは、無益な者でした。
しかし、イエスさまの愛は、あなたを有益な者としました。
すべての負債を、イエスさまが背負ってくださったのです。
イエスさまの愛を、あなたの心に生かしましょう。
あなたのいのちを、イエスさまの愛で生かしましょう。
 
あなたのためにお祈りしています。



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