71   おことばどおりに (アドベント03 2006.12.16)
アドベント2006 03
『おことばどおりに』 ルカ 1:26-38
 
今週の聖書箇所は、受胎告知で有名な場面です。
多くの芸術作品に登場する場面ですので、聖書を知らない人も見たことがあるのではないでしょうか。
 
聖書の中で、神様は時々沈黙することがあります。
その沈黙は、何かが起こる前触れです。
神様が沈黙を破るとき、そのとき何かが起こるのです。
アブラハムに対しては、イシュマエルの誕生後、約15年間の沈黙がありました。
次に神様が語られたとき、それは、約束の子・イサク誕生の予告でした。
アブラハムに与えられた祝福の約束が動き出した瞬間です。
また、モーセが羊飼いとして生活していたときの約40年間、神様は沈黙していました。
神様がモーセに言葉をかけられたときから、イスラエルの民の救出(出エジプト)がスタートしたのです。
 
イエスさまの時代、神様はまた沈黙していました。
旧約聖書の最後の預言者はマラキです。
彼が活動したのは、紀元前400年代で、そこから約400年間、聖書は何も語りません。
そして誕生するのが、新約聖書の預言者、バプテスマのヨハネです。
神様は400年の沈黙を破って、バプテスマのヨハネの父親であるザカリヤに声をかけたのです。
それは、ヨハネの誕生に関することでした。
 
そしてその6ヶ月後、御使いガブリエルはマリヤに現れたのです。
「おめでとう、恵まれた方。主があなたとともにおられます。」(28節)
ガブリエルの第一声は、「おめでとう」でした。
しかし、その伝える内容は、おめでとうとは程遠いものでした。
マリヤが処女のまま子どもを妊娠するということ、しかも、神様の子どもをです。
2000年前の科学知識でも明らかにありえないとわかることです。
赤ちゃんがコウノトリに運ばれてこないことは、もちろんマリヤも知っていたのですから。
まったく受け入れがたい内容、信じることが難しい内容です。
 
もちろんマリヤもとまどい、反論しました。
これは、正常な反応でしょう。
「どうしてそのようなことになりえましょう。私はまだ男の人を知りませんのに。」(34節)
 
しかし、マリヤは、この内容を最終的に受け入れるのです。
「どうぞ、あなたのおことばどおりこの身になりますように。」(38節)
なんという人なのでしょうか!
一方、夫のヨセフはどうだったのでしょう。
マタイ1章20節以降をお読みください。
マリヤが妊娠していることで悩んでいるヨセフに、神様は夢で彼に話しかけました。
その結果、「ヨセフは眠りからさめ、主の使いに命じられたとおりにして、その妻を迎え入れ」(マタイ1:24)たのです。
妻が妻なら、夫も夫です。
彼らは、信じられないような神様の言葉を受け入れ、自分たちの役割を果たしたのです。
全世界の救い主を妊娠し、産み、育てるという、人類史上最も大きい役割を。
彼らは、400年の沈黙を破った神様の言葉を、受け入れたのです。
まさに、神様が選んだ、妻と夫といっていいでしょう。
私は先ほど、「まったく受け入れがたい内容、信じることが難しい内容です。」と言いました。
なぜ、私たちは神様の言葉を受け入れがたいと感じるのでしょうか。
それは、自分の知識・常識の範囲に神様を押し込めようとするからです。
無限の神様の大きさを、ちっぽけな私たちの器ではかることはできません。
それはまるで、海の水をちっちゃなスポイトで計量するようなものです。
私たちは、私たちのちっぽけな器で神様をはかることをやめましょう。
そうではなくて、神様の器で私たちをはかってもらえばいいのです。
そのとき、疑いは祝福への約束と変わるのです。
 
マリヤもはじめは疑りました。
しかし、その彼女の気持ちを覆したのは、この現実です。
「神にとって不可能なことは一つもありません。」(37節)
神様は、言葉で全宇宙を創造しました。
その神様の言葉には、不可能なことは一つもないのです。
この現実を自分自身の人生における現実として受け入れたときに、新しい人生が始まるのです。
 
これは、マリヤだけに与えられた特権ではありません。
あなたの人生にも起こる現実なのです。
「どうぞ、あなたのおことばどおりこの身になりますように。」(38節)
あなたがこう宣言するとき、神様の言葉が、神様の力が、あなたの人生の中でイキイキと働き始めるのです。
それは、創造の力、救いの力、解放の力、自由の力、喜びの力、愛の力です。
あなたの人生を、神様の力で満たしてみませんか。
信仰とは、自分自身を失い、盲従することではありません。
神様の言葉を確信し、受け入れ、なおかつ、それを確認して生きる人生です。
「おことばどおりこの身になりますように。」
あなたが受け入れた言葉は、あなたの人生の中で輝き始めます。
また、神様の愛の言葉の中で、あなたの人生が輝き始めるのです。
 
あなたのためにお祈りしています。



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